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2017年6月27日

みのむし (15歳)
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ヒーローと私

クリープハイプとKANA-BOONの対バンライブに行って

私はなんばHatchに向かう電車でクリープハイプを聞いていた。これからライブに行くというのになぜか気分が乗らなかった。もっと言うとすでに泣きそうだった。今日までこの日を楽しみに私は生きてきた。始まったものはいつかは終わると知っているから始まって欲しくなかった。

会場に入ってから、開演までの時間が驚くほど長く感じた。BGMが小さくなり、照明が落ちた瞬間、会場のボルテージは一気に上がった。歓声と拍手の中KANA-BOONが登場した。

1曲目は「1.2.step to you」曲中の「1.2.3.4」というところではみんなの手が上がっているのが見えた。曲が終わると息付く間もなく「机上、綴る、思想」フェスでも歌われるこの曲だが、いつものKANA-BOONとはどこが違うこの曲の雰囲気が会場を包み込んだ。誰もがステージに釘付けになり、かっこよくもノリの良い音に体を揺らした。3曲目の「Fighter」ではイントロから激しくかき鳴らされるギターに『あ〜私はいまロックバンドを見ているんだ』と改めて感じた。
3曲を勢いよく演奏したあと少しのMCをはさみ、曲紹介でボーカル谷口が丁寧に「結晶星」と言った。この曲はキャッチーなメロディーのサビが特徴だが、実は歌詞がすごく心に刺さる。

〈今まででどうにかやってきた/やってきた、だから/これから何もかも上手くいく/上手くいく気がする〉
〈君がしたいならそうすりゃいいじゃん/やめたいならやめればいいじゃん/ああもういいんだよ/それでいいんだよ〉

会場のお客さん全体を見るように優しく歌う谷口の姿に気づいたら涙が溢れていた。続いて「MUSiC」ライブアレンジVer.のイントロが流れ始めた頃にはもう涙が止まらなくなっていた。

〈聞きたくないことばかり聞こえる世界だから そんなもんは聞こえないようにしてあげるよ〉

私たちはこの曲のこの詩のような言葉に生かされているのだろうと思った。結晶星とMUSiCは私がKANA-BOONの中で本当に好きな曲で、2曲連続で聴ける日が来ると思っていなかったから、余計に感慨深かった。

『みなさんお腹すきましたかー?』『チャーハン食べたいですかー?』フェスでの大定番曲「ないものねだり」へ続くお決まりの質問だ。さっきまでのしっとりした空気から一気にみんなのテンションは上がる。イントロ後の『ワンツー!』では会場が一つになった。コールアンドレスポンスでは『もうすでに100点じゃないですか〜。120点、いや、200点出せますかー!?』
会場を煽りながら『ゆらゆらゆらゆらゆらゆらただいまーーー!』と叫び手を広げる谷口に1800人の『ゆらゆらゆらゆらゆらおかえりーーー!』が返された。満面の笑みの谷口は心からライブを楽しんでいるように見えた。そこからの『フルドライブ』アクセル全開の古賀のギターに一気にぶち上がる。後ろで見ていた私も気づけば手を上げていた。

MCで谷口はクリープハイプと対バンできる感謝を伝えた。新曲「バトンロード」では一生懸命にギターを弾き歌う谷口、ギターソロでは前に出てきながら観客全員の目を見るように演奏する古賀、目立たずとも低音で演奏を支える飯田、癒しキャラでありながらライブではかっこいいパフォーマンスをみせてくれる小泉。KANA-BOONがバランス良く一つになっていると感じながら、泣かせに来るメロディーに、やはり泣かされた。

『次で最後の曲です』という谷口の言葉に『えーー!』という声が聞こえた。谷口は『そんなこと言いながらみんなクリープを心待ちにしてるんでしょ?』と笑いを誘い、会場を和ませた。
最後の曲の「シルエット」では大サビ前、スポットライトを浴びた谷口の声だけが会場に響く。『覚えてないことも』のこの瞬間、やっぱり私の憧れのヒーローだ。間違いなくそうだと思った。
 

舞台転換が終わり、登場するクリープハイプ。いつにもましてかっこいい。いきなり『ゆらゆらゆらゆは僕の心〜』と歌う尾崎に会場が沸いた。『ゆらゆらとか言ってるのを聞くとまだ若いな〜と思いますよ。俺らは愛愛愛愛〜でいきますから。』『なあ?カオナシ?』と普段より低く強く投げかけられた言葉に『いくぞ。ついてこい。』と返し、彼のベースソロから始まる「HE IS MINE」フェスの定番曲でもあるこの曲から始まり『今度あったらなにをしようか』の所では1800人の『sexしよう』が響いた。『大変よく出来ました。ありがとう。』
尾崎の言葉に歓声がわく。
2曲目は「愛の標識」早く流れるようなリズムが心地良かった。「寝癖」「ABCDC」「蜂蜜と風呂場」と続く。「蜂蜜と風呂場」ではイントロからずっと続く尾崎と小川のギターの掛け合いが気持ちよく体に染みた。

