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私にとってのマカロニえんぴつの存在

NEWミニアルバム「season」を通して感じたこと

田舎に住んでいる私は、タワーレコードでCDを買うことがちょっとした憧れだったりする。もちろん近くにタワーレコードはないので、通販が普及している今、今日も私はタワーレコードオンラインでCDを買った。

胸を躍らせながらコンビニに向かい、9月11日、リリースされた当日にCDを受け取ることができた。今大人気の4人組バンド マカロニえんぴつ(以後:マカえん) のミニアルバム「season」を。

YouTubeのあなたへのおすすめで「洗濯機と君とラヂオ」に出会い、そこからマカえんの音楽にハマっていった。バンド名にとても興味を持ち、試しに聴いてみたら、どこか癖になるメロディー。当時中学2年生だった私にとって、とても印象的だった。あの時の衝撃は今でも忘れない。
この時の私は、歌詞よりメロディーを聴いていた。これは、作詞をする人からしたら非常に腹が立つようなことだと思うが、言っても中学2年生、悩み事が全然なかった私にとってマカえんは、このメロディー面白いな!という感覚で出会っていたバンドだった。

しかし高校2年生になった今、私はマカえんの音楽を聴いて涙を流すことが多々ある。それは、このバンドの強みはメロディーだけではなく、歌詞にもあったからだった。それは今作「season」でも同様のことが言える。

家に買ってすぐ、CD特有のワクワク感が味わえる“プラスチックのあれ”を剥がし、CDプレーヤーにセットした。そして再生ボタンを押す。

1曲目「ヤングアダルト」。やはり、Vo/Gtはっとり(以後:はっとり)作曲だからこその安心感。これが私の好きなマカロニえんぴつだ。この曲は曲名通りヤングアダルト、つまり子供と大人の間辺りの年代をターゲットにした曲。子供と大人の間であれば、高校2年生の私も共感できるだろう、と思いきや

“僕らに足りないのはいつだって
アルコールじゃなくて愛情なんだけどな”

という歌詞。アルコールを飲める年齢ではない私はもちろん共感できるわけがない。しかし、ある歌詞を見て、そしてそれを歌うはっとりの歌声を聴いて、いつの間にか涙を流していた。

“夜を越えるための唄が死なないように
手首からもう涙が流れないように
無駄な話をしよう 飽きるまで呑もう
僕らは美しい
明日もヒトでいれるために愛を探してる”

自傷行為の比喩表現を交えながら、今まで否定的な感情しか歌ってこなかったが、サビでようやく肯定的な感情をエモーショナルに歌い上げる。“僕らは美しい”と言う彼らが美しくない訳が無い。それと同時に、「私も美しいんだ」と、少なくともその瞬間だけは強く思うことが出来た。
マカロニえんぴつは、逆に聴く人の否定的な感情を共感してくれて、なおかつそっと背中を押してくれるようなバンドだった。様々なことで悩んでいる今、ようやくそれに気づくことができた。

もちろん今作の注目すべき点は歌詞だけではなく、私が最初から見つけていたメロディーやサウンドの良さも際立っている。

というのも、マカえんのメンバー4人それぞれが作曲を手掛けた曲が収録されているのだ。

2曲目の「恋のマジカルミステリー」は、Gt/Cho.田辺由明(以後:田辺)が作曲。1曲目のヤングアダルトを聴いた後だからか、アップテンポにもなり、ちょっと新鮮な感覚。しかしこれもまた、マカえんらしさが残っていた。

田辺が影響を受けたという80年代の音楽、そしてサビで聴こえるのびのびとしたはっとりのコーラスと微かなシンセサイザー。そして間奏にある田辺自身の代名詞「泣き」のギターソロが、前に述べたように聴こえた答えだろう。「ワンルームデイト(LiKE収録曲)」のアンサーソングということもあり、そちらと比べて聴くのもとても楽しかった。これがはっとりの遊び心か。

3曲目「二人ぼっちの夜」はBa/Cho.高野賢也(以後:高野)が作曲。彼が作曲した曲が収録されるのは「イランイラン(CHOSYOKU収録曲)」ぶり2回目だ。前作とは違った一面が見えた高野の作曲スキル。

ギターのフィードバックから始まるイントロは、どこか切ない雰囲気。

“「ずっと二人で」が、なんかね、悲しくて
ねぇ、ねぇお願い、二人ぼっちの夜をどうか”

恋人と二人でいられることは、嬉しいようで寂しい。もしかしたらこれから先、別れるかもしれない、という不安感が歌詞で表現されている。「恋のマジカルミステリー」とはまた違う愛の形が見えた。

4曲目はKey/Cho.長谷川大喜(以後:長谷川)作曲の「TREND」。マカえんといえばの自虐ソング。私はこれが大好きだ。

トレンドになることはとても嬉しいことだが、いずれそのトレンドは去ってしまう。今まさにその状況である彼らだからこそ言える、不安感や願いが存分に歌詞にされた楽曲だ。

この曲を初めて聴いた時、私はとても驚いた。新しいマカえんを見ることができた。
ジャズが好きな長谷川だからこそ考えついた変拍子。これがとても面白い。AメロBメロからは想像のつかないサビの展開で、これほど面白いものはないだろう。長谷川の才能が垣間見えた一曲。

そして最後は、「青春と一瞬」。CMソングでもあるこの曲は、聴いたことのある人も多いのではないだろうか。
CMで流れるのはサビのほんの一部分だが、このバンドはCMでは流れない所までこだわりを忘れない。1曲全てがCMソング。

はっとりが、当時17歳だった自分に向けて書いた歌詞。

“つまらない、くだらない退屈だけを愛し抜け
手放すなよ若者、我が者顔で
ずっと埋まらないくらいでいい
時間は少し足りないのがいい”

この曲に、16歳で出会えた私はとても幸せだった。一瞬で終わってしまう青春を、時間が足りなくなるくらいに楽しむ。もしかしたらこの曲を聴いている時が、1番青春かもしれない。この曲は死ぬまで、私の中で1番、青春を感じられる歌として残るだろう。

「season」という作品を通して、私が好きだったマカえんと、私が気づいていなかった新しいマカえんを見ることができた。彼らの音楽の可能性は無限大だ。これからも私は彼らの音楽、「マカロック」に、そして歌詞に力をもらって生きていく。「あなたの逃げ場所になる。」と宣言してくれたから。

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