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15年の空白を埋め続けた4年間

THE YELLOW MONKEY SEASON2

台風17号が接近するなか敢行された「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR
2019 GRATEFUL SPOONFUL」(以下、GF SFツアー)熊本ファイナル。
大げさでなく命がけで集結したファンの前で、イエローモンキーはありったけの力を注いでライブを披露し、5カ月のアルバムツアーを完走した。

4種のセトリをトランプのマークに例えての日替わりライブ。19年ぶりのアルバム「9999」を中心にしながらも毎日が初日のようなライブをやってのけた彼らは、50代にして新たな挑戦を続け、それを完ぺきではないにせよ、彼らの魅せ方で、彼らの鳴らし方で日本中のファンを虜にした。
まさに「黄金時代は今だったりしてね」な風格さえ漂わせていた。

このライブが終わると、年末から始まる結成30周年「東名阪ドームツアー」に彼らは取り掛かる。
しかし、GF SFツアー終了直後、ロビン(ボーカル吉井和哉)からは驚きのアナウンスがあった。と言っても、ツアー中のMCですでに言葉にされていたので、ファンにとってはそれほど驚きの発表ではなかったのだが。
ただ、「充電」とされていたのに、いつの間にか「活動休止」という言葉になっていてちょっと戸惑ってはいる。

再集結後、僕らは4年間走り続けてきた。SEASON2(再集結後から30周年ドームツアーまで)はドームで一旦終了して、リセットしたい。アーティストとしても人間としてもいろんなことを挑戦、経験して、曲を作って、またイエローモンキーというホームに帰ってきたい。そして遠くない未来に新しいアルバムを制作して、ツアーをやりたい。
とはロビンがスポーツ紙に語った言葉。

つまりは、次のステップにいくために、お休みを経て「今までなかったような最強の10枚目」(このツアーのMCでロビンが言ったこと)を作る時間が必要だということだ。
その間には、各自ソロをやるかもしれないし、ロビンはサザンの桑田さんのように違うバンドを作ったりするかもしれない(全くの憶測です)。
人間としての経験が何を意味するのかはわからないが、長いツアーの間に何か思うところがあったのだろう。

実際、ツアーが始まったころはアルバムができた喜び、それを披露することの誇らしさ、ファンやメディアに受け入れられた自信を何の衒いもなく表現していた。イエローモンキーとしてもう一度ステージに立てていることを心から幸せと感じている。そうステージでロビンは語っていた。
「THE YELLOW MONKEY is MY LIFE」そう言い出したのはいつのライブからだろう。
メンバー紹介でエマ(ギター・菊地英昭)を「デヴィッド・ボウイにミック・ロンソンがいたように吉井和哉には菊地英昭がいます」と言うようになったのはいつからだろうか。

そのメンバーとの愛は今ももちろん変わらないだろう。だけど少しずつ溜まっていく疲労とともに、また新しい世界に行こうとしたとき、あのSEASON1の終末を二度と経験したくないという思いが頭をよぎったかもしれない。
彼らの絆はゆるぎない。それは間近で観て、成長した旧曲や鮮やかな新曲を耳にするごとに伝わってくる真実。
だからこそ、いったんここで足を止めたくなったのだろう。
たとえそれが文字通り「活動休止」であったとしても、SEASON1の時とは全く違う。何もかも投げうちたかったあの時とは全く異種な、未来のための「お休み」なのだ。

彼らは4年間、文字通り遮二無二走ってきた。

再集結が発表されて、私たちは両腕でも余りあるほどの思いを抱えてアリーナへ向かった。そのあまりにも大きな思い×1万5千人を目の当たりにして彼らは立っているのが精いっぱいだったのではないだろうか?
「最初幕の中にいて、その向こうのものすごい熱気に一体どうなっているんだろうとすごく緊張した」
とはエマの述懐。
「ファンのみんなの熱量がすごくて、それに対抗するのにこちらもすごい力が必要だった」
 

何よりもここでこうしてることが奇跡と思うんだ
 

続くホールツアーでは、もっとシンプルにもっと近い距離でファンとの再会を噛みしめた。
私たちの「帰ってきてくれたんだ」という思いもまだまだ強く、まるで夢をみているような日々を過ごした。ステージでは心からTHE YELLOW MONKEYを楽しんでいる4人がいる。それを観ているだけでどれほど幸せだったろう。

メカラ ウロコ27は、なんと約20年ぶりのメカラ ウロコ! 伝説の7を踏襲したセットリストで、彼らの誕生日を祝う。

ファンクラブ限定ライブ「DRASTIC HOLIDAY」ではまるで一つの大きなこたつの中で温まるかのようにファンに寄り添ってくれた。

そして東京ドーム! 彼らにとって様々なトラウマを取り払う最後の儀式。
「WELCOME TO MY DOGHOUSE」で幕を開け、「悲しきASIAN BOY」の紙吹雪で終演する。その全ての瞬間が、「あの東京ドーム」と全く違って、ここでのライブを心から喜び心から感謝し、心から楽しんだ。全てを塗り替えることのできた2時間半だった。
紙吹雪を感慨深げに見上げるロビンの姿が今でも目に焼き付いている。

