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クリぼっちにも手の届くクリスマスソングを

岡崎体育『Merry Merry Christmas Night』を聴いて

私ははっきり言って、クリスマスソングなんか嫌いだ。

「嫌い」と言い切ってしまうのはちょっと違うかもしれないが、自ら進んで聴こうなんて気には絶対にならない。だって恋人なんかいないから。クリスマスソングはいつだって私たちクリぼっちの敵なのだ。

クリスマスソングというやつはだいたい「クリスマスに欲しいのはあなただけ」みたいなことを歌ったり、ロマンチックな愛の言葉を囁いたりする。昔の切ない恋の思い出を歌うこともある。時には恋人がサンタクロースだったりもする。いずれにせよ、ろくに恋の思い出も持ち合わせていない私には関係のない話ばかりだ。歌詞に小洒落た言葉が並んでいるのが腹立たしく思える時もある。クリスマスソングは、クリぼっちが自らわざわざ聴くようなジャンルでは決してない。
 

そんな中、今年はあの岡崎体育がなんとクリスマスソングを配信した。曲名は『Merry Merry Christmas Night』。

はっきり言って岡崎体育は、クリスマスにウェイウェイ言って騒ぐようなタイプではない。ロマンチックに愛を歌って黄色い歓声を浴びるようなシンガーソングライターではない。どちらかと言えば、「クリスマスなんて知らねえよリア充爆発しろ!」といったタイプのシンガーである。実際、『鴨川等間隔』という曲の中で彼は「恋人たちを鴨川に蹴落としてやりたい」といった趣旨の内容を歌っていたりもする。
そんな岡崎体育がまさかクリスマスソングを書くなんて。さては恋人でもできたのか?もう私たちの味方ではないのか?事務所に入って変わっちまったのか?
そんな不安を抱きながら、私はその『Merry Merry Christmas Night』を聴いてみることにした。
 
 

実際に曲を聴いてみると、私の不安は全くの見当違いであった。
そこにはロマンチックだけれどもどこか田舎くさい、岡崎体育なりのクリスマスソングがあったのだ。

《街は大人も子供も笑顔がはじけて 眩しいホーリーナイト 僕は誰かに誘われることもないまま バス停へ向かう》
メロディはいかにもクリスマスだけれども、歌詞はやっぱり岡崎体育。彼はいつだって私たちの味方だ。クリスマスにウェイウェイ言ってるやつらに媚びたような歌詞を書いたりはしなかった。
この、クリスマスにどこか憧れを抱きながらも孤独を噛みしめている感じ。自分から誰かを誘う気にはならないけど、心のどこかで誰かに誘われないかと期待して歩いているこの感じ。きっとクリスマスを恋人と楽しく過ごしている人々にはわかってもらえないであろうこの感覚を表現できるのは、やはり岡崎体育だからこそである。

《今夜何も持たずに飛び出して君に伝えたい でもやっぱ伝えらんないかも いざとなったら言葉詰まるかも 何かしら持ってきといた方がよかったかも》
この曲はラブソングなんだけれども、何一つとして気取っていない。良い意味で、全く聖なる夜感がない。妬むのすら馬鹿馬鹿しく思えるような、クリぼっちたちの手にも届くラブソングなのである。「もし自分に恋人がいたらこんな感じだろうな」「恋人ができても気取らずにこうありたいな」と思えるようなラブソングなのだ。

歌詞の随所に現れる精一杯気取ったロマンチックな言葉も、彼が歌えばなぜだか親近感が溢れ出す。この曲で思い浮かべるのは100万ドルの夜景なんかじゃなくて、ちょっとした田舎の商店街のイルミネーションだ。

《ちょっと背伸びして高級なディナーへ君と出かけたい でもやっぱちょっと払えないかも いざとなったら割り勘になるかも もしくは3対7で君が7かも》
もうこんな歌詞、クリスマスのロマンチックな雰囲気台無しである。聖なる日に金の話をするな。しかも3対7で恋人に払わすな。クリスマスソングのラスサビでそんなこと歌うな。ツッコミどころは大いにある。だけどそれでこそ岡崎体育だ。

ひょっとしたら、世の中の陽キャと呼ばれるような類の人たちにはこんな曲受け入れてもらえないかもしれない。「なんだこのネタ曲、全然ロマンチックじゃないじゃん」くらいに鼻で笑われるかもしれない。
だけど、それがなんだ。
いいんだ、別に彼らにわかってもらえなくたって。
これが私たちクリぼっちのクリスマスソングだ。

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