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初めまして、King Gnu

2019年最後の出会い

好きなもの、タピオカとKing Gnu。
これを言うのが暗黙の了解なのかというほど、みんな口を揃えて言っていた。
タピオカかあ、紅茶嫌いだから飲んだことないんだよね。
King Gnu、なんて読むの?キングヌー?お店の名前?
私の認識なんてそんなものだった。

今めちゃくちゃ人気出てきてるよ、すごい良いから聴いてみて。
音楽だろうが映画だろうが本だろうが、人が良いと言うものほど見たくない・聴きたくない・読みたくないのが私だった。
このときは好きも嫌いもなく、ただ単に興味がなかったというのもある。

2019年12月28日、COUNTDOWN JAPAN 19/20初日。
私のお目当てのバンドは別日だったけれど、友達が見たいアーティストが出演していたから付き添いで参加することになった。
それ以外は特にどのアーティストを見るか決めておらず、とりあえず人気のバンドでも見ようか、となった。
フェスは普段より気持ちが高まるのか、あまり飲まないお酒を飲み、あまり食べないようなお肉を食べ、一息ついたところでEARTH STAGEへ移動した。
中に入ると、既に大勢の人が次のバンドを待っていた。
タイムテーブルには「14:30~King Gnu」と書かれていた。
なるほど、確かにこれはすごい人気だな。
ゆったり見ようと思い、下手側の後方、モニターが見えやすい位置に立っていた。

照明が暗くなり、ステージ上に井口理(Vo, Key)、常田大希(Vo, G)、新井和輝(B)、勢喜遊(Dr, Sampler)が現れ、前方に押しかけているファンの歓声が聞こえた。
暗闇の中、ステージ上に真っ赤なKing Gnuのロゴが浮かび上がり、一曲目の『飛行艇』が飛び込んでくる。
私は完全に油断していた。
誰かに叩き起こされたかのような感覚だった。
脳に音楽が入り込んできて、ビタビタに染み込んでいく。
これはなんだ。
これがKing Gnu。
これがトーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル。
私はついに、King Gnuと出会ってしまった。

歪みまくったギターの音色と、重厚感のあるドラムのキックで、この曲はスタートする。
全く綺麗ではない、色で例えるならグレーのようなこのサウンドが、たまらなくかっこよかった。
特にベースの不安を煽るような唸りが気持ち悪いくらいに気持ちいい。
イントロだけで、物凄いバンドだということを私の頭は理解していた。
そして私はここで初めてツインボーカルということを知ったのだが、井口理と常田大希の声が合わさったときのこの中毒性はいったい何なのか。
Aメロでは常田大希の低音のボーカルに、井口理の声が寄り添っている。
それがサビになると逆転し、井口理のハイトーンが一気にこの曲の世界観を広げてくる。
正反対の二人の声は、喧嘩することもなく、するすると体の奥まで入り込む。
たった一曲で、私はKing Gnuに命を揺らされてしまっていた。

<この時代に飛び乗って 今夜この街を飛び立って
 大空を飛び回って 命揺らせ 命揺らせ>

『飛行艇』というタイトルだったり、歌詞の内容から空を連想させるものが多いのに、真っ暗な海の底を漂っているような感覚があった。
まるで、錆ついて海の底に沈んでしまった飛行艇の残骸が、大空を飛び回っている飛行艇を眩しそうに見つめている、少し寂しくて悲しい感じ。
この飛行艇の残骸は、私自身だ。
目の前で、気持ちよさそうに音楽を奏でる4人を、大空を飛び回るKing Gnuという飛行艇を見つめている、私なのだ。
私もこんな風になりたい、こんな風に輝きたいと、そう強く思った。
この曲は、私にとって、祈りの歌だった。

翌日、私のスマートフォンのアーティスト欄には、King Gnuの名前が追加された。
COUNTDOWN JAPANの、あの日のセットリスト順で聴くのが楽しみのひとつだ。
タピオカは相変わらず飲めないけれど、友達には「King Gnuめっちゃ良いよ、聴いてみて」と勧めている。
興味ないとか言ってごめんなさい。
2019年最後の出会いが、King Gnuで良かったと、心から思っています。

初めましてKing Gnu、これからもどうぞよろしくお願いします。
私の飛行艇は、今も、飛び立つ瞬間を待っている。

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