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きらめく夏の思い出に付き合って

the HIATUS 「Our Secret Spot Tour 2019」

 
私がthe HIATUSに出会ったのは8年ほど前。
まるで激しい雨が降った時の雨音のように、音が飛んでくる衝撃。一音一音命を削るように鳴らす音楽たちはあまりにも美しくて力強くて。聴くたびにその音楽たちにただひたすら恋焦がれ続けていた。私にとっての「あたらしい扉」を開けてくれたのは紛れもなくthe HIATUSの音楽だと思う。

彼らのワンマンライブは平日に行われることが多く仕事を始めた当初はどうしても参加することが難しかったので、毎年年末のフェスでその1年頑張ったご褒美といわんばかりに彼らのライブを観るのをずっと楽しみにしてきた。あぁ、今年も会えたなぁ。やっぱり好きだなぁ。なんて思いながら年を越す。それだけで十分幸せだと思っていた。
仕事もだんだん慣れてきて気づけば社会人6年目。平日の夜にふらっとライブハウスに行くことも増えてきた。
今年の夏に発売されたアルバム「Our Secret Spot」を聴いて、ワンマンライブにどうしても行きたい……………!という熱が募り「夏休みだしどうにかなるんじゃね…?」と半ば強引に同僚に勤務日を交代してもらい(快諾してくれた同僚に感謝)行ってきました、広島。

もう金木犀も散ってだんだん冬のにおいがしてきたけれどわたしのきらめく夏を彩ってくれたthe HIATUSのライブに参加した日の話。8年越しの夢。2019年の夏は、私の夢がいくつ叶ったのだろう。
 
 

その日は16時まで働いて10分後の新幹線に乗るために最寄駅には10分かかる職場から猛ダッシュするという過酷すぎるミッションをはじめとして、ひとつ何かを間違えると開演時間に間に合わないというぎりぎりスケジュールだったので、会場に辿り着くまで「大丈夫かな…」と一抹の不安を胸に抱えながら過ごした。どうにか、広島ブルーライブに辿り着き、「海のにおいがするなぁ」なんてのんきなことを言いながら全体を見渡せる場所を選び取ってお酒を飲みつつ開演時間を待った。お酒を飲みながら音楽を聴くなんてちょっぴり大人になったななんて嬉しくなった。

開演時間になり、メンバーが登場する。迎える拍手と歓声と熱気があまりに熱くて、「ライブハウス」に彼らの音楽を聴きに来たのだとその瞬間改めて気づかされた。
大好きなライブハウスで、好きな人たちが好きな音楽を奏でている。当たり前ではないんだよなぁ、10年続けてきてくださったことも、新しい音楽を常に生み出してくださっていることも。

アルバムを聴きこんで参加したから耳馴染みの良い楽曲たちが演奏されるたびに胸が高鳴った。うっかり気を抜けば飲み込まれてしまいそうなほどハイエイタスの音楽の大きな大きな波のようなうねりはわたしの身体の中に染み込んでいって自然と身体が揺れる。ドリンクの氷が溶けて水になるのも気にならないくらいずっと夢中で。彼らの音楽を夜通し抱きしめたいと思った。

とにかく、とにかく!!!演奏が圧倒的であまりに格好良すぎる。
グルーブ感というのでしょうか、全員の音がばちこんと合わさった時に放たれる、すべてを受け止めるのは不可能なのではないかと思うくらいのすさまじいエネルギー。すべてを包み込むようなあたたかみも、優しさも兼ね備えているのに身を削ってギリギリのところを攻めるような切迫感や衝動でキリキリと迫ってくる感じも、儚くて消えてしまいそうな危うさもある。背中をがつんと押してくれるような勇気を携えてくれるような歌もあれば、みんなでキャンプファイヤーの火を囲むような歌もあって。どれだけのふり幅があるのだ…とひとりで唸ってしまった。そしてとにかく、美しかった。あまりに美しくて美しくて、その美しさに震えた。

恋焦がれていた大好きなアルバムの楽曲たちが目の前で鳴っているという何物にも代えがたい幸福感にはいつまでたっても慣れないし、「アルバムで繰り返し聴いていた楽曲」たちがものすごいエネルギーを放ち変幻自在に変化してまたべつのあたらしい楽曲になっていくのをありありとつきつけられるたびに高揚感でいっぱいになった。どきどきわくわく、次はこんな曲を歌うのか。こんなアレンジをするのか。と顔をくしゃくしゃにしながら笑ったりびっくり顔になったりと忙しかった。

