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Eテレ『みいつけた!』からの伏線

星野源「Pop Virus」のライブ映像に見られる有機と無機との融合のユートピア

育児と子育てが進むにつれ、ここ数年は聴きたい音楽を能動的に聴く機会がどんどん減っていった。不満というわけではないが、音楽といえば童謡とクラシックのCDか、Eテレから流れてくる童謡と子どもの世界観の歌。平日の朝と夕方の約2時間はEテレから耳に入ってくることが多いが、そんな子ども向け番組のなかでちょっと楽しみに見るようになった番組の一つに『みいつけた!』がある。ユーモア溢れる歌と共に、作詞作曲がJ-POPアーティストであることがあるので馴染みやすい。例えば作曲が星野源である「グローイング アップップ」は長男と一緒にジャグンジャグンと三輪車のペダルを漕ぐように身体を揺らしながらついつい歌ってしまったし、今もオンエアされている「すわるぞう」が流れると長女はテーブルの周りを反射的に走り出す。こうやって日常的に星野源のメロディーに馴染んできたのだが、ある日、CMでふと耳にしてずっと気になっていた曲が「肌」だ。サビを家事の途中でつい鼻歌で口ずさんでしまっていた。ちゃんと聴きたい!と思いながらも、育児、出産と日々の雑事に追われていってそのままだった。
 

そして、最近子どもたちがよく観る『未来のミライ』の録画。家族構成が似ていることもある上、現代の家族や夫婦像、普遍的な家族の繋がりを描いており、じっくり見入ってしまった。主人公のお父さん役の声はどこかで聞いたことがあるような(ドラマやCMで)親近感があった。星野源だった。数年間、伏線のように(サブミナル的に?)星野源に触れてきたことになる。

先日、子どもの寝かしつけに時間がかかるので、久々にYouTubeで何か視聴しようと思ってイアホンを繋いだ。

オフィシャルに公開されたライブバージョンの「Pop Virus」を見つけて再生

………
 

イアホンの管を通して

新型ウイルスが心の臓に

感染してしまったのだ。
 
 

声が
音が
映像が

訴えかけてくる。
 

弾き語りのギターとヴォーカルで始まり、そして最後はヴォーカルで終わる有機的な音の美しさと、気配のように流れているEDM機材?(専門的な詳細は分からないが…)による無機的な音と楽器との融合のユートピアが広がっているかのように感じられた。

人それぞれだと思うが、例えば水だけ飲むよりもスパークリング水を飲むほうが刺激があるように、無機的であったり加工された音にも心地よさを感じる人間にはやっぱりその要素がほしいときもある。でも楽器本来の魅力(ライブなどで体感した)を忘れたのではなくて共存できたら理想だ。もちろん自分のように素人の聴き手が楽器本来の音の幅や違いにどれだけ気づけているのかということもある。どちらにしても共存し融合できるヘルシーな掛け合わせ方があるはずだ。聴き手であるこちら側もだいぶわがままになってしまったのかもしれない。アコースティックギターの温かみも心地よいけれど、微炭酸未満な加工感やエレクトロ感、EDM感には心地よい中毒性を感じる。このライブバージョンにはそれがダイレクトに感じられてとても惹かれた。

ミニマムでキャッチーな歌詞のサビに、人間の心拍数に寄り添ったかのようなテンションのゆるいグルーヴのBlack感、hip-hop感やrap感もあるようなところも、何度聴いても飽きることなく本当に気持ちが良い。コトバが跳ねながらもつまずくことなく自然に収まる気持ちよさ。まだ気づけていない要素がたくさんありそうで、この曲のジャンルを名称ひとつで括りきれない、括ろうとするとすり抜けてしまう、それが独自性なのかもしれない。
イアホンを外した後もぐるんぐるんとループするような余韻を残し、ずっと漂っていたいヘルシーな中毒的心地よさがある。実際の歩幅や動きは変わらないけれども、細胞がいつもより躍動しているようで、ちょっとした間やテンポに侵入したかのように感染っている。視覚的影響もあるが、赤いパーカーを着た星野源が細胞のなかでゆるっと跳ね歩いているような。ホーンズやストリングスも即興的なサックスの音も鮮やかに脳裏に浮かんでくる。ドラムは打ち込みではなく(だけでなく?)ドラマーがクラップハンドの後に生ドラム(この時はシンバルだけかな…?)を叩いている姿も一緒に。有機と無機が無理なく共存し融合している感じだ。

こう熱っぽく書いているあいだに「アイデア」のミュージックビデオが流れてきた。じっと観て聴き入っていたら、その答えが隠されているかのようなパフォーマンスに今更気がついて、ちょっと恥ずかしくなった。

ジャンルとか有機とか無機とか、もうとっくに超越してるのかもしれない。
 

そして、「雨音」という曲のライブバージョンを初めて聴いた。

感染ではなく感電したかのようにしびれた。
 

いつかEテレの『ムジカ・ピッコリーノ』のような音楽番組で星野源の音楽を分かりやすく解明する番組があれば見てみたい。

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