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「バンドを楽しむ」という新境地へ

flumpool "Command Shit Z" パシフィコ横浜を見て

 3年3か月振りに参戦したflumpoolのツアー
会場は2年前、ボーカル山村の声が全く出なくなり活動休止の引き金となった
パシフィコ横浜。活動休止の背景を知っている人もそうでない人も、様々な思いが入り混じった緊張感が開演前から漂っていた。

“⌘⇧Zは「redo(再びする)」を意味します。要は、進行中のプロジェクトにおいて、1つ戻るコマンド(⌘Z)と、戻った地点から再度進むコマンド(⌘⇧Z)ということになるのです。~メンバー一同悩み抜いた結果、この一見無機質な記号のようなタイトルに今の想いを託す事になりました。”
これはツアー前に発表されたコメントの一部。「活動休止したところから再びやり直す」という意味が強いようにも感じるが、実際に感じたことは、
「4人がバンドを思いっきり楽しんでいる」というポジティブなメッセージだった。10年の月日を経てバンドが生まれ変わり、この変化をメンバーが楽しんでいるような空気感だ。
それには3つの理由がある。

まずは「山村の声」。過去3回ほどワンマンに参加しているが、これまでで一番声が安定していた。まさにベストアクトと言ってもいいだろう。少しこもって聴こえるが力強く耳に届くボーカルはひとつひとつの発音がはっきりしていた。様々なところで語られているが、活動休止以前の4年ほど前から山村は自身の声に不安を抱えていた。他のメンバーも山村を気にかけながらライブをしていたことも少なくないだろう。しかし、それが嘘だったようにこの日の山村の声は堂々としていた。ギター、ベース、ドラム、ボーカルそれぞれがパートに集中できる環境が出来たことで余裕が生まれたのか、メリハリのついた新しいグルーヴが生まれていて、「バンド感」が以前にも増して強くなっていたように思う。

2つ目は「メンバーの関係性の変化」。以前は、「ギターの阪井が盛り上げ、山村がそれに突っ込み、他のメンバーはしゃべらない」このようなMCが定番だった。しかし今回は違った。友達同士が集まって言いたいことを思うがままに言い合うような、微笑ましい光景が繰り広げられた。ベースの尼川が面白がって細かい突っ込みを入れていたのも印象的だった。以前はどこか独特な空気感を持ち、言葉少なだった彼。今は4人の中での立ち位置を見つけ、それを楽しんでいる。これまでMC役だった阪井は今回あまり言葉を発さず、演奏に集中。山村が感情的になりMCで混乱している横で、ギターの上に腕を組み堂々としていた姿がモニターに映った際は思わず笑ってしまった。「時を経て人もバンドも変化する」ということを見せつけられた、ひとつのハイライトである。
 
最後は「曲と演奏の幅広さ」。キャッチーな曲が多い印象のflumpoolだが、EDM、ロック、バラード、ダークなサウンド・・・新旧様々要素を持つ曲が披露された。曲によってはシンセベースが登場するなど、初期に比べると曲、演奏の幅もかなり広がっている。特に、「自分の弱さを周りに言えることは強さ」と山村が語った後に披露された“HELP”は、これまでのどの楽曲にも無い「言葉の説得力」と「バンドの力強さ」を持っていた。
 
活動休止を経て、気負いすることなく「純粋に音楽を楽しむバンド」となって戻ってきたflumpool。
MCで山村は優しい声をかける会場のファンに対して「誇りに思います」と語りかけた。いま、同じ言葉を山村、そしてメンバーやスタッフに伝えたい。
「楽しい時期、苦しい時期を乗り越えて、また曲を届けてくれてありがとう。ファンの誇りです」と。あの瞬間に立ち会えて本当に良かった。

12月30日の大阪城ホールそして、2020年のアルバムリリースと、今後についても発表があった。復活を果たした彼らが次にどんな音を届けてくれるのか今から楽しみで仕方がない。

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