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ポルノグラフィティ、まだ闘ってっかな?

東京ドーム2daysのライブ音源を聞いて

『狂喜する声が満ち溢れていた 立ち向かうように髪を振り乱し「その拳突き上げろ」と唄う』

音楽文の書き出しにふさわしいレポートのようなこの一節。実はこれは、ポルノグラフィティの楽曲“プッシュプレイ”の歌い出しである。作詞したギターの晴一は、続けてこのようなフレーズを綴った。

『あのロッカー まだ闘ってっかな?』
 

9月7日と8日、ポルノグラフィティは東京ドームでデビュー20周年記念ライブを行った。“神vs神”という少し変わった名前のそのライブは、2daysそれぞれセットリストを変え、どちらも「神セトリだったね」と言ってもらえるようなライブにするというもの。自分は2日目に参加して、20周年を締めくくるにふさわしい圧巻のライブだったと感じた。

時は流れ12月20日、ポルノは我々に、少し早めのクリスマスプレゼントを届けてくれた。東京ドーム2daysの、ライブ音源の解禁である。それは大学まで1時間ポルノの曲を聴きながら歩いて登校する自分にとって、値千金のものであった。早速音楽プレーヤーにダウンロードして、始まりのボタンを押した。1曲目は、“プッシュプレイ”である。

凄まじかった。まさに、狂喜する声が満ち溢れていた。思わず登校中の道端にも関わらず、手拍子をしながら歩いた。ポルノの2人が、耳元で歌ってくれている。さらに音源は、当日興奮しすぎて気づくことができなかった、様々な情報を聴覚で教えてくれた。ボーカルの昭仁はキーを2つ上げて歌っていたのか。ギターの晴一はこんなにもチョーキングを効かせていたのか。2人で同じリフを弾いていたのか。そして、こんなにも歓声が大きいものかと感じた。

中でも一番心に残ったことがある。こんなに鮮明な、東京ドームライブの音はあるのだろうか。重厚な音を残しつつも、サウンドがとにかく聞きやすいので、初めてライブに行くので歌詞を知らないという人でも間違いなくノリノリになれるだろう。この“キャッチーさ”こそが、20周年を迎えたポルノグラフィティの最大の武器ではないかと自分は音源を聞いて感じた。
 

話は少しそれるが、ポルノグラフィティのファンの間でよく「何の曲で好きになったか?」というトークになる。そこで、“サウダージ”や“アゲハ蝶”のようなラテンな曲に衝撃を受けたという声だったり、“アポロ”や“メリッサ”といったロックな曲がかっこよかったという声をよく耳にする。しかしそれらの曲がリリースされた当時、自分はまだ小学校にも行っていない。では何の曲で自分はポルノを聞き始めたのか。少々マニアックな曲だが、31枚目シングルのポップナンバー、“君は100%”である。

テレビ番組にポルノが出ているのを見て、当時惚れ惚れした。こんなにキャッチーで、ノリノリになれる曲があるだろうか。当時はポップさだとかコードがどうだとかわからなかった自分に、凄まじいインパクトを残した。そこからポルノは様々なジャンルの曲に挑戦し、常に“メジャー志向”を忘れず活動していった。
 

さて話を戻して東京ドームライブ。音源を聞いているうちに、当時興奮していて覚えていなかった様々な出来事を思い出していた。詳しい内容はネタバレになり音楽文の規定に引っかかるので載せられないが、当日は様々な面白ハプニングに見舞われた。こんなに熱くも面白い、ロックバンドはほかにいるだろうか。何よりもそれらを見守っている、観客たちの顔が思い出される。みんな声を大にして笑っていた。

これこそが、今のポルノグラフィティの持つ最大の武器ではないか。大学を登校する自分を見守ってくれるような、お兄ちゃんのような存在。そもそもロックスターの名前を“昭仁”“晴一”と、メディアなどで下の名前で呼んでいるのだ。いつもポルノがそばにいてくれるような感覚に、我々は魅了されている。もちろん近寄りがたいような、孤高の存在にいるようなロックバンドが好きという気持ちを持つ人の気持ちもわかる。自分のようにポップな曲で新規のファンになった人がいると同時に、変わっていく2人を見て「もうポルノいいかな…」と思ってしばらくポルノを聞いていない人もいるだろう。

しかしそんな人たちに、今のポルノのライブ音源をぜひ聞いてほしい。アレンジされた昔のヒット曲たちはもちろん、“THE DAY”“Zombies are standing out”といった、新たなるポルノの代表曲を。ハキハキしていて聞きやすい昭仁の声と、いい雑味が残りつつもしつこくなくキャッチーな晴一のギタープレイを。20周年ライブのタイトルを“神vs神”という名前を付けるこのポップさこそ、2人が示す音楽の神に対する姿勢だと自分は断言したい。たくさんの人に自分たちの曲を聴いてもらいたいとメディアやフェスにひたすら出続けた、ポルノが20年間でたどり着いた“あのロッカー”の姿なのである。
 

2人は今もなお、闘い続けている。さあ始まりのボタンを押してくれ。

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