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バンドと客の幸福な一夜

Nothing's Carved in Stone 神戸VARIT公演

 11月28日、北風吹く寒い中のNothing’s Carved In Stone神戸VARIT。1時間半のライブを終えて帰宅する時は全身ホカホカで、ダウンの下はTシャツ1枚だった。
 小さ目のライブハウスならではの暗さと人いきれの中、期待と熱気が渦巻く満員の客は、オープニングから若くて元気で熱い。大人しく後ろの方で揺れていようと思っていた自分もついついつられて1階フロアで踊って歌って大騒ぎしてしまった。笑う奴がいたら笑ってくれ。
 神戸という場所はあまり大きなホールやアリーナもないが、毎年ネコフェスやカミコベ等様々なイベントが開催されているだけあり、ライブハウスの数もそこそこあり、ライブの土壌が蓄積されているというか、客もわかっている人が多い印象。前日の滋賀公演に比べると、客がいい意味でライブ慣れしていてノリがよく元気いっぱいなので、ボーカルの村松拓も、バンド自体もそれに引っ張られ、すごくリラックスしながらも、声の力が、音の勢いがどんどん増していく。時間が経つにつれ、バンドと客双方のボルテージが掛け合いのように高まる。これが演者と客の相乗効果なのだ。足し算じゃなくて掛け算。受け手も送り手も両方が幸せ。小箱のライブハウスのライブの良さを凝縮したようなライブだった。
 前日、やや不調で高音部が苦しかった村松の声の状態はかなり持ち直し、終始ニコニコ。本人は意識しているのかわからないが、これもこのバンドの売りのひとつであるキラースマイルで楽し気に歌う。前日の公演は、それはそれで不調のボーカルを、力技でカバーする楽器隊、という良いバンドならではの醍醐味を味わうことが出来たのもまた一興だったのだが。
 この日の神戸は、村松と観客とのやり取りも楽しく、いざ曲に入れば黙々とリズムを刻みアルペジオを奏で、時には空間を切り裂く生形真一のギターに、ひなっちこと日向秀和の、ベーシストの枠を超えた八面六臂のエンターテナーぶり、この暴れん坊たちを後ろからぐっと支える大喜多崇規のドラム、と一人一人の力量をとっても、またナッシングスというバンドとしての一体感やグルーブも申し分なく、これだけの実力のあるベテランバンドが、敢えてこうした地方のライブハウスにこだわる意味、この問いかけに力強く応える客の熱量が外の冷気を忘れさせ、幸福な記憶として深く心に刻まれる一夜となった。こんな夜があるからまたライブハウスに行こうと思う。

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