普段ライブでやらない曲の前のMCでは『フェスとセトリほぼ同じとか言うんだろ?まあそんなに言うなら?普段やらない曲やりますよ。その代わりやって良かったと思わせてください。』と会場をさらに盛り上げた。
続いてアコギに持ち替えて『今日は機嫌が良いのでイケメンとデートしたいと思います』と長谷川の曲「グレーマンのせいにする」を披露。長谷川らしい少し不思議な雰囲気に会場が包まれた。
続いて「鬼」では一気に手が上がり大いに盛り上がった。歌詞を『大阪の六畳間で』と変えて、大阪のみんなを喜ばせた。

「百八円の恋」では

〈もう見ての通り立ってるだけでやっとで/思い通りにならない事ばかりで/ぼやけた視界に微かに見えるのは/取って付けたみたいなやっとみつけた居場所〉

という歌詞があるのだがら、そこから私の視界もぼやけていった。

〈涙なんて邪魔になるだけで/大事な物が見えなくなるから/要らないのに出てくるから/余計に悔しくなる〉

もう本当にその通りだと思う。ライブで聞くとクリープハイプというバンドの気持ちも乗って、より心に詩が染みた。自分の気持ちを歌われているようで、なんだか心がソワソワした。わかってくれるんだなあ。あんなに輝くヒーローもこんな気持ちになるのかなあとも思った。

「社会の窓と同じ構成」からの「社会の窓」はクリープハイプというバンドを体で感じている気がした。両曲での尾崎の『ばーか』は、なぜこんなにかっこいいんだろうといつも不思議になるが、この日も本当にかっこよかった。

『みなさんお待ちかねの新曲』と紹介された「イト」は言葉遊びをしながらも意味のある歌詞と、低音から高音へと移るメロディーがみんなの心を踊らせた。

最後の曲「イノチミジカシコイセヨオトメ」の前のMCでは『歌詞が大阪弁なんですよ』と、この歌詞と大阪に対する想いを語った。

〈明日には変われるやろか/明日には笑えるやろか〉

私も毎日『明日には変われるやろか 明日には笑えるやろか』と思っているから、この歌詞は痛いほど心に染みた。

『ありがとうございました』と一礼し退場した。アンコールでは尾崎が1人で出てきた。KANA-BOONの谷口が参加した楽曲「陽」を披露したのだが、『セッションなんてありきたりで嫌なんですよ』と言ってカラオケで2人ともハンドマイクで歌った。明るくて、谷口と尾崎のハーモニーが綺麗なこの曲は私のお気に入りだ。最初からずっと笑顔で見ていたのに途中から肩を組んで楽しそうに歌う2人がだんだん滲んで見えなくなった。

〈今日はアタリ 今日はハズレ そんな毎日でも/明日も進んでいかなきゃいけないのか〉

〈無理に変わらなくていいから/代わりなんかどこにもないから/もしかしたら明日辺り/そんな平日〉

2人のこの歌を生で聴けるとは。歌から強い気持ちを感じたりどうしてこうも歌は人の心を動かすのだろう。音楽の力を強く感じた。
曲が終わると、尾崎は『最後のサビで鮪が目を合わせてきたけど絶対見ないって思った。なんか恥ずかしいじゃないですか。』『絢香とコブクロみたいになるじゃん』と言うと『曲がりくねった〜』と歌った。
照れながらもすごく嬉しかったんだろうなあと思った。尾崎が喜ぶと周りも明るくなるような気がする。

メンバーがステージに出てくると、本当に最後の曲「大丈夫」

『大丈夫という曲をやります』と聞いた瞬間に、さっきおさまったばかりの涙がまた溢れ出てきた。

この曲は私が初めてクリープハイプを知った曲。私はこの曲を聞いてクリープハイプを好きになった。この曲は優しい。こんな人が近くにいればなあといつも思う。ライブでこの曲を聞いたのは初めてだった。

〈大丈夫、あたし今日は暇だから/あんたの側に居てあげるから〉

もう涙が止まらなかった。最後の一音までしっかり耳に覚えさせたくて、全部体に取り込んで、4人の姿をしっかり目に焼き付けて、忘れたくなかった。
なのに、音がなりやんだ瞬間『ぼーーっ』という音だけが耳に残った。泣きすぎて頭が痛かった。さっきまで目の奥に映っていた4人の姿はもうそこにはなくて、尾崎が「5%」前のMCで『ライブに来ても95%は忘れてしまうかもしれない。でも5%くらいは覚えて帰ってください』と言っていたのを思い出した。尾崎が言っていたように、ライブにきても95%は忘れてしまうかとしれないと思った。

でも、感じたことは確実にある。

このライブは今までで一番だということ。

心から生きてて良かったと思ったし、このために生きているんだなあと思った。

そして、これからも生きようと強く思った。

こんなに幸せで感動する瞬間があるなら、多少の辛いことなら乗り越えられるし、忘れられる。

ヒーローに会えるなら頑張れる。

私は音楽に生かされて、音楽のために生きているのだと思った。

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