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星野源『Same Thing EP』に寄せて

何か面白いことをしよう。

昨年の台風がきっかけで、
一人暮らしをしていた母と一緒に暮らすことになって一年が過ぎた。

私は若い頃から口うるさい母が苦手で、
その愛情に感謝しつつも、いつも息苦しさを感じていた。

大好きで大嫌いな母。

結婚し実家を離れ、自分も女の子を出産して、
ようやく母の気持ちが解りかけていたのに、
この歳になって、また口うるさい母を疎ましく思うことになるなんて…

年老いた母に優しくしたいと思う慈愛の気持ちと、もう嫌だ!もう勘弁して!疎ましい!と思う阿修羅の気持ち。
母と暮らしてきたこの一年、心の中は、その表裏のせめぎ合いだった。

「清浄と汚濁こそ生命」という「風の谷のナウシカ」の言葉を思い起こし、
自分の心の汚濁は生きている証しだと正当化しながら平静を保ってきたけれど、
どうしても自分の中の母に対する阿修羅の気持ちが、ひどく悍ましく思えて、
消したくて消したくて、ずっと苦しかった。

10月14日夜中、私は星野源の『Same Thing EP』4曲を独り聴いた。

「それでいいんだよ」と、背中をそっとさすられた思いだった。

星野源の剥き出しの本音に涙がこぼれた。

曲を聴いて感じる星野源の苦しみや怒り、情けなさが非常に愛おしくなった。
何度も何度も聴いているうちに自分の苦しみや怒り、情けなさをも愛おしくなった。

阿修羅の気持ちを抱えたままでいいじゃん。それより何か面白いことをやっていこう。

次の日、母に自分の気持ちを打ち明けた。

大嫌いで大好きだと。

母は一言、涙声で「ありがとう」と言った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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