2531 件掲載中 月間賞発表 毎月10日
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

Official髭男dismよ、「嵐」を巻き起こしてくれ。

「なんかよくわからないけど、良い」という一番恐ろしい理由で愛されてしまうヒゲダンの末恐ろしさ

 
 
私は、Official髭男dismのボーカル藤原聡と同じ1991年生まれで、
私は、Official髭男dismのボーカル藤原聡と同じ鳥取県出身だ。
 
 

残念ながら、私が「そういう視点で彼を見てしまっている」ということは紛れもない事実である。100の内49は「プロのアーティスト」として見ているが、100の内51は「自分と同じ県で同じ年に生まれた同い年の男」として見てしまっている。
 

まさかこんな日が来るとは夢にも思わなかった。自分と同じ出身地のアーティストが世に出てくるとは。しかもこんなド田舎の中のド田舎から。似たような現象を考えるのだけど、どれもしっくりこない。強いて言うならB’zのボーカル稲葉さんが岡山県津山市出身ということくらいだろうか。津山市は、近くに住んだことがあるので知っている。田舎だ。そもそも、あんな日本の音楽界のカリスマの中のカリスマのような存在が津山市で生まれたというのは私は未だに「嘘」だと思っている。紛れもなく「真実」であるのに「嘘」だと言いたくなってしまうくらい衝撃的なことなのだ。田舎者にとっては。都会の人は「大袈裟だ」と笑うだろう。それでいい。とにかく、誰が何と言おうが田舎者にとっては衝撃なのだ。
 

鳥取「県」の人口は、日本で一番少ない。57万人。これがどういう数字かというと、神戸「市」の人口は153万人で、名古屋「市」の人口は229万人で、横浜「市」の人口は372万人だと言えば少しは理解していただけるだろうか。お間違えいただきたくないのは「県」と「市」で比較しているという点だ。結論から言えば、とにかく人がいない。ソシャゲのガチャで言うと、鳥取県民というのはもはや存在自体がスーパーレアなのだ。星は6個並び、カードの色はもちろん虹色。この虹色のカードと出会うためだけに、人々は身も心も疲弊させて必死に稼いだお金を血眼になって課金する。そしていざガチャで引き当てようものなら、脳内から瞬時にアドレナリンとドーパミンが噴出し喜びと興奮のあまり我を見失いその場で踊り出してしまうような、そんな輝かしい存在であるはずなのだ。鳥取県民は。数字だけ見れば。今、関西に住んでいる私は何かにつけて冗談49本気51の比率で会社の人達によく言う。「私は鳥取県民ですけど、鳥取県は日本で一番人口が少ないんですよ!?鳥取県民と出会える確率は日本で一番低いんですよ!?私と出会えたことをもっと有難がって感謝してくださいよ!?」当然「はあ?」と返される。それまでの話だ。全ての人間の価値は平等だ。そんなことは言われなくても分かっている。
 

そんなこんなで、「ノーダウト」でヒゲダンを知ったあの日から、ボーカルが同じ県で生まれた同い年だと知ったあの日から、何ならもう一人鳥取県民がいてもう一人は島根県民でもう一人は広島県民でこのバンドメンバーの全てが中国地方の民で構成されていると知ったあの日から、「ふるさと納税」をするつもりでCDやBlu-rayを買い集めた。「音楽」に投資していると同時に「ふるさと」にも投資できる。こんな幸せなことが自分の身に巻き起こるとは思っていなかった。どうやら地元でもちょこちょことイベントに参加したりして音楽活動を行っているらしい。いいぞいいぞ。私が稼いだお金たちよ、いつか彼らが虹色のカードと出会うための軍資金の一部となれ。もちろんホールツアーにも必死で申し込んだ。全部外れた。10時にヨーイドンでスタートを切る一般販売にも心拍数を200くらいに高鳴らせながら挑んだ。全くかすりもしなかった。これはファンクラブに入っておくべきだったと悔しくもなったが、同時に嬉しくもなった。「鳥取県民の、中国地方の民の音楽をこんなに多くの人が求めている」その事実に勝手に一人で喜んでいた。しかし、それは私だけの話ではない。久々に地元の友達と会うと、音楽に興味のない友達でさえ「なあ、あのヒゲダンって人やぁ、同い年らしいが。やばいな。こんなことあるんだな。こんな所で生まれた同い年があんなことになるん。やばいな。」と完全に語彙力を失った発言をし、実家に帰省した時には70代後半の祖母が「あの、甲子園の歌をしとる髭がなんだかっちゅう人は米子の人なだかいなぁ?」と言い出し、それに40代後半の叔母が「ああ!なんとか髭男爵っていう人だが〜。」と盛大に何かを間違えながらも無理矢理乗っかる始末だ。田舎にトレンドなどない。ましてや、70代後半の祖母と40代後半の叔母が「今流行っているアーティスト」について会話を繰り広げることなど、本来ありえないことなのだ。もはや今、鳥取中の老若男女が「なんとか髭男爵」の動向を気にしていると言っていい。イモト以来の鳥取発のスター誕生の予感に、県民たちは勝手に胸躍らせているのだ。
 
