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BUMP OF CHICKEN 藤原基央が唄う「君」と「僕」

1人が1人じゃなくなる瞬間

BUMP OF CHICKENのボーカルである藤原基央。
彼の唄にはよく、
「君」と「僕」がいる。

「君」と「僕」はとても抽象的な言葉だ。だから、
「君」は女性で「僕」は男性かもしれないし、
「君」は子供で「僕」は大人かもしれない。
捉え方は人それぞれである。

ここからは個人的な見解になるが、
藤原基央の唄を聴いていると、
不安や恐怖でたった1人で震えている人が浮かぶ。

怖くて、辛くて、苦しくて、
1人で震えている涙で濡れた弱い人。

そんな人を、
優しく包み込み、抱きしめていくところが、
藤原基央の唄の最大の美しさだと思う。

弱さを否定せずに肯定する。
自分にとってダメなものだった涙さえ、
彼は大切に抱きしめてくれた。
 

「君が未来に零す涙が
 地球に吸い込まれて消える前に
 ひとりにせずに掬えるように
 旅立った唄 間に合うように」
 

泣いてもいいんだ。そう思えた。

そこで、ここに出てきた「君」という歌詞。
私にとってこの唄は、
「君」は自分自身、「僕」は藤原基央で、
藤原基央からのメッセージとして受け取っている。

するとどうだろう。

孤独だと思っていた自分の心に、
唄の中にいる、私に向かって唄いかける、
対角線上の誰かがいる。

そうした瞬間、もう1人ではない。

ひとりじゃないのだ。

こんなにも涙が溢れるぐらい安心できて、
何にも変えがたい力強い事実はあるだろうか。
 

「僕がここに在る事は あなたの在った証拠で
 僕がここに置く唄は あなたと置いた証拠で」
 

ひとりじゃないという事実に救われた人は、
きっとたくさんいるはずだ。
皆ひとりだから。
そしてそのひとりを全て掬い上げようとするのが、
藤原基央、BUMP OF CHICKENである。

涙が溢れて何かから逃げ出したいとき、
将来の不安に襲われそうなとき、
明日さえも怖くなってしまったとき、
彼らは必ず、
自分の弱いところを、
見逃すのでも、隠すのでもなく、
ちゃんと向き合って、そして肯定してくれた。

彼の唄は、
背中を押す唄ではなく、
一緒に進む唄が多い。

辛くても、苦しくても、怖くても、
一緒に手を取り合って、弱いところを抱きしめて、
ただひたすらに生きていく。
そして、一緒に弱くなったりもするのだ。
 

「同じ時に震えたら 強くなれた 弱くなれた」
 

1人が1人じゃなくなっていく。
「君」がいるなら必ず「僕」がいる。
そんな関係が、たったそれだけの事実が、
どれだけの人に勇気を与えているだろう。

もし、
「君」が恋人で、「僕」が自分自身だったら、
とても大切な愛の唄になるだろう。
「君」が自分自身で、「僕」が大切な人だったら、
涙が溢れるとても優しい唄になるだろう。

どんな捉え方であれ、
ひとりじゃない。
 

「ハズレくじばかりでも 君といる僕が一等賞」
 

藤原基央は、BUMP OF CHICKENは、
きっとこれからも、
ひとりを唄い、そして、
そのひとりの先にいる「君」の、
弱いところも全て受け入れてくれるのだろう。

涙も枯れ果てて、震えてしまっても、
心の側にいてくれている唄に気付けたら、
きっと音たちと一緒に、
びっくりするぐらい泣いて、
くっつきながら震えるのだろう。
そして、弱くなれて、強くなれる。

長い経歴を持つ彼らだが、
20年以上たった今でもずっと変わらない、
その大きい優しさを持つ唄は、
ずっと側に在り続けている。

だからこそ、
彼らがデビューしたころ、
両親がまだ結婚もしてないような私にでさえ、
何の抵抗もなく、温かい事実として、
心の側にいられるのだろう。

今日も、また、
藤原基央が作り、
BUMP OF CHICKENが奏でる唄は、
心の側に、
優しくいてくれているようだ。

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