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今日の続きの明日を生きる。

“BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark”-箱舟は弧の先へ

「BUMPのライブって、体感3分くらいだよね」という友人の言葉に、思い切り勢いよく頷く自分が居た。
そうなのだ、始まる前はドキドキして、今か今かと待ち遠しくてたまらないのに、いざ始まってみると一瞬で終わってしまう。
おおよそ2時間半の間、新旧取り混ぜて20近い楽曲が演奏され何度かMCも挟まれるのに、本当にあっという間に最後の曲となり、アンコールを迎えて藤くんの終わりのMCを聞くことになる。
 

幸運にも今回の‘BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark’も複数のライブに参加することができ、先週、人生初のライブハウス公演も経験した。
前回のツアー‘PATHFINDER’では、私を含め、いつもメンバーの誕生日などに集まる関西の友人の殆どがライブハウスのチケットが当たらず、「これって年齢制限あるんとちゃう?」と半ば自嘲気味に諦めた、そんな貴重なライブハウスの公演なのだが、今回はその友人たちも何人かがチケットを手にして「歳、関係なかったね」と笑い合ったのであった。
そのZepp Osaka Baysideでのライブも今ツアー数回目の参加だったのだが、体感は2分半くらいに短縮した気がした。短い。あまりにも一瞬だ。
 

とにかく楽しくて楽しくてたまらない。目の前に生きて動いている4人が居るのだ。どんなにステージから遠い席であろうと、この私の目の前で生身の4人が演奏してくれているのだ。どの曲が一番なんて言えないくらい大好きな楽曲たちを、次から次へと演奏し届けてくれる。

歌詞変えやMCに心震え、絶対に覚えておくんだ!と意気込んでも、一瞬で時が過ぎてしまうから記憶がおぼつかない。時間が圧縮されている。気がつけば最後の曲となり、全神経を集中させて聞いていたあの曲もこの曲もMCも、あっという間に過去のものとなり記憶の遥か後方でぼやけ始めている。
2時間半をもう一度解凍して体験し直したい。記憶の補完をしたい。そのくらい一瞬の出来事に感じるのだ。

とにかく楽しい。
 

ところが楽しくて仕方がないのに、実際には、照明が暗転して始まりを告げる曲が流れ始めると涙、涙、涙、なのである。ステージ後ろの巨大なLED画面に映し出される演出の画像を見て、拍手をしながら座席を立つ自分の全身に鳥肌がたつ。
来る!始まる!

次々と4人がステージに上がってきて、最後に藤くんが高々と愛用のギターを掲げる。

1曲目。もうだめだ、涙腺崩壊。涙なくして聞けない。肩に掛けたツアータオルの出番が早々とやってくる。
 

ライブ終了後、化粧は取れ目は腫れて、人に会うのも憚られるのだが、会場の外で会う友人たちも赤く腫れた目をして、なんならまだぽろぽろと涙を流していたりする。赤い目と鼻で感動を語り合い余韻を引きずりつつ友人たちに別れを告げ、それぞれの帰路につく。
 
 

大袈裟な、と思われるかもしれないが、私はBUMP OF CHICKENとその音楽に出会って人生が大きく変わった、変えられてしまった。想像と全く違う未来を生きる私に、それで良いのだとBUMP OF CHICKENの曲たちは言ってくれる。今までの私と、今の私を肯定してくれる。
歳を重ねてきたからこそ、経てきた時間が長いからこそ心の奥の深いところに響き、力になり支えになってくれるのだ。
 

BUMP OF CHICKENに出会うまでは考えもしなかった出会いが有った。BUMPに出会わなかったら知り合うことなどなかった人たちだ。全国からリスナーの集まってくるドームでのライブ。各地から参加する友人たちとまた顔を合わせるのもツアーの楽しみだ。その一人ひとりにそれぞれのBUMP OF CHICKENとその音楽との出会いがあり、歴史がある。
 
 

ナゴヤドームでの2日目、ブロック端の座席だった私の左隣に来られた若い女性のリスナーさん。私の息子たちよりお若いとお見受けしたが、その拳の突き出し方が豪快で、でも決して横に立つ私の邪魔をするでもなく、後ろの席の人の視界を遮るようなこともなく、爽快で頼もしかった。
お互いひとりでの参加だったので、お声を掛けてみたら快く応じて下さり、しばらく楽しく会話をさせてもらった。そのままいつかまたどこかで、とお別れするのが勿体ない気がして、その方とはそれで終わりたくなくて、厚かましくもツイッターのアカウントを聞き出して繋がってもらってしまった。
 

やりたいと思った事をやらないで後悔したくない、と強く思い始めたのはここ数年のことだ。時間は止まらないし、‘今’は刻々と過ぎていく。自分がこの世から居なくなる時に後悔したくないという思いが、年々強くなっている。少々厚かましくても、折角のご縁を繋ぎ止めておきたい。些細な出会いにも自分の直感に従いたいのだ。
 

“BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark”も残すところ10月15日、16日のZepp Sapporoと、11月3日、4日の東京ドームの4公演となってしまった。
長く感じられたツアーの日程も、始まってしまえばあっという間だ。
参加した人もまだこれからという人も、ツアーが終わればまたそれぞれの日常が待っている。

ライブが終わってしまえば、明日からまた仕事や学校、家事、育児、家族の介護といった、目の前のなすべき事をひたすらこなすだけの毎日を生きていくしかないのだと感じる私たちに、ヴォーカル・ギターでありBUMP OF CHICKENの殆どの曲を書いている藤原基央さんは、「君たちは今日の続きの明日を生きるんです。そのことを忘れないで欲しい」と言う。

そして、‘私たち’が、いや、‘この私という存在’が曲を創っていくための松明=光なのだと言ってくれる。‘君’に届いて欲しいと思って曲を書いている、君に向けて歌っているのだと。
 
 

私はいつまでもその松明=光であり続けたい。
 

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