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Past, Future and Present

Perfume、Reframe2019

 10月23日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)のこけら落とし公演として行われた、Perfumeの「Reframe2019」に行ってきた。すごかった。風化させるのももったいないのでこのレポートを書こうと思った。

 最新のテクノロジーを大々的に導入し、3人が息の合ったダンスを披露する。観客も曲に合わせ踊って、声を出し、曲間では話好きな3人のMCを楽しむ。そんないつものPerfumeのライブを彼女たちのこれまでのデータをもとに再構築し、「テクノロジー×Perfume」の視点を強化した新たなライブである「Reframe」。いつものPerfumeのライブでは一緒に踊る観客も席に座り、MCも一切なし。そんな「Reframe」はいつものライブの雰囲気とはうって違う、彼女たちにとってかなり挑戦的なライブと言えるだろう。今回の「Reframe2019」は昨年の3月に引き続いて行われた二度目の「Reframe」である(前回のは見てないので比較できないのは残念)。

 会場に入ると今までのどんなライブでも感じたことのない種類の緊張感が会場を覆っている。開演時刻の19時、スクリーンの映像が乱れたかと思うと今日の日付(2019/10/23)が表示され、それがPerfumeのメジャー・デビュー日の2005/09/21まで巻き戻される。Perfumeの3人の今までのMVが短く切られてつなげられた映像のあと、3人が姿を表して「DISPLAY」が披露される。ダンスと共にLEDの光が動き回り、歌詞にもあるような「新鮮な体験」となるであろう「Reframe2019」が華やかに幕をあける。その後、レコーディングを模した形で3人が自己紹介をし、リアルタイムの心音(のっちだけすごい早かった)と声がサンプリングされて曲が作られ、声に合わせて照明も動く。これらの演出にワクワクするようなテクノロジーの「遊び心」のようなものを感じ、オープニングから目はステージに釘付けになる。

 そしてアカペラと共に「VOICE」が流れ始める。

点と点をつなげてこ
everythingを合わせてこ
(Perfume、VOICE)

  あ〜ちゃんは公演後「過去と未来をつなぐ作品にしました。」と言っていた。このパートをアカペラで歌った「VOICE」は「すべての時点をつなぎ合わせる」というライブの主題を提示する役割を果たし、ここから「Reframe2019」はこの主題を軸に進んでいく。「Pose-Analysis」で事前に集めた観客のダンス映像が大量に合わせられると、3人により2006年の楽曲「コンピューターシティ」から2018年の「Future Pop」までのPerfumeの代表曲が時間軸に沿って、曲を象徴するポーズとともに次々と表され、過去のPerfumeの「曲」が1つにつなぎ合わされていく。

 そしてあ〜ちゃん、かしゆかによってリアルタイムのののっちが撮影されてスクリーンに3D化されて映されると、最近のツアーやフェスでおなじみ、スクリーンに映される影と3人のダンスが融合する演出が特徴的な「FUSION」、さらに2009年の楽曲ながら、その場でデータ化されて映される3Dホログラムと共にダンスを行う新しい形に再構築された「edge」という、「今日」の「テクノロジー×Perfume」を象徴するストイックな二曲が披露される。Perfumeの歴史をつなぎ合わせた後であるからこそ、この二曲の演出が過去に支えられた「今」を象徴するものなのだと実感させられる。

 その後、スクリーンに表示された時刻が巻き戻され、再び過去へと向かう。そして次はPerfumeが今日まで行ってきたワンマン・ライブやフェスなどのタイトルが時系列に沿って次々とアナウンスされる。それに合わせてライブ、フェスの会場などがスクリーンに映され、Perfumeの3人はそれらの公演を象徴する曲の一部をダンスしていくことで、次は「曲」ではなく「過去のライブ」という出来事をつなぎ合わせる。そして2008年の楽曲である「シークレットシークレット」を、天井から降ろされた3枚のスクリーンに映された過去のライブの(この曲の)映像と共に披露する。2008年から様々なライブで共に歩んだこの曲が、ここで過去パフォーマンスと合わさり演出されることで、直前でつないだ「過去のライブ」を今この「Reframe2019」で1つにまとめ上げていく。「シークレットシークレット」の後半、曲が突然止まり「キミ」「ボク」「セカイ」「ヒカリ」といったPerfumeの曲でよく使われる言葉、言い換えれば彼女たちが通時的に大切にしてきたとも言える言葉がPerfumeの全ての曲から抜き出され、まとめられることで1つの曲が作り出され、その曲に合わせダンスを披露する。

