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オーロラと未来と方舟と過去と

BUMP OF CHICKEN『aurora ark final』を感じて

『aurora ark』ツアーファイナルの地、東京ドームは自宅から30分程度と身近な、とても見慣れた場所のはずだった。でもその日見た景色、感じた空気は日頃とまるで違っていた。
 今ツアーは幸運にも複数公演に参加する事ができた。この日の東京ドームは、そのどれよりもはじめまして、の顔をしていた。待ちわびている大勢の中には、終わってしまう寂しさを呑み込むようにはしゃぐ笑顔の人、緊張の面持ちで開場を待つ人。まさに多種多様。その中でも目を惹いたのは、待ち合わせの相手を文字通り首を長くして、時には爪先立ちで探す様子の人だ。
 ツアーグッズの大群の中、ちゃんと目印になるものは身につけてるかな?時間までにトラブルなく落ちあえるといいな、と見ず知らずの他人に優しい気持ちが持てるほどにはこの日を楽しみにしていたのだろう。自分自身も待ち合わせの場所に向かって歩く中、ふと心は7年前『gold glider tour』の頃に飛んでいく。

 僕にはとても、とても大切な友達が1人いる。

 出会ったのは『gold glider tour』がきっかけだった。とても言葉を大切にする、人見知りながらユーモアを忘れない素直なひと。ホリデイの歌詞が大好きなこと、すぐに泣いちゃうこと。とても思い出深い夏だった。日頃は忘れた頃にひょっこり連絡しあう程度が、バンドの活動が活発になるとそれも頻繁に賑やかになっていく。お互いの距離感がバンドのバイオリズムとシンクロしていく、これがとても心地よい。ライブ後、いつも帰り道で答え合わせのようにお互いの言葉に直せない思いを確かめあう時間は、とても大切な儀式のようで、青春時代に叶わなかった何かを追いかけているみたいでもある。『上手くなって 距離を置く 心は近付いていく by キャッチボール』のように。
 大人、と言われる年代になると心から笑う事や夢中になれる時間はとても少なくなる。非日常な空間にいても、頭の片隅から日常が顔を覗かせる。それに気づいてしまったが最後、心はそれらに囚われてしまう。それでも音楽や演劇には ”ここではないどこか” に連れていってくれる何かがある。なぜ人間は音を求めるのか、唄を唄うのか、心と身体を踊らせるのか。その根源がそこにはある気がする。

心は待ちに待った東京ドームに戻る。

 vo/gt.藤原基央は、”魔法のような日だけど、音楽を真ん中に待ち合わせて、たまたまうまくいっただけのなんてことない普通の日” と、この日話した。
 ひとは、幸せな気持ちもそのまた逆も、偶然や運命、必然といった言葉に委ねたがる。そうでもしなければやり切れない事が日常にはうんざりするほど潜んでいるからだ。でも、この言葉を聞いてぼくはこう思った。すべては勇気(Brave)を持って自らの意思(Will)で選んだ事の結果なのだ、と。退屈かもしれない日常も、いつだって魔法のような日にすることができるんだ、すべてはメビウスのように繋がった地続きの日々なのだ、と。
 他のバンド、音楽と比較してBUMP OF CHICKENが特別、などとは思わない。誰かにとっての何か(誰か)がそうであるように、僕にとっては彼らの音楽が特別なのだろう。ただそれだけの事実。
 オーロラの輝きは時計を狂わせるという。科学的には磁場などの環境条件が原因なのだろう。それでも、幻想的なオーロラと数々の名曲に包まれた東京ドームは、ほんの少しだけ未来と過去も繋げて “見えないモノ” を見せてくれたのではないか、とロマンチックな気分になるくらいには唯一無二の空間だった。
 未来は不確実だからこそ、”いつか終わる旅” のなか、BUMP OF CHICKENの音、詞が繋いでくれたリボンをしっかり結びながら、これからも拙い言葉で答え合わせをしていこうと思う。
 素晴らしい音楽、空間に出会わせてくれたBUMP OF CHICKENの4人、数多くのスタッフさん、いつも一緒にいてくれる大切な友達に感謝を。

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