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一期一会のライブを思い切り楽しみたい

福山雅治 「福山☆冬の大感謝祭 其の十九 ALL SINGLE LIVE」 12月30日公演

私は福山雅治という人間が好きだ。

甘いマスク、声など容姿の面ももちろん魅力的だ。しかしそれだけでなく、心臓の底まで響く低い歌声や、エレクトリック、アコースティックギター、さらにはクラシックギターまで弾きこなす技術にはとても憧れる。また、ライブでは一日一日で異なる特別扱いを実施したり、演出で使用される銀テープの「お譲りボックス」を設置したりと、細かな気配りができるところも彼を好きになる所以だと考える。

しかし、その溢れる愛が多すぎてついつい私は「欲しがって」しまう。

例えば、スタジオ・アルバムをそろそろ完成させてほしい!、ライブ映像を発売してほしい!などの要望から、昔のシングルで、A面はひとつなのに両A面になっているなど表記が発売時から変わっているから直してほしい!、ある配信シングルでジャケットがタイアップ先の画像を流用してるのでオリジナルのジャケットをダウンロードできるようにしてほしい!などの細かすぎる要望まで、本来ならアーティスト側が決めることにまで口出しをしてしまう。申し訳ないと思っていても、好きすぎて欲しがってしまうのだ。

私は細かいところが気になってしまう悪い癖があるので、こうした細かすぎる要望のうち両A面問題が特に頭にこびりついてしまって(ALL SINGLE LIVEと銘打ったライブだけあって)ライブが始まるときまでそんなことを考えていた。

ただ、よく我にかえってみると、ライブというのは「一期一会」だということを思い出した。先述の「日毎の特別扱い」もそうだし、日替わりのセットリストもある。また演奏も毎回同じということはありえない。ライブにはその日だけの空間で、その日だけの音楽が奏でられるのだ。それを考えると細かいことを考えている余裕はないことに気づいた。そして、細かいこだわりとか、日々の嫌なこと、鬱憤を忘れて、思い切り腹の底から楽しもうと誓った。

最初に印象に残ったのが高校球児たちの熱き闘いを歌った「甲子園」。
《「あと一歩が届かなかった」/わずか一歩のその差は果てしない道だと/わかっているけど/それでも僕は行くのだろう/近くて遠いその「あと一歩」を目指して/何度も 何度だって》
この歌詞が歌われたとき、いきなりだが涙が出そうになった。高校球児だけではなく、闘う者なら誰しも共感するこの歌詞に心打たれた。もちろん会場の雰囲気に圧倒されたのもあるが、自分にも当てはまることに気づいたのだ。そういうこともあり、特別な1曲目となった。

ALL SINGLE LIVEと題されたライブなので、30年の音楽活動の中でリリースされたシングル全てが対象となった。「All My Loving」、「MELODY」などといった90年代にリリースされたポップでキャッチーなナンバーでは、キーボーディスト・井上鑑氏のアレンジが光り、福山雅治の魅力を限界まで引き出していた。私は彼がこのパフォーマンスをしている最中、すっかり虜になっていた。もう彼の思惑通りになっていることに気づいた。

変わって、福山雅治にはこんな一面もある。彼は、今年リリースされた「井上陽水トリビュート」に収録されている「リバーサイド ホテル」に参加しており、今回のライブでも歌われたのだが、明るかった会場は一転、照明も相まって妖艶な雰囲気が会場を包み、まるで今までとはいる世界が違うのではないかとすら思った。彼自身が演奏するガットギターも曲の世界観を彩る良いエッセンスとなっていた。

次に演奏されたのは「幸福の硬貨」。ご存じの通り、福山雅治は俳優としても活躍している。今年11月に公開された映画「マチネの終わりに」では、クラシックギタリスト・蒔野聡史を演じたのだが、この映画のためにクラシックギターを習得したといわれる。この映画の劇中で使われたクラシックギターの曲が、菅野祐悟氏作曲の「幸福の硬貨」である。もちろん、今回のライブでも彼一人で演奏した。彼の指が弾くその一音一音がどこか切なくて、それでいて心が温かくなった。

ライブで完全燃焼するには、声をあげないといけないだろう。とはいえ、私は積極的ではないため、いつも声を出すのを躊躇っていた。そんな私にチャンスが来た。彼がブレイクする前にリリースされたロックナンバー、「WOH WOW」が演奏されたのだ。サビで《Woh Wow》と叫び盛り上がる曲だ。ここで私のリミッターが外れ、今まで躊躇っていたのにも関わらず、この曲では大きな声で叫ぶことができた。せっかくライブに来たのだから声を出さないと帰れないという思いが勝ったのだろう。声を出したら心のわだかまりさえも消えるようだった。
《つまらないプライド 守ることより/自分であることに 誇りを持てばいい》
と歌詞にある。それはまるで私を励ましているようにも聞こえた。

最後に印象に残ったのが弾き語りで歌われる「Good night」だ。福山雅治のライブには、ダブルアンコールという時間が存在する。今年2月にリリースされた「DOUBLE ENCORE」という弾き語りライブアルバムの曲目が示す通り、日替わりで曲が変わるのだ。今回のダブルアンコール(彼曰く、甘いデザート)が「Good night」だった。甘酸っぱいラブソングかつバラードであるので、弾き語りという演奏方法がぴったりハマっていた。感動すると同時に、もう終わってしまうというという寂しさもあった。

ライブが終わる前に、溢れ出る想いを伝えようと思い切り「ましゃー!」と叫んだ。普段、私のツイートなどでは「福山さん」と書いているのに。ライブで名前を、まして愛称で叫ぶなんてことは今までなかったのに。それだけ今まで想いを心に秘めていたのだと知った。まるで告白のような気分だった。

——
私の福山さんへの熱い想いは届いたでしょうか。
できれば、私の福山さんへの細かすぎる要望(前述)も
届いてほしいです。
——

もう言い残すことはないでしょう。なぜなら、「一期一会」のライブを心ゆくまで楽しめたから。

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