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UNISON SQUARE GARDENの15周年を終えて

アニバーサリーイヤーに花を添えたカップリングたち

2019年12月31日、the pillows主催のCOUNTDOWN BUMP SHOW!!2019→2020。ゲスト出演だったUNISON SQUARE GARDENが1曲目に演奏したのは、セク×カラ×シソンズール。シングル、桜のあとのカップリング曲だ。披露された7曲中、半分以上がカップリング曲。the pillowsのオマージュ曲、RUNNERS HIGH REPRISEを除いても半分である。呼ばれたイベントで、シングル曲がたった2曲。それでも圧巻のライブだった。そしてそれがアニバーサリーイヤーラストのユニゾンのライブだった。

2019年、わたしの大好きなバンド、UNISON SQUARE GARDENが15周年を迎えた。2019年1月1日、年が明けると共にこのアニバーサリーイヤーの情報が解禁され、目を疑うようなアーティスト写真が公開された。今までとは全く異なった”特別な年”の幕開けだった。

15周年は声を大にしてお祝いをしてくれ、と言う年にすると前々からメンバーが(とりわけ田淵さんが)言っていた。油断をしている、と。

そのアニバーサリーイヤーの目玉は2019年7月27日、大阪の舞洲スポーツアイランドにて行われた野外ワンマンのアニバーサリーライブ、プログラム15thであり、メンバーがことも珍しく「今回だけは遠くからもきてくれ!」「待ってるぞ」などと言っていた。ユニゾンがそんなことを言うなんて本当に特別なことに違いない、全国各地からおよそ25,000人のファンがお祝いにつめかけ、それはそれは感動的なライブになった。

その他にも、自主企画イベントのfun time HOLIDAY7(対バン形式)であったり、トリビュートアルバムをリリースし、その参加アーティストが全組参加した2日間のThank you, ROCK BANDS! Tribute Liveであったり。またこのタイミングで海外(台北/ソウル)での初ワンマンライブも果たした。

そんなUNISON SQUARE GARDENがこの記念すべきお祝いの年の全国ツアーとして発表したのが、Tour Bee side Sea side ~B-side Collection Album~だった。

そもそも、UNISON SQUARE GARDENが15周年の記念アルバムとして選んだのがカップリングベスト。普通ならベスト盤といえばシングルベストを出すであろう。ユニゾンの曲にも有名なシングルがたくさんある。そしてライブで必ず盛り上がるキラーチューンも。

しかし、UNISON SQUARE GARDENが選んだのはそうではなくてカップリングのベスト盤。10周年の時でさえシングルベストは出さなかった彼らが、今回このカップリングアルバムを出すに当たって、そろそろカップリングの曲数が溜まってきたこと、そして新しくUNISON SQUARE GARDENを好きになったファンにも簡単にカップリングを聞けるようにとのことを語っていた。今後もしもシングルベストを出すことがあるとしたら、それはスタッフや周りの人のためになると思う、とも言っていた。

音楽を聞いていく上で、シングルのカップリング曲は確かに最後にありつくものであると思う。まずはシングル曲や、YouTubeで聞くことの出来る曲を聞き、アルバムを聞く。これが大体の流れではないか。シングル曲はアルバムに収録されているわけで、相当好きでない限りわざわざシングルCDにまで手を伸ばすことはないかもしれない。

UNISON SQUARE GARDENで言えば、サブスクリプションでの配信をしていない。(昨年10月よりシングル曲といくつかの代表曲のみが解禁された。) そして、カップリングはライブでやらない、と言い続けてきた。シングルを購入し、そのカップリングまで全て聞いてきたのは、田淵さんのよく言う言葉を借りると、いわゆる”物好き”だけだろう。

しかしながら、最近になってUNISON SQUARE GARDENを好きになった、カップリングも聞いてみたい。そんなファンはどうだろう?シングルをひとつひとつ買っていくのは、15周年にもなるユニゾンだとかなり大変だと思う。お金もかかる。

そんなファンにとって、このカップリングベストはとてもありがたいものだと思う。そしてUNISON SQUARE GARDENのカップリングには、B面であろうと珠玉の隠れ名曲揃いなのだから一層このバンドを好きになるに違いない。

わたしは、いわゆるこの”物好き”な側の人間であるのでシングルも全て集めている。そんなファンが多いのもUNISON SQUARE GARDENのファンの特徴であると思う。それはこのバンドが、CDを購入するファンのことをすごく考えてきてくれたからにほかならない。”CDを買ったやつがいい思いをするように”、A面にも劣らないB面曲を入れる。そして、CDの帯にも、ホームページや広告とはまた異なったキャッチコピー(言葉)を入れる。この帯の言葉は田淵さんが考えているのだという。同じ作品でも宣伝用のものと、CDの帯で変えているのも彼のこだわりであり、ファンもそれを毎回楽しみにしていて、”帯バレ”なんて言葉が生まれるほどである。(ファンの中には”まだ手にしてない人の楽しみを奪わないように”とわざわざ帯の部分を隠して撮った写真をSNSに上げるなど、ファン同士の優しい心遣いまでみられる。)

