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僕にとっての太陽とAurora

いきものがかりとBUMP OF CHICKENが僕にもたらすもの

2019年3月15日、二組のアーティストが、一日遅れのホワイトデーのプレゼントのように私たちに新曲を届けてくれた。いきものがかり「太陽」、そしてBUMP OF CHICKEN「Aurora」。どちらもニューシングルだが歌自体は初めて世に出回るものではない。Auroraはドラマ主題歌として、太陽はファンクラブ限定の曲として発表されていた。

僕はいきものがかりとBUMP OF CHICKENが大好きだ。どちらも僕の中の大部分を形成しているアーティストである。
両アーティストの結成年やメンバーの年齢は大差なく(結成はBUMPが3年早く、BUMPのメンバー4人といきものがかり最年少のボーカル吉岡は3歳差)、世間での人気、音楽界からの評価を総合すれば両グループとも横一線の「国民的アーティスト」であるが、いきものがかりとBUMP OF CHICKENは、同業者ながら正反対のベクトルにいる。
いきものがかりは、「王道のJポップ」を基盤としてデビュー当初からポップ路線をまい進し、キャッチコピー「泣き笑いせつなポップ3人組」の通り、老若男女みなが親しみを持ちやすく、まっすぐに投げかけられるメッセージと分かりやすいメロディーを武器に、見る見るうちに人々のハートを掴んでいった。有名ドラマやCMのタイアップに続々と抜擢され、NHK紅白歌合戦には8年連続出場を果たした。今や日本人で彼らの歌を、彼女の歌声を聴いたことない者はいないだろう。
かたやBUMP OF CHICKENは、デビュー二作目の天体観測が大ヒットするもその後地上波や大型タイアップをつけることなく、音楽と地道なライブ活動のみで人気を徐々に伸ばしていった。デビューから13年経った年に初めて地上波の音楽番組に出演し、その二年後には初めてNHK紅白歌合戦にも出場したが、それでもテレビで音楽を披露したり、ましてやバラエティ番組でトークしたりなどは滅多にない。ボーカルの藤原がその昔ライブで発言した「ブラウン管の向こう側で評価されたくないから」の言葉通りの音楽活動を未だ行っている。
 
 
突然だが、「太陽」の反対語と聞いて何を思い浮かべるだろうか。月かもしれないし、夜空と答える人もいるだろう。明確な正解は分からないが、僕は「オーロラ」だと思う。昼と夜という関係はもちろん、「姿を変えず毎日現れるもの」と「出現場所や姿かたちを変えながら不確定的に現れるもの」という対極性もある。そしてまさに、いきものがかりという存在が「太陽」であり、BUMP OF CHICKENという存在が「Aurora」なのだ。ここに音楽の可能性が見えてくる。

音楽には大きく分けて二つの力があると思う。ひとつは「毎日のありきたりな生活を彩る力」、もう一つは「人生で躓いたり深い傷を負ったりした時、その薬となる力」だ。人間は時として在り来たりの毎日に疲れ、たまに大きな失敗や挫折を繰り返し縮こまってしまう。そんな時に、いきものがかりとBUMP OF CHICKENは、僕にその二つの力をもたらしてくれる。

いきものがかりは先述の通り、王道Jポップとして音楽界に10数年君臨し続けている。幅広い層に長い間支持されるには、常に人の耳に残るような普遍性のある曲を提供していかなければならない。その裏には素人の僕には知り得ない沢山の技と努力がある。だがそれ以上に、メンバー三人ともが「Jポップが好き」だということが、ここまでに人々から愛される存在になった所以といえるだろう。
好きだからこそ続けられる、好きだからこそ良さを伝えたい、そんな願いがいきものがかりの曲には込められている。いつ聴いても楽しませてくれ、勇気づけてくれ、時にエモーショナルな感情にさせてくれる。いきものがかりの楽曲はまるで、毎日変わらず同じ場所に昇り人々を照らし続ける太陽のようだ。何気なく続く毎日を、明るく、確かに彩ってくれる。
『まだ続いてく未来たち
どんなことが待ってるだろう
それでも君がいてくれる
そうさここから始めよう』(太陽/いきものがかり)

かたやBUMP OF CHICKENは、若者のカリスマとして約20年第一線で走ってきた。移り変わりが激しく流れの速いロック界では、人々に飽きられないためにも自分達のやりたい音楽をするためにも常に変わっていかなければならない。彼らは突きつけられる現実に合わせて僅かに、時に大胆にスタイルを変えることがあった。時に古参ファンに「今のBUMPは変わってしまった」と言われることがあっても、変わることを恐れなかった。それでいてBUMPとしての根幹は揺らくことなく多様な音楽を作り続けてきた。その甲斐もあって、今現在でもロックフェスでは今を時めく若手バンドに交じって、時に格の違いを見せつけながらその人気を示している。
彼らの楽曲の全体的な特徴は「辛い時に背中を押してくれるのではなく擦ってくれる曲」というところだ。ダメなところはダメと受け止めて、現実を受け入れてそれでも前に進んでいくという勇気を与えてくれる。
BUMPの曲に、ボーカル藤原の包み込むような歌声と洗練されたバンドサウンドに救われたという人は多いだろう。汚れた心を洗い流して真新しい感情にしてくれるその様は、まるで夜中にふと現れる荘厳で美麗なオーロラのようである。ふと孤独に苛まれる夜に、見上げると広がる景色がある。
『もうきっと多分大丈夫
どこが痛いか分かったからね
自分で涙拾えたら
いつか魔法に変えられる』(Aurora/BUMP OF CHICKEN)

今日まで僕は、幾度となくいきものがかりの歌に元気をもらい、BUMP OF CHICKENの音楽に励まされてきた。それはこれからも変わらないだろう。
そしていつまでも、毎日変わらず地上を照らしてくれる太陽を、辛いとき苦しいときにふと夜空に現れるAuroraを、僕に見せてくれるだろう。

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