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いつまでたっても成長しなくて懲りない面々

ブルーハーツからハイロウズ、クロマニヨンズへ

映画でも漫画でも、いつまでたっても成長しなくて懲りないキャラクターが好きだ。フーテンの寅さん然り、バカボンのパパ然り、野比のび太然り、みんな欠点だらけで周りの人間やロボットは振り回されっぱなしだけど、はたで見ている分にはこれほど面白いキャラは無い。

ブルーハーツ改めハイロウズ改めクロマニヨンズのヒロトとマーシーにもちょっとそういう雰囲気を感じる。ホントはどうかなんて知る由もないが、少なくとも彼らがやっている音楽を聴いていると、そんな風にも思えてきてしまう。

ブルーハーツを初めて聴いたのは、彼らがデビューしてすぐのことだった。正直、第一印象はあまり良くはなかった。音楽の真っ直ぐさと見た目の純朴さがあまりにも見事にハマっていたので、てっきりそういうイメージ戦略なのかと勘ぐってしまった為なのだが、程なくその魅力にドッカーンと打ちのめされて、ブルーハーツは自分にとって特別な存在になっていった。

しかし、二人がブルーハーツを解散してハイロウズに変わってからは、ほとんど彼らの音楽を聴かなくなってしまったのである。それだけブルーハーツの存在が大きかったとも言えるが、ハイロウズはどことなく余技のようなイメージが強かったのだ。もう特に言いたいこともなくなったから、自分たちだけで楽しめるバンド組んで暇つぶし・・・そういう世捨て人的な雰囲気を勝手に感じ取っていたからかもしれない。

そんな状態がどのくらい続いただろうか。再び彼らの音楽に耳を傾けるようになったのは、昨年の秋ごろだったと思う。もうとっくにハイロウズからクロマニヨンズへ鞍替えしていて、そこから更に12年経っての再会となってしまった。きっかけは何かでヒロトのインタビューを読んだからだったと思うが、とりあえず名作として認知されている6枚目のアルバム『ACE ROCKER』を購入して聴いてみたところ、これがとんでもなく気に入ってしまって、ブルーハーツ以来、いやそれ以上の胸の高鳴りに自分でもビックリしてしまった程だ。

ハイロウズを初めて聴いた時は、「ああ、なんか変わっちゃったな」という感覚だったのに、クロマニヨンズは「うわっ全然変わってねーじゃん!」という感じだった。アルバム『ACE ROCKER』は、「なんだそんなもん、くだらねー、言いたいことは山ほどあんぞコラー!」っていう痛快無比のロクデナシ節が炸裂している。デビューの時から変わらぬ姿勢、いい歳こいても全然落ち着かないヒロト&マーシーが、ペロッと舌を出して笑っているみたいに思えた。

結局のところ、ブルーハーツもクロマニヨンズも、変わっちゃったと思ったハイロウズすらも、やってることは基本、おんなじだ。にもかかわらず、どうしてクロマニヨンズにはこんなにも興奮させられてしまったのか・・・おそらく、バンド・サウンドの切れ味、厚み、強靭さといったものが、ブルーハーツやハイロウズよりも明らかに増し増しだったからなのだと思う。そりゃそうだ、フロントに立つヒロトとマーシーが何も変わっていないのだから、音の違いがベースとドラムのリズム陣であることは明白だ。

歌詞に関しても、これもまた以前にも増してエネルギーが爆発しているように感じられる。バンドの一体感が強まったせいなのかもしれないが、突き抜けた無敵感というか、あっけらかんとした傍若無人ぶりに更に磨きがかかっていて思わず笑ってしまう。

しかし、デビュー当時から「直球でわかりやすいメッセージ性」というパブリック・イメージが少なからずある事には、ずっと違和感を覚えていた。なぜなら、表現がシンプルであればあるほど、その一語一句からはとてつもない重みが伝わって来るからだ。ヒロトもマーシーも、たった一つのフレーズを決定するために、途方もない数のフレーズを考え、試行錯誤を繰り返し、これだと確信に至るまで必死にもがき苦しんできたのではないかと想像してしまう。ストレートでわかりやすいのは見せかけで、本当は地獄のような特訓の末にあみ出された魔球のように僕には感じられる。

そんな苦心の賜物のような、名曲だらけの『ACE ROCKER』の中でも、とびきりの切り札が「雷雨決行」だと思う。ノリもメロディもメッセージもデビューの頃からほとんど変わっていないのに、不覚にも泣いてしまいそうになる。一緒に歌いたいのに、声を出そうとすると余計に感極まって、とっさに天井を仰いで制御しなきゃならない・・・こんな超魔球、まともに打てるはずがない。四打席連続三振を食らっても攻略法は全く浮かんでこない。

30年以上に渡って、とんでもないキラーチューンをしこたま作り続け、それでもまだ全然飽き足らないように見えるヒロトとマーシーは、いつまでたっても青いままの、熟成しない困った大人なのだと思う。いやいや、フェスなんかでこんな人達の前後に組まされたバンドはさぞかし大変だろうな・・・と、思いつつも、鉄壁の守備と必殺の魔球を兼ね備えた強豪クロマニヨンズを打ち負かすバンドが現れる事を、実は日々願っている。

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