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楽曲の「クソかっこよさ」について

星野源「さらしもの」(feat.PUNPEE)

 
EP『Same Thing』からの一曲。
一言で表現するなら「クソかっけぇ」曲。
イアホンで体感する、めくるめく音と気配の存在感、声の生々しさ、rap 語感のなかで語られる人間の孤独感。

星野源を最近聴きはじめた自分には、自身のデビューからこれまでを振り返り、これからも気負わず行くんで…と、リスナーに向けた曲なんだろうなと感じられた。アーティストが自分のことだと公言しているかのような楽曲に出会うと、少し身構えてしまうけれど「埼玉のツァラトゥストラ」とあるので…そう取っても大丈夫って受け取った。

初心者がこの楽曲を聴いたらどう解釈するかという枠で、あくまでリリックと音から感じられることを(音楽用語や表現はあやふやですが…)書いていきたい。

世相と想像の範囲内で、歌い手(I)=星野源、「君(you)」=リスナーと普通に捉えてみた。

この曲を聴いていたら、絵本『もりのなか』(エッツ)の絵のイメージが少し重なってきた。ラッパを持った少年が森を散歩しに出かけたら、様々な動物たちがラッパの音に反応してワイワイ、ガヤガヤと後をついてくる。最後にうさぎだけが少年に話しかけられて、ずっと何も言わずについてくる。少年は星野源、うさぎはリスナーに思えてきた。

  ふと振り返ると ぞろぞろと
  後ろつけ楽そう有象無象
  はてな別の方 道のない進む小僧
  凡人の黒ぶち 偉大な暇人

「楽そう有象無象」はどう考えても彼らを良くは思っていない表現。「楽しそう」とは違う。一人、音楽の道を歩みだした少年に、世間的に評価を受け、知名度が上がるにつれて、SNSを含め、卑怯な方法や言動でわずらわす人たちも出てきたり…。その動物たちの層はさまざま匿名的だ。でもそんな彼らと、今ここで、「さらしもの」を通して、主に耳を塞ぎながら聴いている君、そう、何も言わないで、ついてきているうさぎだって同類なんだ。関わっちゃったらみんな同じことなんだよ、と。
この媚びない、毅然とした姿勢がリリックに現れているようで、リスナーとの成熟した距離感に思えた。で、こうやって好き勝手に感想文を書きつづっている、ほぼ匿名の自分も、同じ穴のムジナ。

  君の体をWi-Fiが通り抜け
  道草で腹を満たす
  またその場所に君はいた
  もしかすると孤独は一人ではないって…

つまり、君も僕も(僕はライブなどのときイアモニで)それぞれ耳を塞いでいる者同士、孤独ってことだから、孤独って一人じゃないよ。ライブや配信、CDなどの「音楽で繋がっているときはね」じゃあ、うさぎ、行きますか、と。

「Starting off with you and I(愛)」で、うさぎはなんだかホッとした気分になる。

(サビは浄化されるような気分になり、ファルセットのハーモニーが美しい。ノスタルジックでJazzy なピアノのBGMとの重なり、変貌しながら深くドゥーンと淡く響くビート、rapより少しだけテンポがズレているBGM、レコードのノイズの気配、かすれたトランペットの音、囁き声、拍手や歓声の気配、音の忍び寄り…etc 新鮮で絶妙なバランス)

でも、自分の孤独は自分で面倒見るものだし、隣に音楽があっても一人には変わりはない。それぞれの現実を生きるだけ、と。

そんな解釈で聴くと、少年は、本名で良くも悪くも世間的評価にさらされている「さらしもの」として、音楽というかたちの愛に自分(I)を託して世に捧げているのだから、良いことも悪いことも、同じこととして一人で受け止めてやるよ、と解釈できる。
マイナス面もプラスに転じさせている「アイデア」と、懐の深さを感じてしまった。rap のリズムだと、そういったメッセージが軽快に入ってくるので、粋な手段でもあり、サウンドの詳細はもちろんのこと、かっこいいの極みで、「クソかっけぇ!」と唸ってしまう。
 
 

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