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普遍性、ここに極まれり。

「僕は君になりたい(UNISON SQUARE GARDEN)」というキラーフレーズ

この音楽文では、UNISON SQUARE GARDENの5thシングル「オリオンをなぞる」の2曲目、いわゆるカップリングとして収録されている「僕は君になりたい」という楽曲について述べようと思う。

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数年前、私は住野よるさんが書いた「君の膵臓をたべたい」という本を読み、その時に間違いなく「僕は君になりたい」という曲はこの物語に対して書かれた曲だと感じた。

なぜかというと、1番の理由はこの曲のサビで

「僕は君になりたいのに 君は僕になりたいのにさ」

と歌われていて、このお互いを羨む関係性が結局最後まで「好き」と言い合わずに終わりをむかえる主人公とヒロインの関係性を描写していると感じたからだ。

他にも

「同じ景色なはずなのに 僕らには違って見えるのかな」

「みんな違うから 普通じゃないは 普通だよ」

など「君の膵臓をたべたい」をそのまま歌詞にしたようなフレーズがいたるところに散りばめられていて当時の私は勘違いしてしまった。
 

勘違いに気付いた理由は至ってシンプルで、「僕は君になりたい」は「君の膵臓をたべたい」より前にリリースされていたからだ。

さらにこの楽曲について調べていくと、「僕は君になりたい」は「放浪息子」という作品に影響を受けて作られたことが判明した。

ではなぜこんな勘違いをしてしまったのか。

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それは、「僕は君になりたい」というフレーズがあまりにも普遍的な核心をつくフレーズだったからだと思う。

とても雑に言うと「愛してる」というフレーズに感情としては似通っていると思うが、そこをそのまま歌詞にするのではなく君への憧れとして歌詞を紡いだことで「愛してる」と言うよりももっと様々な関係性に重ね合わせられるようになったのだと思う。

家族や友達、ライバルや恋人、どのような関係であれお互い尊敬の意を持っている間柄であればこの羨みの感情を抱きうるのではないだろうか。
だから、私も「君の膵臓をたべたい」の2人に重ね合わせてしまったのではないかと感じた。

そんなあらゆる間柄を示してしまうフレーズを小学生でもわかる言葉で紡いでいるのがまた素晴らしい。

さらに、「僕は君になりたい」のあとに「君は僕になりたい」という歌詞がくることによってお互いの関係性やないものねだりしがちな人間の性を描写しているのもさすがの一言。

自分が憧れているあの人も自分にないものが欲しくて苦しんだり悩んだりしていることに気づくだけで心が軽くなる。
極めつけには、
「みんな違うから 普通じゃないは 普通だよ」
というフレーズで全てを肯定してくれる。

だから、聴いたあとにそっと近くに寄り添ってくれるような安心感をもたらしてくれるのであろう。

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UNISON SQUARE GARDENの多くの楽曲を作詞作曲している田淵智也さんは、難しい言葉や造語で独特な世界観を生み出すのがとても巧みなのだが、この楽曲のように単純な言葉で紡ぐ歌詞も素晴らしい。

前者に比べると後者は地味に思えてしまうかもしれないが、単純な言葉で書いた普遍性の高い歌詞は、後世に残り続ける立派な発明ではないだろうか。

この文章を読んでどんな楽曲か気になった方はぜひこの楽曲はもちろんUNISON SQUARE GARDENの他の楽曲も聴いていただけると、筆者としては幸いである。

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