 ここまでで様々な視点からPerfumeの「過去」がつなげられ、「今」と合わせられた。そしてここから、もう1つの点である「未来」が結びつけられていく。歌詞の朗読から始められた「無限未来」。最近のほとんどのライブの最後に、あ〜ちゃんの「私たちとみんなの未来はきっと明るい」というMC(毎回一語一句同じわけではないが)に続いて披露される、ある意味で最近のPerfumeの未来への希望を象徴する曲である。そんな曲を未来を照らすような複数のレーザーの光とダンスをリンクしながら披露する。ここでライブは終わらず、スモークとカーテンによる幻想的な雰囲気の中で「Dream Land」が歌い上げられる。

全て完璧な場所で
何を望むの? 終わりの無い国
どうして 人は恐れるの?
間違いじゃないから
(Perfume、Dream Land)

 「完璧(と思っている)場所にはとどまらない。新たな挑戦を恐れない。」一言一言を噛みしめるように歌う姿からは、そんな彼女たちの未来に向かう「決意」のようなものを感じられる。

 幕が下ろされエンドロールが流され終わり、と思ったら再び幕が上がり、ミラーボールのみを用いたシンプルな演出で新曲、「Challenger」が披露される。「未来」において「挑戦者」として進み続ける。この未来と今を結ぶ決意をPerfumeの3人は、はっきりとこの新曲で表明して「Reframe2019」は鳴り止まない拍手とともに終了した。

 昨年彼女たちは全員が30歳となった。そして今年の4月にはアメリカ最大級のフェス「コーチェラ」に出演。その後、9月には初のベストアルバムを発売し、さらに同月からメジャー・デビュー15周年目に入るなど、ここ1年間に個人・グループとして様々な節目をむかえた。こんな「アニバーサリー満載」の中で長年Perfumeとして続けて来れた驚きとともに、「未来」に対して今までになかったくらい強烈な意識をPerfumeが持っていることを、昨年発売されたアルバム『Future Pop』、ライブのMC、ラジオ、テレビなどなど様々な場面において彼女たち自身が語っていた。そんな中での「Reframe2019」である。MCが一切ないライブの全体を通じて私たちが見たのは「大切な過去をつなぎ合わせ、未来へと挑む」、そんな昨今のPerfumeから滲み出る決意そのものであった。

 「昨年に勝る、最新テクノロジーを大々的に用いて再構築されたPerfumeのライブ」
「Reframe2019」に私たちが期待していたことはそのようなライブであったし、実際もそれを裏切らない、どの演出も圧倒的なものであった。しかしこのライブの評価をそこにとどめてしまうことは勿体無いような気がする。(そもそも「最新テクノロジー」を語るほど知らないのだが。)ここまで書いたように、「Reframe2019」は別に圧倒的なテクノロジーを見せびらかすようなライブではなかったのである。それは曲、効果的に用いられたテクノロジー、セットリストなど全てが1つの主題に貫かれ、「今のPerfumeを表現する作品」を作り出すことに成功した、期待を遥かに上回るライブであった。この作品に感動したし、こんな作品を作り上げたことこそ「Reframe2019」について評価すべきことだと思う。

 Perfumeは「Reframe」を常駐公演にすることも視野に入れているという。(どうなるかはわからないが)もしそうなるなら、その時々の「Perfumeの今」を見ることができるようなライブであったらいいなぁ、と思う。

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