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2017年7月3日

Shin-k. (23歳)
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四畳半の宇宙に、恋をした。

Halo at 四畳半が届けてくれた、箒星の様な物語。

……あ、好きだ。

思わずそんな声が溢れた。
Halo at 四畳半……彼らの名前は知っていた。けれど、彼らの曲は、コンピレーションアルバムに収録されていた『春が終わる前に』以外は知らなかった。彼らが初めてライブで訪れたという地で、初めて彼らのライブを見たのは、演奏を聴いたのは、本当に偶然だった。

四月某日、関東某県。
三ヶ月程前の話ではあるが、Halo at 四畳半のライブは、今でも鮮烈な閃光となって脳裏に焼き付いている。忘れもしない。忘れられないだろう。
CD音源を遥かに凌駕する音圧、グルーヴ。まっすぐすぎるくらいにストレートにぶち込まれてきた音像。そして、ボーカリストである渡井さんの、感情剥き出しの歌声。度肝を抜かれた。
ここまでストレートなかっこよさを持ったバンドを、私は他に知らない。

今までにも対バンツアーやフェスで、あまり知らないバンドの演奏を聴く機会はあった。そこで新たに好きになったバンドも数知れず。しかし、初めて聴いて涙腺が緩んだバンドは、Halo at 四畳半以外に存在しなかった。そんな経験をするだなんて、全く思ってもみなかった。

―――限りある生命を照らすように

『シャロン』という曲のサビの出だし。当時、この曲のタイトルを知らず、聴いたことすらも無かったのに、耳から離れなかった。
この部分を聴いた時、流星飛び交う満天の星空の中、一際強く輝く一等星の様な曲だと思った。そのイメージが脳裏に流れ込んできたのだ。力強さと儚さ、対極であろう二つの要素が入り混じる様なメロディと歌声に、何かが込み上げてくるのを感じた。

公演終了後にメンバーの方がいた物販を、重度の人見知りである私は、足を止めかけ、何故か素通りしてしまっていた。もっと曲を聴きたくなったということ、またライブに行きたいと強く思ったことを直接伝えられたかもしれないのに。そして、私の涙腺を緩ませた曲の正体を、聞くことが出来たかもしれなかったのに。
次に彼らのライブに行く時は、もしもそれが叶うのなら、直接伝えたい。そんな事を思ってしまうくらいに、私はHalo at 四畳半の曲に惚れ込んでしまっていた。一目惚れならぬ、一聴き惚れだった。本当に、あの日ばかりは人見知りである自分を呪った。
後日、その曲の正体をなんとか突き止め、レコードショップでアルバム『APOGEE』を購入したのは言うまでもない。

『APOGEE』の曲達は、それぞれがひとつひとつの物語の様だった。

それはきっと、”そら”の物語。
聴いていると、空や宇宙の様な映像が脳内を駆け巡るのだ。そらを、旅していた。
しかし、曲は有限の時の中で奏でられるもの。曲が終われば物語も終わる。アルバムを一通り聴き終えた後に感じた、小説の最後の一ページを読み終え、本を閉じるような切なさにも似たそれは、同時に満足感と幸福感を携えて私のもとへとやってきたのだった。

ブックレットを見ると、作詞をしているのはボーカルを務める渡井さんなのだという。
描かれた歌詞をまじまじと見つめ、どんな意図で描かれた世界なのだろうか、どんな物語なのだろうか……そんなことをついつい考えてしまう。完全に、彼の描く世界の虜になっていた。

『箒星について』は『APOGEE』収録曲の中でも『シャロン』と一、二を争うくらいに好きな曲なのであるが、こんな歌詞がある。

―――なあ ディアダーウィン

―――ああ でもダーウィン

―――いつかは ダーウィン

この”ダーウィン”が何を意味しているのか、最初は全くわからなかった。
進化論の提唱者のことなのか、はたまた探査機のことなのか、それとも別の何かか。

疑問符を浮かべながらブックレットの歌詞を見つめ、曲を聴き返し、ふと思い出したことがあった。
“ダーウィン”という言葉には”親愛なる友”という意味が有るという話。

―――ふたりは風になった箒星を追いかけていた
その目で見るんだ 幻でも

これは私個人の勝手な解釈なのだが、この歌詞から、この”ふたり”はとても大切な友人同士なのではないかと思った。そして、物語はこう続く。

―――さあ 光の中 泳いでいった 煌きを背に
スコールが降り注いでいく 滲んだ目を隠して
「わたしはあなたを待っていたんだろう」
虹が架かる夢を見た あの日のままで きっと

“ふたり”が置かれている世界は、決して幸せなものではないのかもしれない。けれども、”あなた”と一緒なら、光を見つけられるよ。
そんなことを、この”ふたり”は思って、共に歩んでいこうとする物語なのではないか。足掻く強さは美しく、それが『箒星について』という曲の、瞬くような煌きのある雰囲気を増長させているような気がした。
“ふたり”に幸せが訪れることを願わずにはいられない、そんな物語を持った曲。

重ねて言うが、あくまでこれは私個人の勝手な解釈であるので、正解の程はわからない。全く違う意図を以て描かれた曲なのかもしれない。けれども、Halo at 四畳半の曲の世界はどれも美しいと思う。そして、それでいて儚さや哀愁が同居している。
その物語が演奏のストレートなかっこよさと織り交ざり、超新星の様な煌きが弾けるのだ。

もっと、彼らが奏で、語る物語が聴きたい。世界を知りたいし。旅をしたい。
そう、切実に願いたくなってしまう程に。

四畳半の宇宙(そら)に、私は恋をした。

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