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「心を殺した教室の窓に」

BUMP OF CHICKENはあの日どこに向かって歌っていたのか

あの日彼らはどこに向かって歌っていたのか。

何度も応募して、
何度も曲を聴き直して、
そして、なぜ私は、
三時間かけて東京へ行き、
わざわざあの空間の中に飛び込んだのか。

心から楽しみにしていたのは確かだ。

行けることが決まった日から、
ずっとカウントダウンしながらその日を待って、
大いなる期待感を背負い、
ライブを目前にしていた。

初めてのBUMPのライブ。
初めての東京ドーム。

グッズ列に並んでいるときに聴こえた、
東京ドーム内からの音漏れは、
田舎から来た中学生の心臓の高鳴りを、
どんどん加速させていた。

終わったあとも、高鳴りは止まなかった。

とても素晴らしいライブだった。

強く繊細な星のような音の欠片たち、
強く儚く揺らめいていた5万個のPIXMOBの光。

本人たちが言っていたように、
まさに魔法のような夜だった。

そんな魔法のような夜を、すぐに忘れるわけがない。
光は輝き続け、また、
その輝きは私の日々を照らしてくれた。

全てが輝いて見えた。

そりゃそうだろう。

彼らからあれだけ熱くて強い想いを貰えたら、
なんだってできるんじゃないか。
そう思えた。

楽しく生きられていた。
幸せだった。

でも

そんな日々が続くわけではなかった。

ある日、

たった一度の出来事で、
私の心はボロボロになってしまった。

辛い。苦しい。

そんな気持ちが心を占拠し、
教室にいるのが苦しくなって、
トイレに抜け出してひとりで泣いた。

家に帰っても、
苦しいことを誰にも言えなかった。

皆が寝静まったあとに、
暗闇の中で、またひとりで静かに泣いた。

何も見えなくなっていた。

明日を迎えるのが怖くて、
目を閉じることがどうしても出来ない。

どうして泣いちゃうんだろう。
どうして苦しくなっちゃうんだろう。
そして、
どうしてこんなにも弱くなっちゃったんだろう。

自分自身が弱くなったことが一番悲しかった。

そんなときに、
ふと思い出した。

すっと頭の中に、
映像が映し出された。

あの魔法のような夜の日、
遠いステージの真ん中で、
マイクに向かって話す、
藤原基央の姿。そして、声。

「俺たちの唄はずっとお前の側にいる」

あの日藤原基央が言った言葉が、
急に脳内で渦巻いた。

側にいる?こんなに弱い自分にも?
もしかしたら今も側にいるのかな?

気づいたらイヤホンを耳に入れていた。

誰かに助けを求めるようにして、
あの魔法のような夜に、
一番泣いた曲を、
無意識のうちに再生していた。

「流れ星の正体」

ギターの音と、
藤原基央の声が聴こえてくる。

あの日、この曲が鳴らされていたとき、
どんな映像が映し出されていたとか、
PIXMOBが何色だったかとか、
そんなことはあまりよく覚えていない。

だけど、
確かにあの日、目の前で、
今耳に聴こえてくる音と言葉が、
鳴らされていたことを鮮明に思い出した。

『時間と距離を飛び越えて
 君のその手からここまで来た』

あの日からだって、
楽しい日も苦しい日も、
生きることを選んだのは、
紛れもない自分自身だ。

また、
教室で助けを求めるように書いた、
教科書の隅の書き込みを思い出す。

『紙に書かれた文字の言葉は
 音を立てないで響く声
 そうやって呼んでくれただろう
 見上げればちゃんと聴こえたよ』

冷静に考えれば100%届いてないのだが、
あのとき紙に書いた言葉は、
彼らに届いたのかな。
そう思うと、
涙が溢れた。

そしてまた思い出した。
確かあのとき藤原基央は、、、

『僕の上にも届いたように
 君の明日まで届いてほしい』

そう歌っていた。

本当は
『君の空まで届いてほしい』
という歌詞を、
まるで未来に届けるように、
強く歌っていた。

そのあとの歌詞も、
私の心に次々に涙を落としていく。

『君が未来に溢す涙が
 地球に吸い込まれて消える前に
 ひとりにせずに掬えるように
 旅立った唄 間に合うように』

あの日東京ドームで流した大粒の涙は、
今の自分に向けられていたのか。

全てが自分自身の気持ちとリンクして、
涙がボロボロの心を濡らしていく。

彼らはあの日未来に向かって鳴らしていたのか。

そんな気持ちを抱きながらも、
曲は終盤へ向かっていく。

そして、
私はあるワンフレーズに、
心をギュッと掴まれたような気がした。

『心を殺した教室の窓に』

今、涙で濡れているこの心は、
ボロボロになったとき教室にいた。
ひとりでどうしようもできなくなって、
息も出来なくなった教室。

そこに、彼らは、

『全ての力で輝け 流れ星』

流れ星を届けようとしている。

ああ、あのときだって、側にいたのか。

そう思った途端、
心の底から何かが込み上げてきた。

声を出して泣いた。

心を殺した教室にだって、
彼らはいてくれていた。

ずっと側にいた。
そして、
声を出して泣いている今も、
どうしようもないくらい弱い自分のすぐ側に、
ずっとくっついて離れようとしない。

安心した。

ひとりじゃないんだな。
そう思えた。

彼らはきっと、
もちろんあのとき目の前にいた一人ひとりに向けて、
鳴らしていただろうけど、
それだけではなく、
もしかしたら未来にいるかもしれない、

息も出来なくて、
目を閉じることも出来ないような、
暗闇の中の「君」に向けて、

流れ星よ、輝け。

そう思いながら鳴らしていたのではないか。

ありがとう。

側にいてくれてありがとう。

そう思いながら、
私は眠ることができた。

BUMP OF CHICKEN。
なんとも素敵なバンドではないか。

あの日彼らは、
未来のどこかにいるかもしれない、
暗闇で泣いている君に向かって、
輝きを放ちながら歌っていた。

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