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米津玄師「Flowerwall 」の色褪せることのない美しさ

初めて聴いた数年前から、変わらない癒しと輝き

ものごころついた頃から、心の中にぽっかりと空いた穴を埋める何かを探していた気がする

借家住まいだった子供の頃、ウチでは無理と言われた犬や猫が飼いたくて、野良猫を追いかけ回したり、マンガに没頭してお小遣いを全て注ぎ込み、読み耽って現実逃避したり

もちろん、その頃は自覚すら無かった

大人になって、心の穴は自分嫌い、自己否定として深く大きく育っていた

自分に無いもの、出来ないことを探しては、ダメな自分を責めたり蔑んだり、心の穴の中に放り投げる遊びをしていたように思う

ブラックホールのように真っ暗な闇と化した心の穴の中に、自分の嫌なところをコレもダメ、アレもイヤ、と投げ込んで、いつの間にか荒んだ思いが蓄積されて荒れ放題

そんなことを当たり前のこととして無自覚にやっていたものだから、知らず知らずの内に、周囲の、特に身近な家族に対してそんな自分を重ねて苛立ちを感じていた

気付いた頃には、半世紀近くそうやって生きてきた自分がいて、夫婦間の会話は必要最低限になり、子供たちには小言ばかり言って、社会という枠からはみ出さないようにという思いばかりが先走っていた

今思うと、娘はそんな私の存在が重苦しく、なんとかしたいと思ってくれていたのかもしれない

転機は、今は成人した娘が高校生になった頃

娘に無理矢理に聴かされた数曲の中にあった、キラリと光を放つ曲

以前は親子ゲンカばかりだった私と娘が、時々カラオケに行くようになって
いつも大昔の同じ曲ばかり歌っている私に、新しい曲の中にも良い音楽が沢山あるから、もっと音楽を聴いてみて、と
お気に入りを何曲か、聴く気の全く無かった私に、半ば無理矢理聴かせてくれたのだった

娘がその頃良く歌っていたのはボカロの曲、スピードが早すぎたり高音過ぎたり、どこが良いのか全く分からない曲ばかり

サザンやユーミンを聴いて大人になった私は、昔の方が良い曲が多いと思い込んでいた、その固い頭にヒビを入れたのが、娘が聴かせてくれた数曲の中にあった、米津玄師の『Flowerwall』という曲

“ふーん、まぁこの曲は、まぁまぁなんじゃない。 この人なら、プロになれるかもねー"

そんなことをいった記憶がある

どうせ、ボカロの曲を作ってるセミプロみたいな人の曲を聴かせてるのだろうと思っていた私に、娘から即座に返って来た言葉は、

"米津さんはもうメジャーデビューしてる人だから! 最初はボカロの曲作ってたけど、この曲はCMソングにもなってるし、アルバムも出してるプロだよ"

思い込みの私の発言にピシャリと返って来た
それが米津さんの音楽との出会いだった

私に、米津さんの音楽を聴かせようなんて、娘もよくまあ思ったものだと思う

あの頃の私は、"人生は重き荷を背負いて遠き道を行くが如し"という徳川家康の家訓を人生の指針としていたくらいには闇落ちしていた

思うように行かないことばかりで、今にも崩折れそうな状態だったから

そんな私の心の闇まで届き、美しい音の響きで浄化してくれたのが、『Flowerwall 』という曲だったのだ

宝石を散りばめたような、美しい音がいくつも組み合わさり、重ね合わされる音色
特に、イントロ部分"おーおーおーおお"までの響きで周囲の空気感すら一掃される心地良さ

ひときわ輝いているのは、深く優しく響き渡り、心に空いたブラックホールの中、隅々までじわりじわりと浸透していく、米津さんの癒しの歌声

人の声が、こんなに美しいとは、、

そして、聴けば聴くほど心に沁みてくる歌詞

恋人同士のことなのか、ツインソウルにもきこえる、"君"と呼び、"僕ら"とか"二人"と表現されているが、一人の中に存在する光と闇の二極性を歌っているようにも感じて

何度も繰り返し聴きたくなり、気付くと一日中リピート
繰り返し聴く内に、涙が溢れて来て、心の穴に捨て封印したはずの、大嫌いな自分をも許せるほどの癒しが起きていた

認められない、みっともないと思って封印していた自分の一部

でも、それこそが本来の素直で自然な自分だったのではないだろうか

子供の頃、親や大人からダメと言われて隠してしまったのかもしれない

それとも自分から、こんな性格は嫌い、無いほうが良いと隠してしまった部分なのもしれない

自分の在り方のセミナーを受講して、内観を始めた時期とも重なり、その内容とも相まって巻き起こった大きな気付き

社会の常識に捉われ、はみ出ないために、いつの間にか無自覚に封印していた自分を見つけて、そんな自分の存在すら許せると、思えるようになっていった

そして、大事なのは器用に生きて行くことではない

人生の中に立ち塞がる越えられない大きな壁も、"僕らを拒むのか、何かから守るためなのか"、障害物と捉えるか、守ってくれる存在と捉えるか、どう解釈するかは自分次第、運命と嘆くか、笑い合うか、も自分次第とおしえてくれていた
 

これだけ大きな癒しと赦しを起こしたこの
『Flowerwall』は、何年経っても色褪せない、どころか深みが出て輝きを放ち続ける曲なのである
 

この曲と出会ったのが2015年、あれから4年以上経つ内に、自分の心の変化と共に家族との関係も自然と良くなっていった
 

そして、この曲に限らず米津さんの曲は、音楽も歌詞も素晴らしく、あの若さのどこでこれほどの悟りを開いて来たのか、と思わずにはいられない

人生経験は、ただ年を重ねた年数で単純に計れるものでは無いな、と思い知らされるのでした
 
 
 

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