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WEAVERが教えてくれた新しい音楽の楽しみ方

WEAVER Billboard LIVE 2019 ~物語の夜~に寄せて

すごいものを見た。
大阪のWEAVER Billboard LIVE DAY1が終わった瞬間そう感じた。
いや始まった瞬間からずっとだ。
そう思った私は、東京のDAY1があるド平日の12/2、
気づけば新幹線に乗って東京に向かっていた___。

今年3月、「流星コーリング」という同名の小説とアルバムを発売し、10月には「流星コーリング」の集大成、そしてデビュー10周年を祝うアニバーサリーライブを終えたWEAVERが次に発表したライブは大阪・東京2日間ずつ計4日間のBillboard LIVEだった。

今年のBillboard LIVEの1日目のコンセプトは「物語の夜」
作家であり作詞家であるDr.河邉がWEAVERの楽曲からショートストーリーを作成。それをゲスト声優が朗読し、WEAVERがストリングスを交えてその曲を演奏することで曲の世界観をさらに深めるという意図がある。

ゲスト声優は牧野由依と株元英彰。二人ともWEAVERと同じアミューズ所属である。幅広いジャンルのマネジメントを行っているアミューズに所属しているからこそ、このような垣根を超えた交流も行いやすいのだろう。

物語の夜の導入は、なんのために生きてるかと悲観的に思うことがある女性に対して、君がいないと何も始まらない、音楽が君を待っていたんだという、ファンとアーティストの構図をショートストーリーで表現するところから始まる。

そこから「Welcome!」がヴァイオリンとともに演奏される。

「放て心 揺らせ身体
楽しい時に笑えるように
歌は全ての準備をして
そうさ 君が来るのを待っていた」

次曲「ティンカーベル」でもこんな歌詞がある。
「連れて行くよ
涙のない場所まで」

「ショートストーリーの世界観=楽曲の世界観」であるため当たり前のことなのだが、ショートストーリーと声優の芝居でグッと楽曲の世界に引き込まれ、その流れのまま演奏が始まる。
映画のためにサウンドトラックが作られることがあるが、
それとは逆行して楽曲のために物語を作っているため、合わないわけがない。
WEAVERには元々ストーリー性が高い楽曲が多いことも成功に起因しているだろう。

ショートストーリーには歌詞のフレーズが少しずつ足されているため、この曲の話では?と予想をするのも楽しい。

「マーメイド」や「アーティスト」のショートストーリーでも、声優の声によって、映像が脳裏に浮かぶ。
音楽と物語の朗読だけで、自分の頭の中での世界観がどんどん広がっていくのを感じる。

しかも自分たちで楽曲のショートストーリーを作るだけでも凄いのに、DAY1のコンセプトである「物語の夜」のセットリスト全てBa.奥野がアレンジを加えている。

WEAVERはアレンジという分野にもとても強い。
原曲はすでに完成されているにもかかわらず、それをもう一度作り直すというのは、既存の価値観を壊す作業が必要で、本来であれば相当難しいはずだ。
そのアレンジを物語の夜の2日間のためだけに行う、その贅沢さたるや。(DAY2「轍の夜」でもVo.杉本が全曲アレンジを行っている)
杉本は「11月はビルボードのために捧げたといっても過言ではない」といいつつ、アレンジについては「楽曲に新しい服を着せてあげる」と表現しており、演奏する姿はとても楽しそうだ。

次曲「アーティスト」は
「歌うよ
これが孤独!
それでもいいと
思えるほどステージは光の中
いつか誰もいなくなっても
君だけはこの歌を覚えていて」
という歌詞にある通り、アーティストの苦悩を歌った楽曲であるが、ショートストーリーの株元さん独演が胸に迫る。
アレンジもラテンテイストになっており、新しい服を纏った曲が「どう?素敵でしょ?」と言わんばかりに輝いている。

「『あ』『い』をあつめて」のショートストーリーでは「僕らの永遠」の長すぎるサブタイトルがクロスオーバーするようなひとネタもあり、ファンにはたまらない演出である。そこからBen E.Kingのスタンド・バイ・ミーのイントロをカバーしつつ「ふたりは雪のように」にしっとりとつなげていく。
通常のツアーでは滅多にやらない・やれない曲ばかり。
こういったコンセプトだからこそ光を当てることができる楽曲がある。

そして、本編最後の「Shine」のショートストーリーでは、株元さん演じるアーティストが
「音楽には不思議な力があるんだ。
言葉と音だけで、景色を伝えることができる。
一つの音がここにはない景色を見せてくれる。」
と伝えてくれる。

物語の夜のアンコールでは、
牧野さんをコーラスに迎えて流星コーリングの中から「透明少女」を披露。
そして、ラストはこんなショートストーリーから「Just one kiss」が始まる。

「私は電車に揺られながらあなたのことを思い出す。今日あなたと同じ時間を過ごせたのは音楽のおかげだった。」
「僕は電車に揺られながら君を思い出す。今日君と同じ時間を過ごせたのは音楽のおかげだった。
どうか君だけはいつまでも覚えていてほしい。
今日君と過ごした宝石のような時間がいつまでも輝き続けますように____。」

私はいつもライブが終わったあとは楽しかった余韻を感じながら、帰路に着く。
それを、アーティストも同じように思ってるよ、とこのショートストーリーを通じて伝えてくれたことが何よりも嬉しく感じた。
今回物語の夜を終えて、改めて歌詞を見返した。
この曲のこの言葉にはこんな解釈が含まれていたのか、と既存曲に対して改めて違う楽曲の楽しみ方を教わった。
今でも株元さんや牧野さんが演じるキャラクターの台詞が、WEAVERの音楽が、頭の中でリフレインする。
これが2日間しか行われないライブだなんて信じがたい。
Billboardという贅沢な空間で、ストリングスを加えてこのような挑戦的な試みを行ってくれた彼らに拍手を送りたいし、ぜひまた来年もやってほしい。

そして定時ダッシュして新幹線に飛び乗った私にも心の中で盛大な拍手を送った。
 

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