2624 件掲載中 月間賞発表 毎月10日
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

打首獄門同好会はなぜ売れているのか

邦ロックの片隅で

Youtubeで音楽を漁っていた時に、それは唐突に現れた。

ふざけた曲名にふざけたバンド名。
嘉門達夫やSEX MACHINEGUNSを頭に思い浮かべながら、再生ボタンを押す。

そこには良い意味で裏切られた曲があった。
そして、数か月後に彼らのライブ会場に私は居た。
 

今やチケットは全く取れず、フェスでも入場規制が当たり前の打首獄門同好会。

ライブやフェスに行かない人たちにとっては、まだそんなに知られていない存在だが、
「布団の中から出たくない」以降の売れ方は目を見張るものがある。
(余談だが、私が彼らのライブを見始めた時は300人のハコでも当日券で入れた)

ここ最近はライブ会場に行くと「ひ孫すら居るのでは」と思う佇まいの人から、「まだ園児なのではと」思う人まで
まさしく老若男女が集まっている。

彼らの何がそんなに人を集めるのか。

私もその内の1人であるのだが、純粋に不思議だと思うことが多々ある。
そこを私なりの推測で掘り下げてみようと思う。
 

1:バンド名

 良い方向にも悪い方向にも尖っているバンド名であるのは誰が見ても明白である。
 「カラスは真っ白」や「或る感覚」などの文学的な香りは一切しない。
 そこにあるのは「筋肉少女帯」や「人間椅子」のようなダークなイメージだ。
 「打首獄門同好会」まで行かなくても「打首なんちゃら」、「何かすごい名前の同好会」ぐらいの
 イメージは頭に残る。
 打首獄門同好会を初めて扱うメディアは必ずと言っていいほど「バンド名の由来」を聞くほど
 インパクトは大きい。
 

2:ギャップ

 音としては「打首獄門同好会」なのではあるが、歌詞としては「みんなのどうこうかい」である。
 5弦ベースはそこまで珍しくない時代にはなってきたが、7弦ギター(通常のギターより低音の出る弦が多い)は
 未だに珍しい部類である。
 その多弦の2人と正確で重いドラムから繰り出される重厚な音は、まさしく「打首獄門同好会」の名の通りだ。
 ほとんどの人が「これは本当に3ピースなのか?」と思ってしまうぐらいである。
 
 その重厚な音に乗っかるのが女性2人と男性1人のボーカルによる緩すぎる歌詞だ。
 音だけを聴くとL.AやU.K、ジャーマンを彷彿される本物の音なのだが、
 その上にあるのが「みんなのうた」である。これこそ彼ら最大の売りであり、
 皆がギャップを感じる点であろう。
 

3:時代

 会長と呼ばれる大澤はガジェット好きである。本人はどこにもそう書いてないが間違いない。
 そして、最新テクノロジー好きでもある。本人はどこにも(略

 彼らがネットを駆使し始めたのは2005年。Youtubeが始まった年であり、iPhoneの登場はその3年後である。
 彼らは他の大多数のバンドよりも早く告知をネットでも行っていた。
 そして、Youtubeだ。Youtubeの効果的な活用が彼らを押し上げたのは間違いない。
 彼らのMVはもちろんのこと、オリジナル番組「10獄放送局」はローカルTVや民放深夜ならばそのまま放送できる
 高いレベルにある。
 MVも全ての動画に歌詞があり(まごパワーだけ後付けではあるが)、よくある「ここ何を言ってるの?」がほぼ無い。
 結果的に口ずさむ事ができ、耳に残る。

 Youtube・Blog・mixi・Twitterなどなど、全ては誰にも広く提供されているサービスである。
 それを活用できるかどうかはその人次第であり、会長はここの嗅覚に優れている。
 CD販売では生活できない時代を潜在的にいち早く感じていた1人なのではないだろうか。
 結果的に時代への嗅覚が「今」にマッチしている。
 (個人的にはそろそろ360度MVが発表されるのではと思っている)
 

4:音

 上でも書いたが、彼らの音は本物だ。歪んではいるし、パワーコードも多い。
 しかし、彼らの紡ぎだす音はいわゆる「ドンシャリ」ではなく中音が大事にされていて、更に色々なテクニックが垣間見れる。
 そして、何よりベタである。様々なジャンルを歌う彼らだが、どれもどこかで聞いたことのあるコード進行やリフやメロディーが
 散りばめられている。
 結果的に初めて聴くのにデジャヴに近いものを感じる。音楽を幅広く聞いている人にとってはそれが顕著に表れる。
 なので、高齢者のファンも多いのではなかろうか。
 

