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グッドモーニングアメリカが誘う未来と光

いつも私の心に触れる彼らの音楽

2019.7.6 私は東京吉祥寺のライブハウスにいた。
“今宵会”ファンクラブ限定のライブイベント。
普通のワンマンライブと何が違うのか?
この“今宵会”のセトリはクルーと呼ばれるファンから事前に案を募り、その中からメンバーが選んだもので行われる。
ファンの選曲故に、アルバムのツアーでしか演奏しない様な曲、アルバムにすら入っていない様な曲も演奏された。
『新曲だと思って、唄える人は唄って貰えば』
ギターの渡邊さんもそんな自虐を言ってしまう程だ。
それでも前奏が始まればみな、あっ!となる。
ここにいるみんなグドモが大好きで、そしてグドモメンバーもそんなクルーを大切にしてくれている。
ライブの最後に配られたメンバーとクルーの集合写真が、何よりそれを物語っている。

今から5,6年前、私は慌ただしくも単調な毎日を送っていた。
どうしても自分の中でうまく処理出来ない憤りを感じながら、自分の想いを言語化して人に理解を求めることもとうに諦めて、もう何年も過ごしていた。
たぶん私はこのままで、ずっと生きていくのだろうと思っていた。
そんな渇ききった私に“空ばかり見ていた”という曲が流れ込んできた。
 

    妄想想像ばっか
    膨らまして
    この現実に
    イライライライラ
    隔靴掻痒状態
    生きる事が
    いつだって不安だ
 

ボーカル金廣さんの強い感情のこもった歌声とその言葉に私の心情が共鳴している気がした。
これが私とグッドモーニングアメリカの音楽との出会いだった。

車のオーディオから流れるグドモの音楽が、私の生活に馴染んでいった。
もう少しだけ頑張りたい時、辛くても弱音すら吐く事が出来なかった時も、私の中で彼らの音楽が鳴り響いていた。
 

    何度生まれ変わっても
    良かったと誇れる様な
    生き方をしていたいよな
    そしたらこの運命も愛せるはずです

    いつからだろう?
    下らん偏見とか
    常識に心囚われていた
    生まれたばかりの様に
    ありのままの世界を愛したいよ
    ありのままの自分を愛したいよ
           “拝啓、ツラツストラ”

目の前にある理不尽な現実も、それをどうしても変えられない不甲斐ない自分をも全て肯定されている気がした。

そして私はある決断をした。
『私はここで幸せになることは絶対にできない。』
他にもいろいろあったけれど、1番の理由はこれだった。
 

    今夜
    旅に出ようか
    何処かで消えてしまった
    心の火灯しに
    当て所無く
    彷徨っていたのさ
    ただ死に向かってる様な
    日々繰り返していた
           “輝く方へ”
 

結局、最初に退職願いを提出してから実際に辞めるまで1年あまりかかった。
焦り、プレッシャー、怒りで眠れない、食べられない時期もあった。
その間にグッドモーニングアメリカは武道館でライブを行うまでになっていた。
私はよく1人職場で、スマホ越しにライブの記事や写真を眺めていた。盛り上がりを見せるスマホの向こうの世界とその一員になれない自分との間に急に大きな隔たりを感じて、退職前の慌ただしさを口実に彼らが作る音楽の世界から離れてしまった。

それから1年後、どうしたんだろう?が率直な感想だった。
 

    牙などない僕はこの手で
    生きる事に獅噛み付いてる
    oh
    生きる屍
    の様だ
           “ノーファング”
 

『今の私と一緒だな。』
光が眩しすぎて離れてしまった私を引き戻したのは、そんな闇だった。
環境も変わって昔諦めた事を始められているはずなのに、なぜか気持ちはそれほど満たされなかった頃で、その闇が妙に心地がよかった。

初めてライブハウスへ出掛けたのは、彼らの名古屋のワンマンライブがきっかけだった。遠出も人混みも苦手な私にとって、それは自分でも驚くくらいの行動だった。
それから2年、東京・名古屋・大阪、地元でもグッドモーニングアメリカは私に思い出を作り続けてくれている。

人生って不思議。
不意に予想外の未来を用意してくれることがある。
30年前の片田舎ではマイノリティだった生い立ちのせいか、人よりも少し歪んで見えるこの世界も
今は素直に愛したい。と思えるのもきっと彼らのお陰だ。

19.9.29 名古屋の今宵会
この日も私が選んだセトリとは違う曲が次々と演奏されていた。まだ今の私には選べないだろう彼らの光の曲も、いつか私の大事な曲になればいい。そう思いながら聴いていた。
 

    いつか
    消えてしまうんだ
    僕もあなたも
    忘れたくはないな
    忘れたくはない
    この気持ちを
    この今を
    どうでもいい事は
    忘れてしまおう
    大切な事だけを
    覚えていられる様
           “世界終わらせないで”
 

『次のライブまで、明日からまた屍の様に生きてください。』
ライブの最後に金廣さんはそう言って、いたずらっぽく笑ってみせた。
「そんな人生も悪くないな。」
心の中でそうつぶやきながら、私もつられて笑ってしまった。

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