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胸を張ろう、「ひとり」の私であることに。

Juice=Juice『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』レビュー

「ミキってさぁ、結婚とかしなくても生きていけそうだよね」
タイトルを初めて聞いたとき、
思い出したのは高校生の頃、妹に言われたこの言葉だった。
 

確か、わたしの友人に彼氏ができた話をしたときだったと思うが
「わたしもそう思う!」と即答した。
 

だけど胸がつかえているような後味の悪さがあって、
母を含め三人で車で出かけていたのだが、
それ以降窓の外を眺め、だんまりを決め込んだ…
そんな風に記憶している。
 
 

キャリアを積めば男なんていらない、と思っていた節はある。
英検1級取って、通訳になってバリバリ仕事して自活していく!なんてプランを当時は描いていた。

だけれど人並みに恋愛をしたい気持ちもあって、
「なんであの子には彼氏ができるのに、わたしは好きな人には振られ、好きでもない人には誘われたりでうまく行かないの?」なんて
自問自答しつつ悔しさを抱いていたりもした。
気負い過ぎて同級生の男子とまともに会話もできなかったことを棚に上げて。
 

幸いその数年後には彼氏ができ、結婚し、現在に至るが、
心の奥底に残る小さなしこりのように、わたしの中に存在し続けている出来事だ。
 
 
 
 

きっと大なり小なり
わたしのような思いをした人がたくさんいたのだろう。
 

YoutubeでのMV再生回数は発売から約半年経った現在で約250万回。
既にJuice=Juiceの歴代MVの中で3本の指に入る。

8月にはキャリア2作目となるゴールドディスクにも認定。

ハロー!プロジェクトでは異例ともいえる発売週以降のイベント複数回開催、JOYSOUNDとのコラボキャンペーン、
リリース後に加入した新メンバーも歌唱するNew Vocal Ver.を発表、など反響の大きさが窺える。
 

シンガーソングライター・山崎あおいが作詞作曲。
アンジュルムやカントリー・ガールズ、OGである鈴木愛理にも曲を提供していて、
最近のハロー!プロジェクトを支える、大事な作家の一人である。
 
 

曲の主人公は「ひとりで生きられそう」と言われたことに対し、
全然そんなことはなくて、強がってるだけで本当は寂しい、
そんな私の心の内を見抜いて欲しい、と訴える。

しかし、曲が進むにつれ、彼女は気付き始める。
 
 

『だけど私自身を 幸せにできるのは
結局は私だけ 勇敢にならなくちゃ』

『確かなオアシスとか
どこにも残ってない時代さ
たくましく推し進む力を 誇れ』

『「ひとりで生きられちゃうの」
それは素敵なはずでしょう?
胸張る私になって 誰か愛したい』
 
 

白馬に乗った王子様が颯爽と現れて私をお姫様にしてくれる、
そんな夢物語を信じてひたすらに待っている暇などない。

自分の道は自分で拓く。

誰かに幸せにしてもらうのではなく、自分から幸せを掴みに行くんだ。

「ひとりで生きられちゃう」くらい強くなって、
自分に自信を持った上で人を愛せたら?
きっとそれまで以上に優しくなれるだろうし、
かつ、冷静に客観的に物事を見極められる…

そんな風にわたしには解釈した。
 
 
 
 

もちろんこの曲の魅力は歌詞だけではない。
サウンドの面で言えばAメロの上下に動きのあるメロディ、
間奏の印象的なギターリフ、
最初のサビと落ちサビだけ1音低い、哀愁を誘う構成に心がうずく。
 

歌割りも秀逸だ。
今にも割れてしまいそうなガラスのように儚い声が
切実さを持った、訴えかける声に変わっていく宮本佳林による最初のサビ、
間奏明けの金澤朋子による高らかで力強い声、
落ちサビの段原瑠々の切なさが
特に印象的でファンの間でも評判であった。
 

しかし、New Vocal ver.では大胆にも歌割りをすべて変更。
ユニゾン以外誰も以前と同じパートを歌っていないのだ。
初めて聞いたとき違和感を覚えなかったと言えば嘘になるが、
この歌の世界を生きる新しい主人公が現れたようで、
曲の世界に拡がりができ、面白い試みだなと感心した。
 
 
 
 

ところでもうひとつ、
わたしがどうしても言及しておきたい点がある。
 

それは、
この曲の主人公が
ステージに臨むハロー!プロジェクトのメンバーと重なって見えたことだ。

パフォーマンスに定評のあるハロー!プロジェクトだけあって、
「ひとりで生きられそう」なくらい、ステージ上では「自立」したパフォーマンスを見せるメンバー達。
一言で形容するなら、まさに「強い」のだ。

しかし、わたしたちファンの預かり知らぬところで
様々な苦労があるだろうし、悔しい、苦しい思いもきっとしている。

リハーサルの日までに振り付けを覚えきれていなかったり、
本番のステージで隣のメンバーのダンスを横目で確認しながら踊ったら、
次の日には後列に立ち位置を下げられたり、
それ以前にステージに立たせてもらえなくなる、などのエピソードも現にたくさん耳にしている。

でもひとたびステージに上がり、曲が流れ、照明が当たれば
それらは全て胸にしまって笑顔を見せ、妥協のない、そのときの自分のベストを尽くすのだ。

そんな彼女たちが歌うからこそ
説得力を持って、この曲がわたしの心に入り込んできたのだと思う。
 
 
 
 

「ひとりで生きられそう」と本当に褒めているのか、皮肉なのか、
言葉をかけてくる側の真意を汲み取ることは難しい。

でもそんな周りからの声など気にする必要はないし、
「強がり隠す弱さ」だって決して恥じるものではない。

自分のことは自分で決める。
「確かなオアシス」だって自分で作ってやる。
そうやって生きていきたい。生きて行かなきゃ。

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