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2017年7月11日

ろろこ (27歳)

「戦え!」という叫びを撃ち込まれて

9mm Parabellum Bulletに見せつけられた覚悟

メインソングライターである滝が無期限のライブ休止と発表された時、私はまだ彼らの曲をちゃんと聴いたことがなかった。

それからひと月ほど経って、初めて私はそれまでのライブの様子をDVDで見たりCDを聴いた。

「滝がいなくて続けていけるわけがない」

それが私の最初の感想だ。

おそらく彼ら自身も続けるか止めるか、その選択を迫られただろう。離れていったファンもいると聞く。
だが彼らは続ける選択をした。フロントマンの菅原が「あの時にもう続けていけないんじゃないかと思った」と零し始めるのはさらに数か月先のことだ。
 

続けていけるわけがない、と高をくくった時に実は私は既に彼らの音楽に心底ハマりこんでいた。だって滅茶苦茶かっこよかったのだ。
そう長くはもたないだろうと思いはした。それとは別に、好きになったバンドがまだ息づいていることは素直に嬉しかった。

私が好きになったバンドはだいたい活動を止める。
(沢山あるので名前は書かない)

それを責める気は毛頭ない。様々な事情があるのだから。
でも今回もきっとそうなんだろうな、と諦めていたのかもしれない。
アルバムも出すらしいし、せめて活動を続けるうちは追いかけようと思ったのが私と9mm Parabellum Bulletの本当の出会いだ。
 
 

そうしてしばらくしてから手元にやって来たアルバム「BABEL」。

開始3秒。声を上げた。

「えぇ!?」

大げさではなく、度肝を抜かれる。

1曲目のロング・グッドバイだ。いきなりタッピングから始まる。
しかも演奏しているのはライブ休養中の滝である。
多分これは私以外のCDを聴いたファンも似たような反応をしただろう。何かの間違いじゃないかとすら思った。
でも楽譜にももちろんその通り書いてある。その他の曲も、およそ休養中の人間が作ったとは思えない曲だ。

原点回帰…というよりは「思いもよらないことを当たり前のようにやられた時の衝撃」だった。そう、初めてちゃんと彼らの曲を聴いた時の衝撃である。嘘だろ、滅茶苦茶かっこいい!
 
 

そして、この言葉が耳に飛び込む。
 

「戦え」
 

7曲目の「Everyone is fighting on this stage of lonely」だ。胸を撃たれた。

「戦え この舞台で
 戦え ただひとりで
 君の勝利を誰も望まなくても
 生き残れよ 最後まで」
 

2週目は泣きながら聴いた。

2曲目の「Story of Glory」の歌詞には今までの活動を丸ごと肯定するような歌詞が。

「僕らは感じてた 光浴びて
 ステージに刻まれたいくつもの奇跡を」

6曲目の「火の鳥」の歌詞には自分の諦めを見透かされるような歌詞が。

「あきらめなら投げ出して
 灰の山を這い上がれ
 誰に何を言われても
 生きることをやめないぜ」
 

BABELは「今」を写す鏡だ。バンドのこと、社会のこと。
たった40分にも満たない一枚のCDに世界が丸ごと詰まっている。
耳にイヤホンを入れられる時間があれば、何十回も延々と「ロング・グッドバイ」から「それから」までを繰り返し続けた。
率直な歌詞が力強かった。
 

「続けていけるわけがない」と思った自分を恥じた。

ずっと戦っていたのだ。
多分傷つきながらも、ずっと。
 

そう遠くないうちに活動を止めるだろうと思っていた考えは改めた。
自分が好きになったバンドがいなくなるショックを減らそうとしたある種の諦めだったけれど、それは侮辱だと思ったから。
 

「戦え!」と高らかに叫ぶ彼らは、おそらく私たちが思うより何倍もしぶとい。
 

ツアーに参加した人たちにはきっと分かってもらえると思う。
苦境の中に今なおいるはずなのに、彼らはその苦境を魅せることができる。

ドラムを上手に据える配置はもちろん、ドラム一筋のかみじょうがコーラスをし、地元以外で喋りたがらない中村が喋り出し、菅原が滝のパートを弾き、滝が一員であることを証明するように「滝が弾いている」音源を流す。
そして、サポートのギタリストはモバイル会員であるHERE武田を筆頭にみんな9mm好きばかり。
 

そこには覚悟があった。
9mm Parabellum Bulletを続けていく覚悟だ。
 

「TOUR OF BABEL Ⅱ」で久々に暴れ狂った滝はまだしばらく療養するだろうし、その間はまた戦い続けるのだろう。
何と戦うのかは分からない。
他人かもしれないし、自分自身かもしれない。目に見えるかもしれないし、見えないかもしれない。

だが、苦難は人を強くする。
「進化」とも「深化」とも言われた彼らがどんな方向に行くかは分からないけれど、たった一年足らずの中であれだけたくましくなったのだ。
9mmはまだ続いていく。
おそらくもっともっとたくましくなりながら。
 

覚悟の先を見届けたいと思った。
戦った先に何が待っているのか見てみたいと思った。
 
 

完全復活の9mmが見れるまでは長いお別れかもしれない。
それでも新しい光の中に突き進んでいく9mm Parabellum Bulletは、やっぱりいつだって、滅茶苦茶かっこいい。

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