そういった”物好き”をもワクワクさせたのが今回のアルバムでの再録&再ミックスだった。いわゆる、知っている曲しか収録されていないアルバムだけれど、再録や再ミックスでどう変わっているのだろうというのが大きな楽しみのひとつになっていた。
また、同時にカップリング曲の総選挙を行う(1位のスノウリバースはMV制作がされた)など、とにかくカップリング曲に光が当てられた。

そんなカップリングベストを引っさげての全国ツアー。前半はU-sideと称し、ファンクラブ会員限定のツアー、そして後半はB-sideと称したファンクラブ以外の全ての人が応募出来る一般ツアーだった。田淵さんの信念のもと、セットリストは前後半で変えないとのことだった。

そのU-sideに先駆けて、Bee side Sea side 0という、こちらもファンクラブ限定のライブが2日間かけて新木場で行われ、このライブはのちに映像化され、あろうことかBee side Sea sideのアルバムに初回盤特典としてまるまる収録され、このライブ(映像)とリリース後のツアーで全てのカップリング曲が聞けるということだった。ここまで考えているUNISON SQUARE GARDENには脱帽した。

カップリングにはそもそも表題曲ではやっていないような表現や技法を使うようにしているらしく、その表題曲はバチバチのロックサウンドである曲が多いのでカップリングはスローテンポな曲やコミカルな曲が多い。A面ありきのB面、表題曲に一つのシングル作品として彩りを添えるカップリング曲。

そんな”脇役”で全てが構成されたセットリスト。全曲を本当にカップリングだけで完結させる、メンバーも不安で仕方ないと言っていた。それでも、自分たちが楽しいと思ったからやる、というのがこのバンドのすごいところであり、またそれが出来てしまうのがUNISON SQUARE GARDENであった。そしてそのカップリングツアーに対して、”物好きたちが報われる場であるべきだ”という田淵さんの言葉は、本当に刺さるものがあった。ユニゾンのファンへの思いがすごく伝わってきた。彼らはそう言うことを好まないかもしれないけれど。
 

わたしが一番最初にこのカップリングだけのライブを体験したのは2019年4月25日のBee side Sea side 0だった。この日のことは本当に鮮明に覚えていて、忘れられないライブになった。

ステージ前面に掲げられた月が大きく描かれた幕。これは月の裏面であり、わたしたちが普段見ている月とは反対側。まさにB面を表す月だった。
SEの絵の具が流れ、over driverのイントロが始まり、振り落とされる幕、一気に湧き上がる歓声。夢にまで見た、カップリングライブが始まった。

最初から最後まで、”いつか聞いてみたい”と思っていたカップリング曲たちだった。曲が始まる度に歓声が上がり、同じ思いで新木場に集った”物好き”たちの感激と感動が溢れていた。
メンバーの心配とは裏腹に、ライブはこの上なく盛り上がった。カップリングだけのライブとは全く思えないほどだった。

ずっと「アコースティックコーナーやりまーすみたいなのはやりたくない」と言っていた田淵さんだったが、カップリング曲には”きみはいい子”、”たらればわたがし”と2曲アコースティックの曲もあるため、初めてのアコースティックバージョンでのUNISON SQUARE GARDENもとても新鮮だった。

この2日間のライブはアンコールで、Bee side Sea sideにボーナストラックとして収録される、プログラムcontinued(15th style)が初披露された。
10周年のリリース時のものと、ところどころ歌詞が15周年仕様に書き換えられたものは、涙をこらえることができなかった。
 

7月のアニバーサリーライブ、8月のトリビュートライブを終えて迎えたU-sideツアー。あれだけセットリストは変えない、と言っていたにも関わらず、”U-sideコーナー”と、このバンドらしからぬファンが喜ぶコーナーを用意し、「(ファンクラブの)年間費5000円払って訳わかんない四コマ漫画とか見せられてる皆さんのために何かできないかと考えて(笑)」などとファンクラブ会員たちを笑わせ、「後半のツアーでやらない曲(0では披露した曲)をプレゼントします」と、ダーツやサイコロでやる曲を決めるバラエティコーナーを実施。「本当はこんなことやるバンドじゃないんだけど!」と恥ずかしそうに言いながらもやってくれるところに、彼らのファンへの優しさを身に染みて感じたと同時に、これが彼らの”油断”かとも思った。(そしてこのコーナーは毎回大盛り上がりだった。)
 

