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自信を持てなかったきみへ

BUMP OF CHICKENと未来のわたしより

 二つの正反対の意見がどちらも本当に見えて、どちらを信じて進めばいいのかわからなくなることって、この世の中にいっぱいある。例えば、「真実の愛は本当にあるのか」とか、「夢は信じれば必ず叶うって本当?」とか。ただ、「人間明るく楽しく生きていきたいんだったら、こっちを信じた方が近道!」っていう方向は必ずあって、道徳の教科書とか、電車の広告とか、あと本屋で平積みにされてる本の表紙とか、耳ざわりのいいダンスミュージックとかは、大体その「近道!」の方を向いている。
 そりゃあ私だって、真実の愛を信じていたいし、必ず夢を叶えてやる~!という意気込みで生きていたい。幸せになりたいから毎日仕事を頑張る。だけど「近道!」にまっしぐらとはいかない。昨日に置き去りの自分勝手な言葉を忘れて笑うことができない。夢が叶わなかったとき、自分の好きなものを嫌いになるのがとてつもなく怖くて手を伸ばせない。真実の愛なんてない、私の夢なんて叶うはずもない…。じめじめした暗い心の森の奥で、膝を抱えて動こうとしない自分がずっといる。その自分が「近道!」の裏側をひっぺがして突き付けてくる。その裏側がどうしたって怖くて、いちいち近道とは反対方向に行こうとしてしまう。
 臆病だって笑われても卑屈だって指さされても仕方ないと思う。けれど、臆病で卑屈な自分も実は好きだったりする。それは、自分のこともみんなのことも絶対に傷つけたくない、めっちゃ優しいやつなんじゃないかと思ってるから。だから臆病だ、卑屈だと言われても世界を疑ったり、迷ったり悩んだりするんじゃい!ほっとけ!!!くらいにむしろ思ってる。いや、もともとは臆病な自分が大嫌いだった。こんな自分でも大丈夫だと思えるようになったのはBUMPのおかげなんだよ…ということを私は言いたいのだ。
 
 私の心の中には、膝を抱えてなかなか動けない大切な自分がいる。私だけじゃなく、だれの心の中にもいるものなんじゃないか。そいつの視野は狭くて深い。深くて嫌になるけど、どんどんどんどん深くまで行く。深くなればなるほど強くなれると思っているからだ。けれど深くまで潜るのは本当に息苦しくてつらい。息苦しくてもうこれ以上無理、と思った時にはBUMPの唄が、少しずつ少しずつそいつの世界を広げてくれるはずだよ。
 ――膝小僧から手のひら、心臓が動いていること、呼吸をしていること、唇から零れ落ちた音、涙で霞んだ瞳が、捉えた光へ。そしてその光に向かって歩く体があることを。
 BUMPの唄は膝小僧野郎に心底優しい。優しく世界を明るく広げてくれるから、膝小僧野郎も笑ってこっちを見てくれて、「また会おうね」って抱きしめて、歩き出すことができる。
 BUMP OF CHICKENというバンドは、私が膝を抱えているじめじめの足元に、きらきらした珍しいコケを見つけて、「うわっすげえ!なんだこんなの見たことねえ!ほら見てみろよめっちゃきれいじゃん!」って一緒にはしゃいで笑ってくれた。そうして「これが君の歩く道なんだよ、きらきらしててすごくきれいだろ」って、まるでサーカスやパレードかのように見せてくる。そのコケを星空みたいだって言ってくれたこともある。
 私がこれから歩く道が果たして近道なのかはわからない。けれど、遠回りだとしても、私の歩く道は私にしか歩けない道だ。私に気付いてほしいコケや小石がある。そういうことを多分世間では「自信」というんじゃないだろうか。それに気づくことができたから、今日も前を向いていられる。BUMP OF CHICKENが私にとって特別な理由の一つは、そこにある。

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