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彼らの進化が僕らの耳に幸せを届ける

変化し続けるバンドASIAN KUNG-FU GENERATION

 音楽が好き。耳はいいと思う。ただ楽器はやった事がない。そんな僕がプロの演奏やライブパフォーマンスに対してとやかく言うのは野暮かもしれない。只、いつかこれまでに感じてきた想いを誰かと共有したいと思っていた。高校生の頃からライブハウスに通い早15年。「読んで頂いた方に共感や思い出が蘇るきっかけになるといいな」そんな事を考えながら初めての投稿はASIAN KUNG-FU GENERATIONについて話したいと思う。

 中学生の頃に出会ってから以来、擦り切れるほどASIAN KUNG-FU GENERATION (以下アジカン)を聴き続けてきた。他にも数多くの愛すべきバンドが在るがアジカンは僕の圧倒的ヒーローだ。僕が思う彼らの凄さは「変化し続けること」である。2000年代はじめ、崩壊アンプリファー、君繋ファイブエム、ソルファなど荒々しいギターと力強く勢いのある曲調、今も変わらない小気味よく手数の多いドラム。抽象的な歌詞が何を意味し何を伝えたいのか、今も昔も全く分からない。ただ初めて聴いた時から曲の構成は凄く綺麗だと感じた。若さが全面に出て自己顕示を訴えるパートはなく、各々が他者を補完しているような緻密さが唯一無二な気がして虜になった。とは言っても今と比べれば荒削りで若さや勢いも溢れ出ており、この頃の曲の方がシャウトしている。ライブでこの頃の曲を披露し後藤正文がシャウトしている姿を観ると、当時のアジカンや当時の自分を思い出し「若さっていい」としみじみ思う。この頃のアジカンを僕は「アジカン第一世代」と呼んでいる。

 多くのバンドは自身で作詞し自身で作曲する。ゆえに曲を聴くとどのバンドか想像が付いたり、どの曲を聴いても似た曲に思えることが頻繁にある。そんなバンドを悪いとは思わないが気付かない間に聴く頻度が下がっていたりする。それに気付いた時「変化すること」の大切さと「変化すること」は観客の期待に応えるための演者の努力であると思った。新譜のアルバムで「あれ?このアルバム今までと違ってあまり良くないな。」と感じた時、それはバンドが進化しようとしている最中で、僕たちファンを楽しまそうとする努力であると、ある時を境に解釈するようになった。

 2006年にファンクラブとフィードバックファイルが発表されたが、内に沈んでいくような曲たちが僕にとって「アジカン第一世代」の延長のように感じられ次第に視聴頻度も下がっていた。ひとつひとつは全く異なる楽曲だが、新しさや新鮮さがなく全てが同じに聴こえる、そんな気持ちになっていた。そんな中2008年にワールド ワールド ワールド発表。新感覚のものに出会った時「驚き」や「鳥肌が立つ」といった表現があるが、高校生の僕は思わずにやけてしまった。「これは新世界だ」そう思ったことを鮮明に覚えている。今までとは全く違う「幸福」や「希望」「清々しい早朝」「キラキラとした宇宙」「開放」「超越」、変化し進化したアジカンを目の当たりにした。

 1曲目のワールド ワールド ワールドから耳がウキウキしていた。アジカンにとって初めてのインスト曲が2曲目以降への楽しみを誘発する。疾走感のあるアフターダークに始まり、旅立つ君へからネオテニーへの繋ぎ、惑星までの発散された曲の後に転がる岩、或る街の群青とアジカン第一世代を忘れさせない、しかしどこか煌びやかな希望を感じる2曲。そしてこれが新生ASIAN KUNG-FU GENERATION、2年間待たせたな!と言わんばかりの新しい世界。この曲順でなければならない、1本のアルバムが物語のようで全てを聴き終えた後に幸福感と充実感に満たされた。ここからが「アジカン第二世代」なのだと。

 そして2015年。アルバムWonder Futureの発表とともに「アジカン第三世代」は到来した。またマジックディスクやランドマークとは異なる変化をしたアルバム、「これはRock ‘n’ Rollだ」と思った。EasterやEternal Sunshine, Standardなどこれまでのアジカンを感じる内に沈んだ曲も疾走感のある曲も希望を感じる曲も収録されているが、高校生の僕がOasisやWeezerを初めて聴いた時と同じ感覚で日本語だけどどこか大人びているロックンロール、熟成された邦楽ロックだ。アルバム最後の曲がOpera Glasses。僕にはこの曲エピローグのように思え、「皆さんアジカン第三世代はどうでしたか?この曲をもって物語はおしまいです。また新しい変化を携えて会えることを楽しみにしています。」そんなメッセージのように受け取れる、お洒落で思慮深くさせる楽曲だ。

 2018年の最新アルバム、ホームタウンを含めASIAN KUNG-FU GENERATIONとその楽曲は“変化”を止めない。社会情勢や邦楽ロックシーン、自分達の年齢、客層など周辺環境の“変化”が彼らの価値観の“変化”をもたらし、多感で多彩な感情が新しい世界を産むのであろう。アジカンに出会えて本当によかった。

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