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夢を諦め続けた”Teenager”だった私へ

mol-74の音楽を過去の私に聴かせてあげたい

拝啓 10代だった私へ。
 

小さい頃から多趣味でいろんな夢があったよね。
おまんじゅう屋さんになりたいって言ったり、お花屋さんになりたいって言ったり、漫画家になりたいって言ったり、美容師になりたいって言ったり。
今だから言えることだけれど、夢の殆どを叶えてあげることができなくてごめんなさい。

今よりもう少し尖っていて、頑固で、あんまり笑わなくて、人前では絶対に泣かなかったあなた。
今の私はあなたよりも少し丸くなって、ちゃんと笑えるようになったし、時には大事な人の前で泣くこともあります。

あなたが22歳になったら出会うアーティストが、あなたの人生を変えます。mol-74っていうのだけれど。知らないでしょう。
あなたが今よく聴いているアーティストとは、少し系統が違うかもしれない。
他に似ているアーティストがいないのでなんとも説明できないので、
まあ、出会うその日を楽しみにしていてください。
 
 

令和元年11月20日、
mol-74のEP「Teenager」の発売日。
その前日が所謂フラゲ日ってやつで、私は朝からCDを受け取りに行き
午前中はずっと歌詞カードを開いて夢中で曲を聴いていました。

これまでもたくさんの音楽を聴いていたけれど、
「音楽を聴いて涙する」というのはmol-74に出会って初めて知った感情だった。
 
 

リード曲の「Teenager」は、メジャーデビューを夢見ていた10代の頃のご自身へのプレゼントのようなものだと、武市和希さん(Vo/G/Key)が仰っていた。

羨ましいな、すてきだな、と純粋に思ったのです。
「高校生の頃の自分に”好き”って言ってもらえるような曲をつくりました」と仰っていた武市さん。
すごく大きな夢を叶えた未来の自分からこんな眩しい曲が贈られるって、10代の頃の武市さんのことを羨ましく思ってしまいました。なんだか不思議な感覚だけれど。
 

「思い描いて 思い焦がして
 思い通りいかなかった苦い思い出も
 予想以上に、想像以上に大切になるんだ」
─Teenager / mol-74
 

彼らは私たちの知り得ないところで、一体どれだけ苦い思い出を重ねてきたのだろう。
もちろん私は過去の私の失敗や後悔を知っているけれど、それは外から見れば分からないものであって。

たくさん、本当にたくさん、弔ってしまった気持ちや叶えることができなかった夢が私にはありました。
今だって過去形になっていない夢がたくさんある。
私が今思い描いているものも、中には一生叶うことがなくて諦めないといけないものもあるかもしれない。
でもそれに向かってちゃんと頑張った私の気持ちは大切にしてあげたい。
 
 
 

平成最後の4月にメジャーデビューした彼らは、これまでも彼らなりの夢を叶える姿をたくさん見せてくれたのです。
恵比寿LIQUIDROOMで彼らが初ライブをした日(その日はスリーマン公演だった)にMCで「いつかここでワンマンライブをやります」と宣言した1年2ヶ月後には本当に実現させてしまったり、大型フェスに出演したり。

本当にすごいと思う。誰にだってできることじゃないもの。
 

自分がやりたかったことを叶えられなくて、
でも夢を叶えた彼らがあまりにもかっこよくて。
もしかしたら私、彼らの姿に自分を重ねて見ていたのかもしれない。
私が叶えられなかったことを、代わりに叶えてもらっているような気持ちになっていたのかもしれない。
 
 
 

「音楽に救われた」という人は多いと思う。
ただ食料や水のように、ないと死んでしまうものでもない。

たぶんmol-74に出会わなかったとしても、他に好きなものを見つけてそれなりに生きていただろうなあとは思う。
でも、私の知らなかった土地にたくさん連れていってくれて、見たことのない景色を見せてくれて、こんなにこんなに愛おしいと思う気持ちは彼らに出会わなければ知らなかった。
 

本当に辛いと思ったとき、生きることを諦めようと思ったときに側にいてくれたのはmol-74の音楽で。
もちろん彼らが誰かの命を救おうとしているわけではないのは分かっています。でも同じように救われた人が、私の他にもきっといると思う。
 

