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集合場所は、キセキの橋を渡った先

sumikaへ向けた、自分勝手でわがままな気持ちの話

2019年11月18日
ライブハウスツアー『Wonder Bridge』閉幕

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色んな地方から来てくれてること、わかってるんだよ。
船だって飛行機だって、場所を渡る方法はたくさんあるんだよね。
だけど、俺らは橋を架けます。
どこに住んでたって、距離が遠くたって、sumikaが橋を架けます。
ここが貴方たちの集う場所であるように。
人と人とを繋ぐ橋を架けて、橋を渡って会いに行きます。
だから、どんな姿でも会いに来てください。
橋を渡った先で、また会いましょう。
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ほんの少し前の話をしよう。
sumikaが「今年来るバンド!!」だなんて、毎年言われていた頃の話。
もちろん音楽好き達の間では、良いバンド、泣けるバンド、心の住処、そう言われていた。
ただ、音楽を趣味としていない人達にsumikaの名前を出したところで、「知らない」と返されるのがごく当たり前だった。
こんなにかっこいいのに、こんなに素敵な音楽なのに、バカにされたことが悔しくて、伝わらないことが虚しくて。
だけど、“誰も知らないsumikaを知っている自分”に酔っていたのかもしれないと、今でこそ思う。
あんなに爆発的に売れろと願っていたのに。
今はその勢いが少しだけ収まればいいだなんて思っている。
ああ、嫌なファンだ。
「sumika?聞いたことある!」
「Lovers好き~」
「伝言歌でしょ?」
「ファンファーレいい曲だよね!」
そうやって、今まで関心を持たなかった人達が、音楽をバカにしてた人達が、“ただの流行りとして”sumikaの音楽に触れることが許せなかった。
もちろんそうじゃない人が殆どだってわかってる。
純粋にsumikaを好きになったということはわかってる。
だから、これは単に嫉妬だ。
私たちだけのsumikaが、世間に知れ渡ったことがすんなりと受け入れられなかった。
元より個人のために在る存在ではないのに。
私が必死に伝えたって見向きもしなかった人達が、今じゃ黄色い声援を送っている。
あの時とは違う。わかってる。
私だって特別古くから知ってるわけじゃない。
所謂、古参アピールをしたいわけでもない。
世間より彼らの魅力に気付いたのが、ほんの少し早かっただけ。
シビアな音楽業界で、多くの人に知られなきゃ消えてしまうのは当然だ。
これはいいことなんだ、売れてよかった、わかってる。
わかってるから、だから、お願いだから、これ以上遠くにいかないで。
そんなことばかり思う日々だった。

ファンが増えれば色んなことが起こる。
嫌な話も沢山聞いた。
嫌な思いをしたこともあった。
sumika自体の在り方について疑問に思うことが増えていった。
sumikaの存在こそが私の生きる意義だったのに。
縋って、頼って、泣きついて、感情がぐちゃぐちゃになって、それでもsumikaが在ることで生き長らえていたのに。
それが全部、過去の話になってしまった。
圧倒的に一番であった音楽が、気付けば他の音楽が糧になっていて、掠れてしまった気がした。
曲に、MCに、共感できない自分が嫌になった。
“大きくなったバンドには興味がない”
自分がそんな、薄情な人間に思えた。
sumikaを好きだという気持ちに一切の嘘はない。
だからこそ、こんなことを考えてしまう自分が怖くて、不安で、気持ちが悪くて。
好きだという気持ちさえも疑って。
いつの間にか頼らなくても縋らなくても生活できるようになっていたけど、それってsumikaが私にとって必要ないという存在になったんじゃないかって。
そうやって、引け目を感じていた。
そうやって、自分から離れていった。