後半のB-sideツアーは、宣言通り上記の2曲が減ったこと以外セットリストの曲順は全く変わらず、2曲減った代わりにセッションやドラムソロが入り、きっちり2時間のライブが行われた。

特に、B-sideツアーはホール公演であったために、照明での演出が本当に素晴らしく、ピストルギャラクシーではピストルの銃声と共にライトが客席に向けて放たれたり、スノウループでは雪が降っているような演出がなされたり、5分後のスターダストでは壁に落ち葉のような模様が映し出されたりと、その1曲1曲を一層輝かせていた。

また、「有名な曲をやらない代わりに…次やる曲はカップリング総選挙で31曲中30位の大人気曲です!」と客席を笑わせて披露された三月物語からはステージバックに0で使用された月の幕が掲げられ、さらに今度は星のように光が散らされ、その世界観に吸い込まれた。続く三日月の夜の真ん中では、三日月形にイエローの光が当てられるという演出。まるで、本当に三日月の夜の真ん中で3人が演奏しているようだった。この曲は、唯一斎藤さんが作詞作曲をしたカップリング曲であり、今回の再ミックスで一番変化があった曲のように感じる。ライブでの演奏は初めてとなったが、斎藤さん自身もラジオで「(リリース)当時はあんまり手応えもなく聞いていなかったが、再ミックスで生まれ変わったし、改めて聞くといい曲だと思えた。」と、このツアーで印象的な1曲に上げていた。

カップリング総選挙で栄えある1位を獲得したスノウリバースは言うまでもなく客席が湧いたが、後半に置かれたラディアルナイトチェイサーや、総選挙でも1位は逃したものの人気だったI wanna believe、夜を行くも非常に盛り上がっていた。

中でもわたしがとても印象的だったのは、シグナルABCだ。イントロセッションが加わっており、斎藤さんと田淵さんが鈴木さんのドラムセットのところに行き、3人が集合して息を合わせて演奏するのが本当に素敵で、なんだか”これが15年続けてきたUNISON SQUARE GARDENか”と思わせるぐっとくる光景だった。暗い中ステージ中央のみをオレンジ色にライトアップさせ、3人だけの世界のように魅せる演出も素晴らしいものだった。

本編ラストのMicro Paradiso!では、田淵さんと斎藤さんの絡みが毎回注目され、鈴木さんが「やるならやる!」と口を挟むこともあるほどだった。
そして会場にいる全員が、本当に楽しそうに体を揺らしたり手を上げたり、ニコニコしていたりするのがとても印象的だった。

アンコールのMCでは、カップリングだけでツアーをやって全国を回るということに対して斎藤さんが「無茶of無茶」「頭がおかしくないとできない」等言っていた。それと同時に、「カップリングだけでライブができますね、UNISON SQUARE GARDENは」「カップリングでツアーなんて他のバンドにはできない」「こんなことできるバンド他に知らない」等の自信のある発言もあった。そんなことをさらりと言っているのもUNISON SQUARE GARDENらしいと思った。

有名なアニメのタイアップ曲や、ライブ定番曲は一切やらない。それでも”UNISON SQUARE GARDENのライブ”が完成されていた。これでも十分かっこいいのに、いつものライブってどんなもんだったっけ?と思わせるくらいだった。

(シングル曲やライブ定番曲という)手札が使えないと言っていたが、むしろこのツアーを通して手札が増えたんじゃないだろうか。そしてそれが年末のあのライブに表れていたのではないかとわたしは思った。

カップリングだけで全国ツアーを回る、確かにこんなことができるバンドは他にいるだろうか。わたしも知らない。しかも15周年というアニバーサリーイヤーの締めくくりに。25,000人動員した野外ワンマンライブの後に。UNISON SQUARE GARDEN以外にこんなことができるバンドはきっといない。
“脇役たちよ、高らかに!” (CD帯のキャッチコピーより)
素晴らしいツアーをありがとう。

「このツアーを経て、16年目からのUNISON SQUARE GARDENは14年目までのUNISON SQUARE GARDENよりももっとかっこよくなっていると思うので、来年またライブでお会いしましょう」
それがカップリングライブを締めくくる斎藤さんの言葉だった。MCでだらだらと喋ることはないが、その短い中にわたしたちがワクワクすることをそっと込めてくれる。
UNISON SQUARE GARDENのかっこよさは、いつだってライブを見れば全てわかる。

楽しくて、お祝いモードだったアニバーサリーイヤーは終わってしまった。それでもこれからのUNISON SQUARE GARDENを見るのが今から楽しみで仕方ない。
16年目のUNISON SQUARE GARDENは何をやってくれるだろうか。

“さあ 次はどこへ、どこへ行こう?”

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