私にはやっぱり彼らが、彼らの音楽が必要でした。
 
 

令和元年8月4日、
「Teenager」が初披露されたROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019。
あの日私は彼らの音楽に溺れて、ぐちゃぐちゃに泣いていたんです。大人になってからの方が、素直に感情を表せるのはなんだか変な感じがしますが。

でも、あの日聴いた「Teenager」は、あまり感情表現の上手じゃない10代の私にまでも届く曲だったように思うのです。

歌詞もメロディも、本当に初めて聴いたこのとき。
青臭くて、キラキラしていて、舞台上の4人があまりにも楽しそうで堪らなかった。
 
 
 

「自分殺して 悔いを残して
 諦め続けたその先に何が見える?」
─Teenager / mol-74

複数の夢を叶えてうまくやっていけるほど器用じゃなかったからか、或いは周りの反対や野次を押し切ってまで成功させる自信がなかったからか。
本当にやりたかったはずのこと、いくつもいくつも諦めてきたのです。

今やっていることもやりたかったことのひとつなのだけれど、あなたが一番やりたかったことではないんだ、叶えてあげられなくてごめんなさい。
 
 
 

先日部屋の掃除をしているときに、あまり使っていないリングノートを見つけました。
開くと書かれていたのは、箇条書きの1〜100までの数字と、当時の私の”夢”でした。恐らく何かの本で読んだ「100個夢を書き出すと叶う」というものを実践したんだと思う。これを書いたのは社会人になって2〜3年目の頃だったような。
おまけに数字だけは100まで振ってあるくせに、書き出した夢は67個で止まっていました。100個出てこなかったのか飽きてしまったのかは覚えていません。しかも夢といっても無理矢理絞り出したようなすごくくだらないことまで書いてありました。「おしゃれな傘立てを買う」って、本気を出せば明日にでも叶うだろうに(ちなみに未だに買っていません)。

読み返していると、20代前半の頃の私ってこんなこと考えていたんだなあと、なんだか他人の夢を覗き見しているような気分になったのです。
読んでいて面白くなってきたので、叶った夢の数字部分に丸をつけてみました。そこで初めて気付いたのです、書き出した夢が半分くらい叶っていることに。

諦めた夢が沢山あったのは事実だけれど、その分叶った夢も思ったよりありました。
 

そんな中でひとつ目についた当時の夢、

“mol-74のライブに行きたい”

ああ、そういえばこの頃は音源は聴いていたものの、ライブには行ったことがなかったんだっけ。
今ではあなたのその”夢”、ばっちり叶っていますよ。
 

今の私は、あなたが思い描いていた夢の終着点とは少し違うところに立っているかもしれない。
でもね、あなたにはとても想像もつかないようなところにいると思うよ。
ここに来るまでに様々な場面でmol-74に背中を押してもらったんだ、本当だよ。
 
 
 

EP「Teenager」に収録されている楽曲にこんな一節があって。

「希望の糸が どうか途切れないように
 日々の螺旋が どうか続きますように
 光の先が 君を照らしますように」
─Couverture / mol-74

私が日々mol-74に対して抱えている感情そのもので、なんだか心の中を読まれたような気にさえなった。

本当にあなた、幸せものだと思うの。
こんなに慈愛に満ちたバンドを見つけ出したんだもの。
 
 
 

自分じゃない誰かのことを「羨ましい」と思うばかりでした。
今もその気持ちは完全に消えてはいなくて他人を羨んでしまうことも多いけれど、今の私を見て一番羨ましく思うのは他でもない過去の私、つまりはあなたでしょうね。
 

「正しいも、間違いも 今すぐ解るはずないんだから
 答え合わせを急がないで 心が叫ぶ方へ」
─Teenager / mol-74

まだ10代のあなたは、心が叫ぶままに好きに生きればいいよ。
道を踏み外してしまったそのときには、20代、30代になった私が軌道修正するから。
 
 

彼らの音楽が側にいてくれるからこそ、私は前に、時には後ろにだって進める。
あなたをどこへだって連れて行ってくれるのは彼らの音楽なんだよ。
この世に溢れる数え切れないほどの音楽の中から、mol-74という最高にかっこいいバンドを見つけ出した過去の私のことを誇りに思っています。
 
 
 

未来の私より。

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