 

そして私は2019年10月8日、Official髭男dismのメジャー1stアルバム「Traveler」を手にした。
 
 

正直、開けて聴くのが怖かった。Official髭男dismの奏でる音楽の「耳心地の良さ」を既に知っていたから。「これを開けてしまったら、当分、他のアーティストの曲は聴けなくなるかもしれない。」そんな恐怖だった。イヤホンを耳に差したら最後、もうイヤホンを抜きたくなくなってしまう。それくらいの耳心地の良さ。居心地、着心地、座り心地、寝心地。世の中には色んな「心地」があるが、「耳心地」部門で言うときっと彼らの曲の右に出るものはいないだろう。彼らの曲は服の生地で言うとオーガニックコットン100%、部屋で言うと畳の和室、マットレスで言うとシモンズ、枕で言うとテンピュール、掛布団で言うと西川の高級羽毛布団、ソファで言うとカッシーナ。とにもかくにもどうにもこうにも心地がいい。しかし心地がいいというのは、安心できることでもあるが時に危険なことでもある。あまりの心地よさに安住してしまい、そこから離れられなくなってしまう。そして彼らの曲の「耳心地の良さ」はもはや「良い意味での呪い」なのだ。自らの意思で「この良い意味での呪いを絶たなければ」と決め無理やりにでも耳からイヤホンを抜き取らないともう一生ズブズブにハマってしまうのではないか、ヒゲダンの曲以外は聴かなくなってしまうのではないかと、いい意味で怖くなってしまう。そんな感じで、耳に「良い意味での呪い」をかけてくれる、それがOfficial髭男dismの音楽だと私は思っている。
 

しかし今まで「一体、ヒゲダンの何がそんなに魅力的なのか」自分の中で答えが出ていなかった。人に尋ねてみると「メロディーが良い」だとか「耳心地がいい」だとか「韻踏みがすごい」だとか理由はいくつか出てきて、それは私も思ってはいた。でもそれらは表層的なものでしかなくて、きっとここまで老若男女に無条件で受け入れられるのには、根底に何か別の理由が転がっているはずだと私は勝手に思っていた。物事に対していちいち「理由」を求めるあたりで、私が「めんどくさい女」であることをどうか察してほしい。
 
 

「Traveler」を1周フルで聴き終え、頭の中にポッと浮かんできた。
 

「なんかよくわからないけど、良い」のがOfficial髭男dismの魅力ではないかと。
 
 

どこかで聞いたことがある。「理由のある『好き』は消えてしまうかもしれない、でも理由のない『好き』は消えない」と。例えば彼氏だとか彼女だとか好きな人に対して「優しいから好き」「髪型がかっこいいから好き」「顔がいいから好き」「料理が上手いから好き」「歌が上手いから好き」「スポーツができるから好き」などと具体的な理由で好きになってしまうと、その理由が失われた時にその人のことを嫌いになってしまう可能性がある。今は優しくても、後々態度が豹変したら。今は髪型がかっこよくても、突然丸坊主になったり髪の毛が虹色になったら。「好きな理由」を作ることは同時に「嫌いになる理由」も作ってしまうことなのかもしれない。その「好き」が大きくて情熱的なものであればあるほど、その逆も然りだ。「なんかよく分からないけど、好き」という理由のない、言葉にならない本能的な「好き」はきっと永遠に消えないのかもしれない。
 

私の中で、子どもの頃から「なんかよくわからないけど、良い」という対象がいる。今や、国民的アイドルとして名高い「嵐」だ。別に、メンバーの誰が特別好きということはないがメンバー全員に対して「なんかよくわからないけど、良い」と思っている。別に、どの曲が特別好きということはないが嵐の曲に対して「なんかよくわからないけど、良い」と思っている。身の回りで「嵐が苦手」「嵐の曲が苦手」という人には出会ったことがないような気もする。むしろ老若男女問わずみんなが「嵐は良い」「嵐の曲は良い」と言っているような気がする。「なんかよくわからないけど、良い」という本当に絶妙で一歩間違えれば人々が無関心となりかねない難しいバランスの立ち位置を見事に獲得したのが「嵐」なのではないか。人は誰かに好かれれば誰かに嫌われる生き物だ。でも、「嵐」に関してはその真理をあまり感じない。多分きっと、この人たちは絶妙なバランスの上に立ち、常にバランスを取り続けている。だからこそ、国民的アイドルとして日本国民の大多数が認め、国の行事に駆り出されても国民から特に目立った異論は噴出せず今に至っているのではないかと思える。誰にも拒絶されず、誰にでも受け入れられるその絶妙なバランスを保ち続けてきた「嵐」、すごすぎる。
 

