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ライブレポ TOUR『NUMBER GIRL』9.27

圧倒的異質さの本質

カミソリの鋭さ。金属バットの力強さ。

それが同時に押し寄せてくる。身の危険を感じるほどの力。NUMBER GIRLは圧倒的に異質だった。ライブがはじまってすぐにそう感じた。

私が音楽を好きになったときには、すでにNUMBER GIRLは解散していた。しかし、この年代の邦楽ロック好きにとってNUMBER GIRLというバンドなしには何も語ることができない。ライブ動員が飛びぬけていたわけではないけれど、影響力という意味では圧倒的だった。

そんなバンドが17年ぶりに復活し、ライブをしてくれる。胸が熱くならないわけがない。
そして迎えた2019年9月27日、ダイアモンドホール。なんの神様の計らいか、私は幸運にもチケットを入手することができ、人生で初めてNUMBER GIRLのライブに行ってきたのだ。

ホワイトノイズの砂地を歩んでいたら、綺麗な貝や、大きなタイヤなどに出くわして驚く。形を成したものもあるんだ……そう思っているうちに、砂の下に敷かれた道のようなものに気がつき、全景が見えてくる。これまで出会ってきたすべてのモノが意味を持ちだし、ノイズだったものは『音楽』に変わる。
 

すべてイメージで語るとこんな感じだろうか。

もう少し言語的に語るなれば、「異質だ」と思った理由は成り立ちが違うのだと思った。NUMBER GIRLというのは、『音楽』というよりも『ノイズ』だと。

世の中には「ノイズミュージック」といって、終始わけのわからない騒音をひたすら発生させ、酔って見ているお客さんを「なんかすごいことやっている」と思わせるジャンルがある。断っておくけれど、私の少ない経験からすると割と好きなジャンルだ。意味なんてなくていい。
そしてノイズミュージックは、『音楽』としての一般的な曲の形をしておらず、とらえどころのないものが多い。もちろんこれはアーティストや、ジャンルの分け方次第になってしまうから異論は沢山あるだろう。

そしてNUMBER GIRLの曲というのは、ノイズだったものを音楽といえる位の形に切り取った『音楽に似て非なるなにか』であるように私は感じた。ノイズでありながら、ロックなどの『曲』の型を被っているなにかだと。

それはノイズとして聴衆にストレスを与える。同時にそのノイズが切り取られ、変容し、塊になって襲い掛かってくる様にカタルシスを感じるのだ。

NUMBER GIRLのフォローワーは沢山いる。でも彼らが『音楽』をやろうとする限りNUMBER GIRLにはかなわない。そこにあるのは土俵自体の違いなのだ。

そして全員そろって地味な見た目ながらもアクの強いメンバーたち。

界隈1,2を争う手数ドラマーのアヒト・イナザワ。愚直でまっすぐなベースで客を殴り倒す中尾憲太郎。その小さい体のどこにそんな情感がこもっているのか毎度驚かされる田渕ひさ子。そして市役所で雑務やっていそうな見た目に反して「This is 向井秀徳」な男、向井秀徳。

いいバンドには2人以上ヒーローがいる。わかりやすいバンドだとBOØWYやブルーハーツだろう。誰もが知っているようなヒーローが1人だけではなく2人いる。
NUMBER GIRLにいるヒーローは4人だ。誰一人、他のメンバーに埋もれることのない、力量と情熱を持ったメンバーが、ステージ上で命を削りあう。観客はその修羅場につき合わされているだけなのだ。

そんなどこをとっても鋭利な日本刀のようなバンドでありながら、この日はキラーチューンの「OMOIDE IN MY HEAD」を2回もやるという大盤振る舞いだった。
それは茶目っ気なのか、ファンサービスなのか、はたまたやりたかっただけなのかわからない。だがそんな面もこのバンドの魅力なのだと感じた。

「17年ぶりの復活」という枕がついている効果もあったと思うけれど、この日のライブは私の人生でも指折りのライブであったことは間違いない。またツアーをやってくれるようだし、これからもNUMBER GIRLを好きでいようと思う。

最高のライブだった。

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