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2017年7月4日

すいれん (19歳)
29
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あなたと私で「69」した

感覚ピエロ

始めは曲が面白そうだなと思ってふらっと行ったのだけれどもとんでもないライブをするバンドだった。

その頃私はライブの許可が降りた時だった。4月から私は浪人生になって、親から「ライブは禁止」と言われていたのだけれど頑張ってる様子を見て許そうと思ったらしい。でも別に私は頑張っているつもりはなくて、ただ不合格の落胆をずっと引きずって勉強以外にやることもなく、様々なことに対して興味も湧かなかった。だからタラタラと形だけは勉強していた。未来が真っ暗に感じていた。
そんな中で感覚ピエロの曲に出会った。
久しぶりに曲を聴いて笑った。元気が出た。
ただそれだけで、純粋に音楽を聴くのが楽しくてライブに行こうと思った。

そしてライブが始まった。
けれど、それまでハイテンションで聴いていた8曲が終わって、「等身大アンバランス」が始まった時に私は泣き出した。

“一体いつから芽生えたのだろうか?
その「できる」「できない」思い込んでさ”

この歌詞を聴いて、自分の思い込みに気付いた。
全て頭の中での出来事だった。あの大学に受かるとか受からないとか、この勉強方法をやるべきとか、できることも含めて想像の域を出ていなかった。まだひとつもこの現実で試してなかった。それなのにぶつくさ文句ばかり垂れていた自分がいた。それじゃ駄目だ。

“ただ傷つきたくなくて 夢に描かれるのを待ってんだ
完璧な大人装って 夢を夢のまま終わらせて”

私は時が流れるのを待っていたんだ。とハッとした。試験が終わって3月になれば、苦しみから無条件に解放されると思ってた。
でも、そうじゃなかった。
約束の時間を過ぎても私の状況は変わらなかった。夢に描かれるのを待ってた。

“誰かと肩並べたって 未来永劫 君は君
ならどうすればいい?”

その時、他の選択肢を蹴ってまでなんで浪人したのかを再度確認した。行きたい大学。それが、初めてできた譲れないものだって思いだした。
その道以外ありえない、そんなの自分の人生じゃないって思っていたこと。
おまえ自身でここまで来いと、
そう言われたような気がした。

それから新曲をやってくれた。感覚ピエロは「感エロ」と略されるから、もちろんその手の曲があるのだけど、そこも彼らの良いところであんなにカッコいいことをやった後にこれくるか⁈という、カッコいいこともできるのにマジメにこんなこともやってくれる。どちらも全力で一切手抜きはない。だから感覚ピエロの曲に対して全身全霊でぶつかれる。それに加えて、感情の全てを掬いとってくれる楽曲たち。彼らはどこまで行くのだろうかと先が楽しみになる。

そして初めて聞いた横山さんのMCが半端じゃない熱量だった。
いろんなバンドのMCで所謂エモいことはたくさん聞いてきたはずなのだけど、

「おまえたちじゃなくて、おまえ」

こんな風にひとりひとりとの対話ってのは初めてで(しかもかなり強調して話していた)。

「今日のチケットで服買えたかもしれない。
美味しいご飯食べれたかもしれない。
でもおまえはここにきてくれた。」

本当にお金払ってチケット買ってライブを見てよかったなって思った。ライブに行くか行かないかの二択じゃなくて来てくれる人の生活の選択肢の中から、数ある中からライブに来てくれてチケット代払ってくれてありがとうって言っていて。すごくひとりひとりの価値を肌であの人たちは感じてるんだなと驚嘆した。
今までに、チケット代返せよ!と思うライブはなかったけれど払った分はその時間に消えてしまっていた気がしていた。
でもあのライブはまだ払ったチケット代がちゃんと残ってるような気がする。

アンコールの時に
「次の曲でラストだけど、to be continueだから!」
って言ったのもまさにそれで。
ああ、まだ続くんだ。だから安心してライブが終わっていいって初めて思えた。また次があるから。
まだ決まりもしない未来に希望が持てた。
あるかわからないのになぜだか関係性はつづく気がして嬉しかった。

今まで私は前方でライブを見ることが多くて、単純にステージに近いほど熱量は高くて、アーティストも近くて、いいものだと思ってた。
でもそんなの関係なかった。今回は後方で見ていたのだけれど、後ろでも充分届いた。届けられた。それを受け取った。
前までは後方は冷めているという偏見を持っていたかもしれない。
でもそんなことないと、横山さんの言葉はちゃんと届いた。
届くんだって教えてくれた。

まさかこんなに素敵なライブをするだなんて予想外だった。初めてだらけで強く胸を打たれた。感覚ピエロのライブに行って本当に良かった。
次はいついけるかは未定だけれど、その日まで私のやるべきことをやると決めた。
これからの私の道標になってくれた、「69」レボリューションを私は忘れない。

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