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BUMP OF CHICKEN「ジャングルジム」

心の本当と向き合う場所

 
今夜は、欠けた月の黒いところがよく見えるなあ。

冬。
月や星がきれいな季節。
よく見ると、三日月の夜だって、丸い月の輪郭が見える。

月がこんな風に見えるようになったのは、間違いなくあの曲のせい。

7月にリリースされたBUMP OF CHICKEN9枚目のアルバム「aurora arc」に収録されている曲「ジャングルジム」。
優しくて、心地よくて、ちょっとだけ鋭い弾き語りの曲。
 

“欠けた月の黒いところ”

「ジャングルジム」
 

何度か出てくるこのフレーズ。意識しなければ見えない「欠けた月の黒いところ」に価値を見出だす表現に、BUMP OF CHICKENらしさを感じた。

BUMP OF CHICKENはいつだって、光が当たらないところを見付けて光を届ける。陰に隠れて生きていても、必ず見付けて存在意義を与えてくれる。
どうしてこんなにも、こちら側の気持ちが分かるんだろう。光が当たるところにおいでよって連れていくわけでもなくて、当たらないところまで来て、隣にそっと寄り添ってくれる。彼らの音楽は、ずっとそんな風に奏でられている。
 

大人になって、必然的にいろんな顔ができるようになった。意識して使い分けてるわけじゃないけど、時や場所、相手や立場によって、いろんな私になれる。大人になるって、きっとそういうことなんだと思う。いつから大人になったかなんて、もう覚えていないけど、気が付いたら、大人になってからずいぶん経ってしまった。
どれも全部私なんだけど、どれが本当の私なのか、よく分からないような日々を過ごしている。そんなこと、普段は全然気にならないけど、時々、モヤモヤした違和感を感じることがある。自分の選んできた道を、後悔してるわけじゃない。ただ、少し寂しいだけ。

この曲には、心の中の見ないようにしている部分、心の中にある欠けた月の黒いところを見透かされたような気がした。
 

“どんな時でも笑えるし
 やるべき事もこなすけど
 未だに心の本当は
 ジャングルジムの中にいる”

「ジャングルジム」
 

どんなに嫌なことがあったって、そう簡単に泣かなくなった。大丈夫なフリも、いい人のフリも身に付いた。無理だと思う仕事もどうにかするし、やるべきことでいっぱいの毎日だけど、なんとかこなしている。

大人になったからという理由で、なくなったことにしていた心の本当。本当はまだまだ弱くて臆病で、自分勝手でワガママな私。欠けた月の黒いところのように、見ようとしなければ、見えなかった。だけど、大人になっても、なくなってはいなかった。
 

“ここから出たらいつも通り
 ありふれた一歩目を歩く”

「ジャングルジム」
 

ジャングルジムは、心の本当と向き合う場所。自分の中の「欠けた月の黒いところ」が見える場所。

見ないようにしていた本当の自分、なくなったことにしていた心の本当、弱いところも臆病なところもワガママなところも全部含めて、いろんな私が存在していることを肯定してもらえた気がした。存在を認めることで、大人のフリをした私が、再びありふれた一歩目を歩くことができるのかもしれない。

時々「ジャングルジム」を聴きながら、自分の中の心の本当と向き合えたらいいな。きっと、欠けた月の黒いところと、優しい歌声が、そっと見守ってくれると思うから。

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