5:歌詞

 これも上で書いたが、独特な歌詞も彼らの特徴だ。
 純粋に思いだけを書くのは実は難しい。どうしてもそこに深い意味を持たせようとするのが歌手の性である。
 単純に思いを書く。だから共感が得られる。そこの共感は恋愛物の楽曲とは一線を画す。
 これは彼らの専売特許に近く、どのジャンルを歌っても歌詞が打首だと打首の曲だと成り立ってしまう。
 歌詞だけでバンド名が分かる稀有なバンドであり、幅広く認知される原因の1つではなかろうか。
 

6:曲作り

 音や歌詞などではなく、曲作りに対する行動が彼らはバカだ。(誉め言葉)
 
  曲名:ヤキトリズム
   市場まで鳥を買いに行き、河原で焼鳥を実際に作る。

  曲名:日本の米は世界一
   実際に新潟まで行き、田植えから収穫まで行う。

  曲名:88
   実際に四国八十八か所巡礼を行う。

  曲名:糖質制限ダイエットやってみた
   そのまんま。結果的に炭水化物を食べれなくなり肉ばっかり食べることになる。
   そして、「ニクタベイコウ!」という楽曲が産まれる。

 曲名:New Gingeration
  岩下の新生姜の工場まで行き、工場見学とお勧めのレシピなど聞きこむ。

 一例を出したが、こんなのが沢山ある。
 そして、その内のいくつかは上記の10獄放送局でドキュメンタリーとして公開されている。
 曲に対する裏情報が映像や文言として公開されている事が多々あるので、
 何故それが作られたのかリスナーは理解することができ、一緒に成長している感じを共有できる。
 (実際には彼らは数歩先を行っているのだが)
 

7:優しい

 これは3人の人柄なのだが、とにかく優しい。
 私事で恐縮なのだが、彼らに数回サインや写真を頼んだが断られた事は一切ない。
 過去のライブでは会場が暑いからと、水を配った事もあった。
 ツアーが全てソールドし、行けない人の為に大きいハコで再度ツアーを開催し、
 それでも行けない人が多数現れた東京では、急遽別の場所を抑えて2回開催にしてくれている。
 ライブ会場への地図を手書きで書いてくれたりもする。
 ライブする場所や対バン相手を考慮した曲を必ず演奏したりもする。
 ライブの音圧で耳がやれらないように耳栓も公式グッズで売られている。 

 そして何よりライブ中に映像と歌詞が出る。

 サザン、ミスチル、オザケンなどライブで歌詞が出るバンド・歌手はいるが少数派だ。
 CORNELIUSのように映像と歌詞も1つの作品としている人もいるが、どちらかというと芸術作品に近い。

 ライブには様々な人が来る。長年見てきている人から、初めて来た人。更には対バン目的などで来場し、初めて聴く人まで来る。
 そこにあの映像と歌詞が出るのは優しさでしかない。
 昼の野外フェスなどプロジェクターが使えない場所の為に、LEDパネルを自作するバンドがかつて居ただろうか。
 これがあるからこそ、初めて聴く人でも1番を聴いたら2番から声を出すことができ、一体感が生まれる。
 (過去にはメンバ全員が一切歌わないで、端から端まで客が歌うということもあった。)
 

8:露出

 未だに深夜帯がメインではあるが、メディア露出が大変増えてきた。
 Yahooニュースで取り上げられたりWeb媒体でも露出が増え、存在を知られる機会が増えてきた。
 存在を知る母数が増えればファンになる人も増える。
 
 そして、信じられない数のフェスや対バン参戦。
 フェスは言わずもがなだが、私立恵比寿中学やでんぱ組.incなどいわゆる畑違いの人たちとの
 対バンもあり、着実に母数を増やしてきたのも人気が出た要因の1つなのは間違いない。
 

9:ライブ

 彼らのライブは楽しい。何が楽しいのかというとネタバレになってしまい書けないのだが、
 みんな本当に笑顔だ。
 
 彼らはライブバンド

 そこにかける思いはかなり強い。
 TV等で彼らのライブ映像が流れることがあるが、どの曲も端から端までは流れない。
 そこは彼らの「是非とも会場に足を運んで楽しんで」という思いが詰まっている。
 

彼らがどんどん先に行くのは嬉しくもあり悲しくもある。
先にも書いたようにチケットは既に入手困難なバンドになってしまった。
しかし、私はこれからも余程の事がない限り彼らを追いかけるだろう。
そして、同じ思いを持つ人がこれからも増えていくのを楽しみにしている。
チケット争奪が日に日に厳しくなってしまうが、致し方ない。

駄文を長々と書いてしまったが、これだけは最後に言いたい。
 

転売目的のチケットは絶対に買ってはダメだぞ

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい