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2017年7月24日

りりー (25歳)
75
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BROKEN SCENE TOUR 2017ファイナル

ストレイテナーが導いた光、My Hair is Bad

ストレイテナーが対バンツアー、それも九州はMy Hair is Bad。私の好きなバンドのツーマン、行かない訳がない。

とは言っても、私がマイヘアを聴き始めたのは「woman’s」からだ。それまでも、よく耳にするバンドであり気にはなっていた。それでも、同世代やそれよりも年下の所謂“若手バンド”をなぜか聴く気になれず敬遠していた。一方で“アラフォーバンド”を好んでよく聴いていた。テナーもその中のひとつだ。

「woman’s」を手にした動機は不純だった。帯に様々なアーティストからのコメントがあり、その中にホリエアツシのコメントがある。そんな噂を耳にし、“ホリエアツシのコメント付きの帯がついた「woman’s」”を求めてCDショップをはしごした。帯をきっかけに「woman’s」を手に取ったのは私だけではなかったはずだ。アルバムを聴くや否やマイヘアにハマり毎日のようにYouTubeを漁った。私はマイヘアの策略にまんまと引っかかった訳だ。だからこそ、今回のツアーは楽しみでならなかった。

6月30日 熊本Drum Be-9
BROKEN SCENE TOUR 2017ファイナル

一回りも違うバンドの対バンということもあって、テナーの普段のライブでは少ない中高生という若者の姿も目立った。

19時開演。
『大阪、岡山公演のストレイテナーを超える』
初っ端からそう宣言した椎木。
「真赤」から始まったステージは熱を帯びていく。

『ライブを観た瞬間、持っていた気持ちを、音が追い越して行ったんだ。』
ホリエアツシの言葉(「woman’s」帯)が蘇る。

そして、曲はもちろんのこと椎木のMCが熱かった。
『足は止めても思考は止めるな』
『人の気持ちを変えるのは人の気持ち』
そう叫び「フロムナウオン」が始まる。

9年前にコピーしていたテナーと同じステージにいる彼ら。それも、テナーの9年ぶりの対バンツアーのゲストとしてなのだ。それでも椎木は叫ぶ、9年前でも、9年後でもなく今、この瞬間のことを。目の前にいる同い年の彼が眩しかった。彼の言葉が、胸に突き刺さった。

私は物心ついた時から看護師になりたいと思っていた。特別な理由があった訳でもなく、ただ漠然と。9年前の私は、漠然としたまま看護学部を目指し理系に進んだ。いつの間にか看護師として働き「夢を叶えてすごいよね。」なんて言われるようになった。だけど、何もすごくない。未だに漠然としていて私の中身は薄っぺらなのだ。いつからか、自分とは対照的な夢にあふれた輝いている人が苦手になっていた。だからきっと、“若手バンド”を聴けずにいたのだと思う。

『ババ抜きで言うと俺だけがババになって、残って』

結婚し家庭を築く友人、ステップアップを目指す同期。20代半ば、仕事に、プライベートに悩みは尽きない。椎木の作る音楽は等身大の彼の思いがストレートに言葉となりさらけ出されている。逃げ出したくなる毎日に、これからのことに悩んでいたからこそ、ナイフのように彼の言葉が胸を突き刺さした。

『ありがとう また今度 って 僕らは車を走らせた』

マイヘアのステージは加速し続け、テナーへの感謝を込めた「音楽家になりたくて」で幕を下ろした。
 

20時半頃。
『マイヘアが大阪、岡山のストレイテナーよりいいライブをしたから、もっといいライブをする。』ホリエのその言葉でテナーのステージは幕を開けた。それも、一曲目が「Merodic Storm」。終盤でやることの多いこの曲で始まり、一気にオーディエンスが沸く。 貫禄のあるステージは留まることを知らない。

『すべての色に 光が宿り始め
街は鮮やかに 影を取り戻すんだ
そこに立つ僕は 誰の目に映るでもなく
自分の姿でいたい 原色でいたい』

マイヘアで痛いくらい刺激を受けた私は、転換の間考えていた。一度きりの人生これでいいのかと。テナーの音楽に呑まれ、答えは出ないが光が見えた気がした。

ライブの後半戦、ホリエがセンターに立ち瞬時に空気が変わる。「SIX DAY WONDER」が始まったのだ。ピアノ曲で聴かせるところは聴かせてくる。これがテナーの魅力のひとつだ。

ストレイテナーの本編最後の曲は「REMINDER」。マイヘアが3人で初ライブをした時にコピーした曲とこの日のMCで椎木が言ってた曲だ。アンコールでは山本のリクエスト曲である「PLAY THE STAR GUITAR」が始まる。テナーの粋な計らいを感じる。熱気は最高潮に達し「ROCKSTEADY」で彼らのツアーは幕を下ろした。
 

ストレイテナーがいなければ、私は未だにMy Hair is Badを聴いていなかったかもしれない。
 

『そうこうしているうちにも
そっと時間は幻みたいに
そうしているうちにさ
そっと未来が耳元を切って過ぎてくだけ』
椎木は『足を止めても思考は止めるな』と言っていた。
 

『僕らは進まなくちゃ 先を急がなくちゃ
足が言うことを聞いてくれるうちに』
ホリエは最後にこう歌った。
 

いつもなら言葉にできない幸福感に満たされて終わるライブ。この日は、幸福感だけでなく沢山の刺激を受けた。私は今まで漠然と日々を過ごし足を止めていたのだ。逃げて、逃げて、流れに身を任せていた。そんな逃げてばかりの自分と向き合う勇気をこのライブでもらったのだ。だからこそ、考え抜き新たな一歩を踏み出したい。

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