フェスで演奏される30分間より圧倒的に長い時間、圧倒的に多い曲数を演奏してくださることを実感して「うわぁ、そうかまだ終わらないんだ。ここでひとつめのブロックなんだ」などと新鮮に感動してみたり、ライトの色がきらきら変わるのもシンプルなものが多くて、それでも演奏に負けない華やかさが美しいなぁなどと思ったりしていた。

どんな曲を歌ってくださっても「よかったなぁ~~~」と思うだろうし、喜ぶだろうなと思いつつ、こっそり大好きなRadioを歌わないかなあと思っていたのだけれどRadioの歌いだし。「A rainbug~」と聴こえたときに心臓が止まりそうだったし、その場に立ち尽くして大好きな曲を噛みしめながら聴いた。雨音が聴こえてくるようなサウンドも、あたたかい声色も。泣きのギターソロも。力強いドラムとベースのリズムも、ピアノの美しいリフレインするフレーズも。すべてが合わさって雨が泣いているみたいな曲だとずっと思っていた。フロアにいるみんなが拳を突き上げて歌う瞬間にぱっとフロアに灯りがついて顔が照らされる。そのときのあまりに素敵な笑顔たちにつられてニコニコになるメンバーの表情を見た瞬間ぼろぼろ堪えていた涙があふれて止まらなかった。拳と拳をぶつけあって、まるで心を通わせるようなそんな瞬間。歌えとばかりにこちらにマイクを向けて笑う細美さんの笑顔とそのあとの屈託のない晴れやかな「イエーイ!」という嬉しそうな声。うわぁ、ずるい。(…ちなみにその後も何回もまた泣いた。)
みんなの声すっごくすっごく素敵だったんだ。忘れられない瞬間だった。あと、ピアノのアレンジがとても美しくて釘付けでした…。

あと、ワンマンならではのMCのゆるさ。(まぁ、いつもゆるいかな?)5人全員お話しされていて個性が爆発していてそれもとてもよかったなぁ。こういう瞬間に人柄とか人となりがちらりと見えてさらに大好きになるのですよ。5人とってもとっても素敵な大人で、いいなぁ…いいなぁ…とずっと羨望のまなざしで見つめていました。(いい大人なんだけれどね、わたしも)
 

「このバンドが始まった理由ってなんだったっけ?ってはじまりのことを忘れてしまうほど続けるから。」

10年間続けることって並大抵のことじゃないと思うんだよ。それなのに10年続いている。そしてだんだん面白くなってきたって笑うの。すごいなぁ、って思う。永遠なんてないし、絶対なんてない。だけれど「またここから10年どんなことが起こるのか楽しみ」って言ってくださるのは、未来の約束みたいでとてもうれしかった。確約なんかじゃなくても、そうやってみんなでわいわい未来の話をして目を細めているその事実がわたしたちにとっての希望の光。
たくさん素敵だなぁ、忘れたくないなぁ、と思う言葉たちがあって。それをずっとずっと鮮明に真空パックできたらいいのにと思うけれどそれは難しくて。だから、こうやって書き残して何度も何度も反芻して自分の中に刻んでいきたいんだよなあ。重いな。

「俺らは頭も悪いし、行儀も悪いけど受けた恩を忘れるほど馬鹿じゃない。10年間支えてくれてありがとう」

あぁ、大好きだなぁと思った。こちらこそ、10年間ずっとずっと音楽とひたむきに向き合って悲しいこともつらいことも悔しいこともある中投げ出さずひたむきに音楽を届けてくださってありがとうを伝えたい。

「生きている時代がちょっとでもずれていたら俺たちは出会っていないんだぜ?お前らとは縁があるんだよな。今日の続きはまたどこかで会えた時に」

きらめく夏の記憶を、そっと胸の宝箱に閉まって。僕達の秘密の場所は、いつだってライブハウスだ。

the HIATUSありがとう。出会えた奇跡をぎゅっと抱きしめて、離すつもりなんてないよ。これからもずっと一緒に生きていけますように。

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