私のヒゲダンに対する今の気持ちは「嵐」に対する気持ちとほぼ一緒だ。メンバーの誰が特別好きということはないが、メンバー全員に対して「なんかよくわからないけど、良い」と思っている。強いて言うなら、ボーカル藤原聡の顔は動物のコアラに似ていて、それはまた「嵐」のリーダー大野くんにもどことなく似ている気もする。そしてヒゲダンの曲は「なんかよくわからないけど、良い」曲ばかりだ。理由を言葉にするのが本当に難しいのだけど、必死にひねり出すとするならば、いわゆる「わからない」「ピンとこない」曲がない。どこまでも絶妙で難しく揺れ動くバランスの上に、でもしっかりと両足で立っている。とにかくそんな「絶妙」な曲ばかりだと思っている。例えるなら、大道芸人が丸い缶を横にしてその上に板を置いてその上に立ちジャグリングをしているような。そしてその大道芸人を見て、道行く人が理由もなくふと立ち止まってしまってずっと眺め続けてしまうような。そして最終的になぜか小銭を投げてしまうような。ヒゲダンの曲はそうして「なんかよくわからないけど」人々を惹き付けてしまう不思議な魅力を持っている気がしている。
 
 

「なんかよくわからないけど、良い」
そんな理由で人々を惹き付けてしまえることこそが、最強だ。
 

彼らは自分たちの音楽のことを「グッドミュージック」と形容する。
そう、その通りだ。
彼らの音楽は、誰かの「バッドミュージック」にはきっとならない。
いつでも、誰にとっても「グッドミュージック」であり続ける。
 
 

明日何が起こるかはこの世界の誰も知らないし、未来がどうなっているかはこの世界の誰も知る由はない。だけど、「Traveler」を聴いて感覚的に思った。もしヒゲダンがこれからもずっと揺れ動くこの絶妙なバランスの上にしっかりと両足で立ち続け、ジャグリングだけでなく他の物を回してみたりもはや誰も見たこともないような芸を披露し続けることができたのなら、「髭が似合う年頃まで」彼らの音楽は続くのだろうと。
 

そしていつか、Official髭男dismは「嵐」を巻き起こせるのかもしれない。そして巻き起こした「嵐」に日本国民が老若男女問わず巻き込まれるようなことが起こればいい。そんな夢物語を、希望を、リスナーの一人として描いてしまった。それくらい、「Traveler」から秘めたるパワーを感じた。
 

奇しくも「嵐」は2020年に活動休止に入る、というのは日本国民周知の事実である。アイドルとアーティストという土俵の違いこそあれど、「嵐」がお休みしている間に、アーティストとして日本国民を老若男女問わず平等に巻き込める「嵐」的役割を彼らなら担うこともできるのではないかなんて、勝手にとんでもない期待もしてしまう。
 

突然Mr.Childrenを引っ張り出して来て申し訳ないのだが、以前、Mr.Childrenの桜井和寿はインタビューで「かつてのMr.Children」についてこのように言っていた。
「かつてのMr.Childrenは、お茶の間に対して『この指とまれ』と発信するアーティストだった」
お茶の間に対して『この指とまれ』と発信できるアーティストを、『この指とまれ』と発信すればたくさんの老若男女が喜んで集まってくるようなアーティストを「国民的アーティスト」と呼ぶのなら、
もしかしたら、Official髭男dismは『この指とまれ』と発信できるアーティストになれるのかもしれない。
 

とにかく、私は自分と同じ年に同じ県で生まれた人がプロのミュージシャンとして活躍している姿にとてつもないモチベーションをもらっている。私は自ら進んでふるさとを離れ、今は縁もゆかりもない土地で暮らしている。ふるさとを離れて暮らす今、私がふるさとにできることは少ない。だからこそ、これからもOfficial髭男dismが活動を続ける限りはコツコツと「ふるさと納税」を続けるつもりだ。
 

ホールツアーは全て外れたが、アリーナツアーにはぜひ行かせてほしい。
私はファンクラブに入り、「毎月」ふるさと納税をすることを決めた。
 

ちなみに調べた所、1991年に鳥取県に報告された出生数は約6000人だそうだ。この数字が多いのか少ないのかはよくわからないが、今後の藤原聡の活躍を、約6000人の「自称同級生」が楽しみにしているはずだ。
 

《遥か先へ進め》
まだまだ頑張れ。
《迷わずに進め 進め》
どうか、進み続けてくれ。
藤原聡が、仕事を辞め上京し音楽で生きていくことを決めたその時に
《バイバイ》と振り切った《イエスタデイ》の中で、
「自称同級生」の一人である私もこのちっぽけな人生を頑張ろうと思う。
約6000人の「自称同級生」と、57万人の鳥取県民と、もうふるさとを離れてしまった元鳥取県民にとって、あなたが進んでいく《虹の先》はきっと「誇り」になる。
 
 

さて、この先Official髭男dismは「嵐」を巻き起こせるのか。
 
 

《未来の僕は知らない》
 
 
 

※《》内の歌詞はOfficial髭男dism「イエスタデイ」より引用

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい