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BUMP OF CHICKENが見せてくれた「新世界」

中3でバンプに出会った話とそれから

 僕のBUMP OF CHICKENとの出会いは、2012年の秋頃だった。当時中学3年の僕は、部活を引退し、地元の高校に合格するべく勉強していた。将来のことなんて分からなかったし、漠然としていたと思う。友達も多くはなかったけれど、毎日つるんでいた友達はいた。音楽もその友達と同じJ-POPグループを好きでいた。しかし、僕は何か新しいものを探していた。自分が夢中になれるような何かを、探していたのである。
 そんな中、いつもと同じように昼食をとっていたある日、校内放送で流れてきた音に、異様に心を惹かれた。

<見えないモノを見ようとして 望遠鏡を覗き込んだ/静寂を切り裂いて いくつも声が生まれたよ>
(BUMP OF CHICKEN「天体観測」)

 僕の中で「これだ」と言う声が聞こえた。初めて聴くBUMP OF CHICKENは衝撃で、心を稲妻に打たれたようだった。僕にとっては全てが新鮮だったのである。聴いたことのないバンドサウンドと、なんだか凄そうな歌詞。新鮮すぎて、今度の新しいドラマか何かに使われる新曲だと思った。校内放送では楽曲と一緒にアーティスト名と曲名も紹介してくれていたので、家に帰ると真っ先に昼食時に流れた曲について調べた。そしてすぐに10年以上も前の曲であることを知りさらに衝撃を受けた。早く他の曲も聴きたいと思い、週末には地元のレンタルショップでBUMP OF CHICKENのCDを借りたのを覚えている。

 それからBUMP OF CHICKENという新しい世界に引きずり込まれるまで、そんなに時間はかからなかった。好きだった先輩におすすめされた「プレゼント」で涙を流したり、学校で「K」が好きだという友達を見つけて喜んだりと、まるで景色が変わったようだった。暇があれば歌詞を見ながら曲を聴いたり、ミュージックビデオを見たりしていた。また、オーディオでかける曲の選択権を僕が支配していた親の車の中では、塾や駅への送り迎えの途中ずっとBUMP OF CHICKENの曲を聴いていた。高校に上がってからもその習慣が変わることはなかった。

 高校2年の時には、初めてのライブを経験した。部活が忙しく週末でもなかなか休みにならない中、部活の休日と公演日が運良く重なったのだが、これは奇跡だと思った。“WILLPOLIS 2014”のマリンメッセ福岡公演1日目。今でも鮮明に覚えている。

「Stage Of The Ground」では升秀夫のドラムが力強かったこと。
「プラネタリウム」ではスタンド席から見たアリーナのザイロバンドの光がとても綺麗だったこと。
「ray」では直井由文のベースが印象的だったこと。
「ガラスのブルース」では増川弘明のギターソロがとてもエモーショナルだったこと。
「真っ赤な空を見ただろうか」では藤原基央が後半の歌詞を変えて歌ったこと。
そして「天体観測」は、とてつもなく迫力があったこと。

 挙げればきりがないが、何よりも4人が自分の目の前で演奏しているという事実に圧倒されそうになった。あの時の景色を一生忘れないと思う。

 それから大学に進学し、幾度となくライブに行くことができた。どのライブでも、心のキャパシティ以上のパワーをもらった。それは間違いないことである。しかし、ふと我に返って考えることがある。

 “BUMP OF CHICKENと出会っていなかったら、僕はどんな生活を送っていたんだろう?”
———たらればの話なので、もちろん答えは出せないが、もし出会っていなかったらと思うと怖くなってしまう。
 
 最新アルバム『aurora arc』に収録されている「新世界」という曲の一節に、こんなフレーズがある。

<君と会った時 僕の今日までが意味を貰ったよ>
(BUMP OF CHICKEN「新世界」)

 「新世界」の別の部分の歌詞には<ベイビーアイラブユーだぜ>とあるように、この曲はラブソングと解釈されがちである。もちろん僕もそう解釈してはいるのだが、何度か聴いていくうちに「これは僕の人生のことを言っているんじゃないか?」「僕を代弁してくれているんじゃないか?」と思うようになった。今からずっと前、何も無かった僕はBUMP OF CHICKENと出会った。夢中になって、BUMP OF CHICKENの曲たちを聴いた。「ライブに行きたい」という、それまでに抱いたことのない感情が芽生えた。そして、出会ってから1年半かかって行くことができたライブでは大きな感動をくれた。日常でも、生きていく上での大きな糧になった。決して大袈裟ではない。それまで無味乾燥だった”
“僕”の人生は、“君”に出会ったことで意味を貰ったのである。まさにBUMP OF CHICKENが見せてくれた「新世界」だった。

<手をとった時 その繋ぎ目が/僕の世界の真ん中になった/あぁ だから生きてきたのかって/思えるほどの事だった>(BUMP OF CHICKEN「Spica」)

 2018年2月11日、さいたまスーパーアリーナのステージ上で藤原基央は「僕は、僕たちは、バンドを組んで良かった」と語った。それまでBUMP OF CHICKENとして22年間を歩んできた彼の言葉は、並々ならぬ実感を帯びていた。それまでBUMP OF CHICKENの存在を疑うことなどしたことはなかったものの、この一言で、彼らの存在だけでなく、BUMP OF CHICKENと出会って彼らを信じた僕の存在まで肯定されたような気がした。藤原が弾き語りで急遽披露した「Spica」には、そんな思いがこもっていたように感じた。<あぁ だから生きてきたのかって/思えるほどの事だった>。そんな光景が、僕の目には映っていた。

<名前を呼んでくれただけで 君と僕だけの 世界になったよ>
(BUMP OF CHICKEN「アリア」)

 BUMP OF CHICKENの曲たちは僕を新しい世界に連れていってくれる。それは僕だけではないだろう。“君と僕だけの世界”はきっと無数に、無限に広がっている。

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