350 件掲載中 月間賞発表 毎月10日

2017年7月18日

みらくる (33歳)

”奇跡の夜”の幕開け

2017年7月11日X JAPAN ツアー初日

本当に開催されるのか。
幕が開くまで正直半信半疑だった。
YOSHIKIの術後約1ヵ月半後のため、普段とは違って全編アコースティック編成となった今回の公演。
YOSHIKIの身体が万全ではないこと、ピアノを弾くことでさえも痛みが走ることをSNSなどの情報で目にしていた。
公演が楽しみという純粋な気持ちと、休んで身体を大事にしてほしいという思いが交わり、少し複雑な感情が私を取り巻いていた。

予定よりも約70分遅れて開場。
私が会場へ足を踏み入れた頃には、ステージ上のスクリーンに映し出された映画「We Are X」が終盤に差し掛かろうとしていた。
60分に編集された今作。きっと映画館へ足を運び、既に見ているファンは多数だと予想されるが、ファンはスクリーンをじっと見つめ、映画の音声が響く場内の様子が印象的だった。

映画のエンディングと共にスクリーンがゆっくりと上がり、ステージ上には約20名のストリングスとピアノの前に座るYOSHIKIの姿。
そして奏でられる「Forever Love」。なんて美しいんだろう。美しいという以外に言葉が見つからない旋律に、思わず息を呑んだ。
そして静かにTOSHIの歌声があわさると、唯一無二で上質な音楽に圧倒された。

4曲目を終えたところで、HEATHのベースソロ、PATAのギターソロと続く。それぞれ時間は短いながらも、ステージ上をゆっくりと動き、X JAPANの曲のメロディをワンフレーズ弾いてみせる姿にファンからは歓喜の声もあがった。
そしてTOSHIの「立ってもいいんだぜー!」という煽りに会場が総立ちとなったHIDE作曲の「DRAIN」。そこには間違いなくHIDEがステージ上にいたような気がしたのは、私だけではないだろう。

「DRAIN」の興奮冷めやらぬ中、ステージに姿を現したのはSUGIZOだった。
SUGIZOのヴァイオリンは繊細で美しく、どこか儚いような音色に聞こえる。その音から奏でられた「ピンクスパイダー」のメロディーは、SUGIZOからhideへの変わらぬ愛のように感じた。

ライブも中盤に差し掛かった中、ステージには椅子に座ったPATA、HEATH、TOSHI、SUGIZOの4人。ここで予想しなかったギターの音が響いた。「Silent Jealousy」だ。いつもならば切ないピアノから、激しく狂気に満ちた展開へと進んでいく曲が見事なまでにアコースティックバージョンにアレンジされていた。切なさを残し、どこか哀愁さえも漂うそのアレンジに、私はすっかり放心状態になってしまった。この時点でもう大満足と言っても過言ではないライブに、この後の展開に期待も高まっていく。

その後は誰もがきっとHIDEを思いながら曲に浸った「Without You」や、ライブではおなじみの「紅」、明日誕生日であるTAIJIが作曲した「Voiceless Screaming」をライブ初披露するなど、新旧織り交ぜたセットリストでファンを魅了し続けた。

MCで、YOSHIKIはいつも以上にファンへ問いかけ、ファンの声を聞き取ろうとしていたことが印象的だった。ファンがX JAPANを愛しているように、メンバーもファンを愛していることを実感した。そう、昔からの関係性「運命共同体」。まさにそう感じた。
ライブの構成が予定と変わってしまったことを、もしかしたらメンバーは不安や負い目を感じていたのかもしれない。その気持ちがYOSHIKIのMCや、今回のセットリストに表れていたように思った。
ライブの定番とも言えるXジャンプはなかった。ドラムの音は聞こえなかった。それでもX JAPANの魅力を最大限に感じることができたライブだったと思う。なぜなら、X JAPANの魅力は激しいだけではないから。

アンコール最後に演奏されたのは「ENDLESS RAIN」
誰もがきっと抱えながら生きていく傷。
決してわかちあうことはできないかもしれない。
けれど寄り添うことはできるかもしれない。そう、X JAPANの音楽が。
X JAPANが放つ音が傍にある限り、一人ではない。何度でも立ち上がり、自分を奮い立たせて生きていける。
そんなことを改めて実感した”奇跡の夜”だった。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
音楽について書きたい、読みたい