自分のこれまでの気持ちを実際に文字におこして、またさらに自己嫌悪に陥る。
こんな気持ちを抱えたまま、今ツアーに向かった。

いつもは愉快で軽快な音楽の鳴る中笑顔で登場する彼らが、ほんの僅かな照明だけの薄暗いステージにゆっくりと歩いてきた。
彼らを迎える割れんばかりの拍手と地鳴りのような歓声。
フロアは期待と興奮と感動と、笑顔で溢れていた。
最高潮ともいえる熱狂が、合図もなしに一気に静まり返る。
静寂に包まれた会場を切り裂くかのように、強くて優しい音が発せられた。
「あ、好きだ」
瞬間的にこう思った。
余計な感情なく、素直に。
私が好きな音楽がここに在ると確信した。
大きいバンドになったとか、誰が好きとか嫌いとか、何が1番だとか、生きる糧だとか。
そんなことはもうどうだっていい。
「sumikaの音楽が好き」
私の中にある事実はこれだ。
この一つの事実さえあれば、私は強く在れる。

彗星が頭の中で流れたんだ。
ステージで輝く彼らに目は向いているのに、一音だって聴き逃すものかと耳を傾けているのに、ライブハウスの空気を肺いっぱいに吸って、熱気も興奮も振動も肌で感じているのに。
頭の奥の方で、彗星が再生されていた。
子供の頃はどんな小さなことだって褒められて、未来は希望に満ち溢れてて、大人はかっこよくて輝いている存在で、自分もそうなるんだと信じて疑わなかった。
なのに気付けば年齢だけは立派な大人になっていて、現実はくすんで残酷だった。
褒められていたことは、至極当たり前になって。
夢を見ろと言われていたのに、夢ばかり見るなと言われて。
希望ではなく、現実を叩きつけられた。
そうして自分のことがどんどん嫌いになっていった。
なんの取り柄もない自分が嫌いだった。
口先ばかりで何も出来ない自分が嫌いだった。
一番好きなものがわからない自分が嫌いだった。
勝手に人と比べては自己嫌悪に陥る自分が嫌いだった。
こうやって、うだうだと考えては何も変わろうとしない自分が、大嫌いだった。
ただ、それが、sumikaに出会って変わったんだ。
sumikaに出会って、もっと知りたいと思って、突き進んでいった。
あの時行動していなかったら、今の私はいない。
だから、sumikaを好きになった自分のことだけは、全力で愛したいと思った。
好きな物を胸を張って好きと言えることの大切さを、教えてくれたのはsumikaだ。
「sumikaの音楽が好き」という最強の事実が、私にとって生まれて初めての、自分を好きになれる理由となった。
『自分が一番好きな自分でいる事にするよ』
(歌詞引用:彗星 / sumika)
そう決意した後、ライブの一番最後に演奏されたのは、彗星。
この日初めて、涙が出た。

sumikaが在ったから、かけがえのない出逢いがあった。
生涯大切にしたいと思える人、場所、出来事があった。
『sumikaが貴方たちにとっての集合場所になれたらいいなと思います。』
『一番大切なものは記憶だ。』
いつかのMCで、片岡さんが言っていた。
まさにその通りになっていますよ。
普通に暮らしていたら恐らく出会うことのなかった人達が、なくてはならない存在になっている。
何の変哲もない土地が、思い出深い場所になっている。
1年の中のなんでもないたった1日が、思い出しただけで泣いてしまう特別な日になっている。
それら全て、体いっぱいで抱きしめて、絶対に離したくない、私を創る大事な大事な記憶なんだ。
会いたい人がいるから、思い出深い場所に行きたいから、特別な時を過ごしたいから。
たくさんの中の一つ一つ、“大切”を記憶して、そうやってみんなが集う場所には、いつだってsumikaがいる。

“Wonder Bridge”
“奇跡の橋”とでも訳そうか。
けれど私は、“軌跡”という意味も込められているんじゃないかと感じる。
sumikaが一歩一歩大切に歩んできたこの“軌跡”において、私たちの出逢いはまさに“奇跡”。
たとえ小さな一歩でも、たとえ小さな記憶でも、全てを合わせた時、それは大きな“橋”となる。
考えるのはもうやめだ。
みんなの共通点は唯一にして最強の一点。
『sumikaが好きだということ』
“キセキの橋”を渡ったその先で、私たちの大好きな音楽が鳴っている。
さあ、sumikaに集合だ。

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