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心を奪われる表現

BUMP OF CHICKENの歌詞について

BUMP OF CHICKENの曲は、じっくりと歌詞をたどりながら聴いていると、曲の後半になって、ハッとさせられたり、ドキッとさせられたりすることが、たびたび起こる。
「K」の最後のからくりは有名だけど、ほかにもそんな曲を集めてみたい。
 
 

“嘘が多いとか 冷たいとか
星が見えないとか 苦情の嵐”

“嘘が多いのはどこでもだろう
星が見えたって どうせ飽きるだろう”

「東京賛歌」
 

自分で勝手にここまで来たのに、うまくいかないことを周りのせいにしていた。そんな風に、いろんな言い訳をして、逃げていたことを叱られた気分になる。もう言い訳できない、逃げられないと思わされる。
 
 

“ふたりがひとつだったなら
別れの日など来ないだろう”

“ふたりがひとつだったなら
出会う日など来なかっただろう”

「真っ赤な空を見ただろうか」
 

ふたりがひとつだったら良かったのにって言っていたのに、最後には別々のふたりで良かったと言う。別々だったからこそ、君の微笑みを知ることができたし、大切に思う気持ちをもつことができた。別れを嘆いてばかりいたところに、出会えた喜びを思い出させてくれる。
 
 

“そうやって作った 頑丈な扉
この世で一番固い壁で 囲んだ部屋”

“壁だけでいい所に
わざわざ扉作ったんだよ”

「プレゼント」
 

自分だけの孤独の世界に閉じこもろうとする気持ちに、寄り添うような歌詞。でも、その世界を完全には塞いでいなかったことに気付かされる。孤独ぶっていたのに、心の奥では誰かを待ち望んでいたことを思い知らされる。
 
 

“世界の神ですら
彼を笑う権利なんて持たないのに”

“世界の神ですら
それを救う権利を欲しがるのに”

「グングニル」
 

世界の神は、笑うこともしない代わりに、救うこともできない。自分の道は、自分で切り開いていくしかないというメッセージに聴こえる。
 
 

“ゴールなんてわからないままで
いつまで どこまで”

“ゴールなんて決められないだけで
なんなら 今でも”

「流れ星の正体」
 

ゴールを自分で決めてしまえば、終わらせることはいつでもできる。そんな弱気な言葉に、不安を感じる。だけど、弱い部分を見せたことで、このあとに続く歌詞に、より強い意思を感じる。
 
 

“秒針はそこを示して止まっている”

“秒針にそこを指されて止まっている”

「望遠のマーチ」
 

秒針が止まっているのかと思っていたら、止まっているのは、言いたいことを言えないままの自分だった。逃げることもできずに、動けなくなってしまっていた。
 
 

“嵐の中も その羽根で飛んできたんだ”

“羽根は折れないぜ
もともと付いてもいないぜ”

“嵐の中も その羽根で飛んできたんだ”

「望遠のマーチ」
 

羽根で飛んできたって言っておいて、羽根なんかないって言って、その付いてない羽根でここまで来たんだろうと言ってくれる。自分の力でここまで来られたんだから、大丈夫だよ、まだまだ行けるよと言われている感じがする。

比喩表現や対比表現の美しさは、どの曲にも言えることだけれど、こんな風に前半で言っていたことをあとから覆すような表現には、毎回衝撃を受ける。そうすることで、本当に伝えたいことの輪郭が際立って伝わるのだと思う。

最後に2曲。
助詞だけで意味を変化させる表現も素敵なので、一緒に記しておきたいと思う。
 
 

“増えていく 君の知らない世界
増えていく 君を知らない世界”

「宝石になった日」
 

「の」と「を」を変えるだけで、ずいぶんニュアンスが変わる。「を」にすると、君を置いてきぼりにして世界は変わっていくよって言われてるみたいで、より一層切なくなる。
 
 

“何も言えなかった
何を言えなかった”

「アリア」
 

「も」を「を」にすると、疑問形になる。何も言えなかったと嘆いていたけど、言いたかったことは一体何だったんだろうという虚無感が、細かい説明なしで伝わる。

BUMP OF CHICKENの曲を聴いていると、言葉って、使い方次第でこんなにも美しく羽ばたくのだなあと思う。
でも、こんなにたくさん言葉の魔法をかけてくれる藤くんが、ことあるごとに、「言葉では伝えきれない」って言うから、藤くんの言葉は、音楽に乗せることで、最大限の輝きを放つのかもしれない。

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