ようやくここまで来た

その年のメカラ ウロコ・28から1年後のメカラ ウロコファイナル。
一体この1年の間に何があったのか!?
そう思うくらい彼らの変化、進化に目を見張った。

何があったって、そりゃあ、19年ぶりNEW ALBUM「9999」を制作していたのさ。

ここまで来るのに再集結から実に3年かかった。もっと言えば、アルバム「8」からは19年の歳月が経っている。

だが、そのアルバムはその年月が絶対必要だったことを私たちに知らしめる。
それほどに完成度が高く。一皮も二皮も剥けた鮮やかに進化したイエローモンキーがあったからだ。だが、間違ってはいけない。それでも彼らの彼らたるものはなんら変わってない。

ヒーセ(ベース・廣瀬洋一)のベースはいつでもどんな曲でもTHE YELLOW MONKEYにしてくれる。
アニー(菊地英二)のドラムは年月を全く無駄にしなかった。心もテクも格段に進化を遂げた。
エマのセクシーなギターは、イエローモンキーにとって花であり毒。最強のギタリスト。
そして、ロビン。THE YELLOW MONKEY を具現化する核。

4人それぞれ解散したころは、音楽を離れることも考えたという。でもそれはできなかった。
「いつか戻れる日のために、ロックを辞めなかった」
「いつもメンバーを気にして、ずっと見ていた」

あの日、ロンドンの空の下でやっと素直に「一緒にやってくれませんか」とメールが打てたロビン。私はその日の空と空気に心から感謝する。

ALRIGHT で奇跡と絆を歌い上げ
ロザーナ で再会を噛みしめて
Horizon で仲間の無償の愛に涙して

アルバム「9999」でも、「この恋のかけら」や「Changes Far Away」では、
過去の後悔と未来への希望が交差するような歌詞を書いている。
しかしそれは、解散を悔いるものではなく、15年を含めた19年の歳月が決して無駄ではなく、今の彼らをさらに前へ進ませてくれる糧であったことを感じさせる歌詞だった。
家族のように過ごしたLAでのレコーディングを経て、彼らは確固たる自信を備えて帰ってきた。

忘れないで
過去に光るのは誇り高きラプソディ
もっとキレイな月 

※過去に苦しんでいた自分に向けて、そのもっと遠くにCHANGES(変化)がある
 綺麗な月があるんだよ、と歌いたかった。(歌詞についてロビン談)
 

そのアルバムを引っ提げての GF SFツアー。ファイナル熊本でロビンはこう言った。
「このツアータイトルのSPOONFULはスプーン一杯ていう意味なんだけど。みんながスプーン一杯ずつ持ち寄って、ライブに集まってくれたらと思って付けました。いまだにスプーン一杯ってなんだろうって、言葉にできないけど。嬉しかったり、感謝したり、助け合ったりの気持ちなんじゃないかと思う」

私はそのMCを聞いて、ふと思ったことがあった。

今年の年末に結成30周年を迎えるTHE YELLOW MONKEY。30年前のその日は、エマが加入して、ロビンがこのバンドのボーカルになった瞬間だ。だがご存じの通り、そこには15年間の空白がある。

彼らが活動休止から解散をしてしまい、悲しみと絶望、怒り、いろんな感情が生まれてみんなそれぞれ苦しんだ。メンバーもファンも。不安な日々が始まり、もうあの幸せな時間は帰ってこないのかと諦めてもいた。

だが、そうじゃなかった。

みんなが持ち寄ったスプーン一杯の愛や喜びは、時間と自分の空白を間違いなく埋めていった。どんどん大きく膨らんでいく彼らへの思いが、時を越えていった。15年はなくなったことにはならないけれど、今はその時間さえも、この奇跡のバンドTHE YELLOW MONKEYを作り、伝説の名盤となるだろう「9999」を生み出した。
この先もさらに最強のアルバムが作られる!

この4年間、THE YELLOW MONKEYは私たちと共に15年の空白を埋め続けた。
今回のツアーのみならず、それは再集結後のアリーナから始まっていた。
大きな、数知れないスプーンを持ち寄って。そこには紛れもない愛と絆と流した涙と同じくらいの喜びが詰まっていた。
どのツアーでも私たちはでっかいスプーンにあふれるほどの思いを持ち寄ってきたんだ。
それは彼らと私たちにしかできないことだ。
再集結後のファンも同じように注いでくれた。
ソロから好きになったファンも同じ。
みんながTHE YELLOW MONKEYを欲望し、呼び続け、叫び続け、せっせとスプーンを運び続けた。

だからあんなにも心も体も満たされていたんだ。

SEASON2の完結であるドームでは、またまたでっかいスプーン一杯を持っていこう。
そして思い切りそれを注ぎ込む。魂が抜けるくらい全部全部注ぎ込む。
次に会えるまでまたすぐ溜まるから。抜け殻になるまで命がけで注ぎ込む。
ドームはすぐに満杯になることだろう。
 

ただ、一つだけ心配ごとがある。
SEASON1から2までが15年。だが、次はそんなにはさすがに待てない。
SEASON2から3までは、2年くらいでと切に切に願っている。
 

残された時間は、残念ながら長くないから。
 

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