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消えない痛みと傷 その事実を知ったからこそ優しくなれる

BUMP OF CHICKENが刻み続けてきた痛みと傷

12月。
繁忙期ということもあって、仕事の負担が大きい。
肉体労働という職業柄、身体的な痛みや傷を伴うことは多い。
さらに最近だと、トラウマになるような、恐怖を抱くほどの怒られ方をして深い心の傷を負った。
 

泣きながら車を運転する帰り道、いつも通り車内で何気なく聞いていたBUMP OF CHICKENの曲の歌詞に、特に耳に残る単語があった。
それが「痛み」と「傷」だったのだ。
 

もう痛まないけど 治らない傷(アリア)

どうしても見る 見たくない傷(パレード)
 

肌の表面に見える傷、あるいは触れてみると感じる傷。
見えないけれど確かに心の奥底に突き刺さっている傷。
 

大丈夫だ あの痛みは 忘れたって消えやしない(ray)

優しい言葉の雨に濡れて 傷は洗ったって傷のまま
感じる事を諦めるのが これほど難しい事だとは(HAPPY)
 

傷は、ずっと消えずに残るもの。
特に、心に負った傷は、「気にし過ぎて落ち込むな」「いつまでも引きずらず切り替えろ」などと言われても、やっぱり気になってしまう。
怒られたこと。あの時の恐怖を思い出して、震えてしまう。

傷は、ずっと消えずに残るもの。
消そうとしても消えない、感じないようにしても感じてしまうものなのだ。

それがどうした、と言われるかもしれない。
ただの事実だが、その事実を歌ってくれるだけで、救われる人がいるのだ。
 

BUMP OF CHICKENの曲に出てくる「痛み」と「傷」を通して、私は、人との接し方を考えさせられた。
 

傷付けた方は忘れても、傷付けられた方はよく覚えているものだ。
同じ苦しみを味わえ、なんて絶対にしたくない。

もちろん、組織の規律維持のため、同じ失敗を繰り返さないため、ある程度の厳しさは必要なのだろう。
しかし後輩などに注意することがあっても、言い方には気を遣う、身体的な怪我(事故)を回避する方法を丁寧に伝え、その危険に極力さらされないやり方を考えよう、と思った。
なぜなら、痛みや傷は消えることなく、恐怖として記憶に残るものだから。
 

…こうやって優しくしたいと思う私は、空回りしているかもしれない。
下手したら自分のため、自分が優しくされたいだけなのかもしれないが。
 

あいつの痛みはあいつのもの 分けて貰う手段が解らない
だけど 力になりたがるこいつの痛みも こいつのもの(真っ赤な空を見ただろうか)

痛みはやっぱり強いから 何よりも大きく育って
地球の影まで広がって 僕の胸まで痛かった(流星群)

傷付ける代わりに 同じだけ傷付こう
分かち合えるもんじゃないのなら 二倍あればいい(メーデー)
 

他人の痛みは、わかろうとしても本当のところはわからないのだろう。
他人の傷は、分けてもらうことはできないし、癒してその人を楽にさせられるものでもないのだろう。
しかし、他人の痛みや傷を想像できる人、気持ちに寄り添って共感できる人ではありたい。
 

先日まで行われていたaurora arkツアー、そのナゴヤドーム公演のラストMCで、ボーカルの藤原基央さんは以下のような内容のことを言っていた。

“君はこれからすごく辛い時、太陽が昇ってもその下に出られないやという時が、来るかもしれない。そんな時、自分がそばにいることは、物理的にできない。でも、曲はそばにいる。君の力になるのか、それで君の問題が何か解決するのかはわからないけど、曲はそばにいる。その時の君が気付かなくても、曲はそばにいます。”
 

曲が助けてくれる、とか
痛みや傷を癒してくれる
わけではない。

そのような都合の良い話はしない。
彼が言うように、「曲はそばにいる」だけなのだろう。
しかし、それで十分なのだ。
 

そうして知った痛みを 未だに僕は覚えている(天体観測)

そうして知った痛みが 未だに僕を支えている(天体観測)
 

この世にごまんとある曲たちの中で、気付かず通り過ぎてしまう人もいる一方で、私は彼らの曲を見つけることができた。
そばにいてくれる曲に気付くことができた。

痛みや傷は、消えずに残るものだという事実を知った。
そして、その痛みや傷を解ろうとしてくれる人、寄り添ってくれる人がいることに救われたのだ。
 

いつだったっけなぁ 傷を濡らした あの日も
滲んだ景色の中で 滲まずに 揺れてた(ハルジオン)

新しい傷跡に 手を当てるそのたびに
鮮やかに蘇る 懐かしい温もりを(月虹)
 

自分が傷を負った時に、温かく接してくれた人がいる。

声をかけてくれる。
話を聴いてくれる。
そばにいてくれる。
 

恐怖を思い出させるものは痛みと傷。
一方、優しさ・温かさを思い出させてくれるものもまた、痛みと傷。

痛みと傷による恐怖が解るから、優しくなれる。
BUMP OF CHICKENは、「痛み」と「傷」という、一聞ネガティブに思われる単語に、影と光の両方の意味を込めて、曲を世に送り出している。
「痛み」と「傷」を曲に刻み続けることで、優しさ・温かさのお裾分けをしてくれているのではないだろうか。

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