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今日も私はあの時間を愛している

きのこ帝国「猫とアレルギー」が気付かせてくれたこと

いつのまにか、私には感じなくなってしまった感情がある。わからなくなったのか、無くしてしまったのか、思えなくなってしまったのかすらわからない。

無くした理由はわかっている。
今もあの時間を愛し続けているからだーーー
 

きのこ帝国の「猫とアレルギー」という曲と出会ったのは2年ほど前のことである。
偶然出会ったこの曲に心を奪われ、心の奥にしまっていた気持ちが湧き出してしまった。

vo.の佐藤千亜妃さんの歌声から、きっと彼女も忘れることのできない誰かを歌っているのだろうと勝手に思ってしまった。歌から出てくる言葉のひとつひとつの切なさに感動した。なぜ気持ちがわかるのだろう、歌っている人は何を思ってこの歌を書いたのだろう。簡単に言うと共感をしてしまったのだ。
そして、こんな私を優しく撫ででくれたあの人との日々を、頭の片隅で未だに思い飽きても思ってしまう時間が走馬灯のように蘇ってきたーーー
 
 

あの人に出会ったのは、共通の好きなバンドのイベントだった。(後で知ったのだがそのバンドはvo.の佐藤さんもリスペクトするアーティストであった!)

出会って間もないのに、どういうわけか私はあの人のことを好きになってしまっていた。理由は今でもわからない。
思いは溢れるばかりで収まり切らず、すぐに思いも伝えてしまった。若さゆえなのか…。

勿論、結果はフラれた。
それでも、あの人と私の関わりは続いていった。何度か会って食事に行ったりしていた。

あの人にもあの人で苦しいことがあり、「忘れることのできない誰か」がいた。それでもあの人は私を優しく撫でてくれた。
会えば会うほど思いは募るばかりで、何度も夢に出た。何よりもどんな形でもあの人のそばに居たかった。
 

ある時、あの人は言った。
「絶対などこの世界にないから。僕もいつか君を好きになる日が来るかもしれないから」
格好付けた言葉だ。嬉しいのか切ないのか、もっとわけがわからない気持ちになった。

社会人になる手前の頃だったから、この先の未来への不安もあった。あの人に会うことでいつのまにか落ち着いている自分がいた。あの人に会える時間は後どれくらいなのだろうと考えては一人不安で泣いていた。
 

最後に会ったのは、好きなバンドのライブ。ライブグッズを交換したりして、楽しいひと時だった。
その翌日だった…
あの人と離れたのは…。
 

あの人は、かつて愛した「忘れることのできない誰か」の元へ行ってしまった。何も言わずに。

もう少しグイグイ押せるような私だったら良かったのか?
絶世の美女だったりしたら結果は変わっていたのか?
 

そんな後悔と悲しみに暮れるしかなかったーーー
 
 

表面的な傷は、時間の流れが解決をしてくれた。仕事に明け暮れ、社会人としてどうキャリアを積んでいこうかなんてことを考えて過ごすうちにあの人のことは忘れていた。

だけど、時が経っても出来ないままのことがある。誰かに特別な感情で好きになるということ。

周りの同世代の子たちはそういう感情を抱いて一喜一憂したり、世間でいう幸せを掴む中、私はそういう感情も起こることはなかった。目の前に素敵であろう人が居てもそういう気持ちを忘れてしまったのか、あの人への気持ちがあるからなのか思うことができないのだ……
 

「話せなくていい 会えなくてもいい
ただこの歌を聴いてほしいだけ」

「いろんなことがあったけど
思い出すのはあの日々ばかり」

「ほんの少しの勇気があれば
後悔せずにすんだのでしょうか」

「届かなくていい 忘れていいから
でも
あなたの目と手の温もりが
何もない空、滲んで消えてく」
(猫とアレルギーより)
 
 

「猫とアレルギー」と言う曲の歌詞の言葉のひとつひとつが、聴けば聴く程、あの人との辛くて蓋をした思い出が丁寧に思い出されていく。
聴き惚れてしまって購入したアルバムも、それぞれの歌と言葉が愛したあの人との思い出を丁寧に紡いでくれる。
 
 

あの別れた日、あの人のラインも画像も関係するものはすべて消した。自分のために。

優しく撫でてくれた貴方にまた出会うことはもう無いでしょう。どこかできっと貴方の幸せを掴んでいるのでしょう。

私は私の時間を生きているけれど、まだ愛しているのはきっと貴方と過ごした時間。愛し切ったと思うか、貴方の幸せを心から愛おしく思えた時に、もう一度忘れた感情を引き出すことができるのかなと思う。
 

この曲を聞いて、愛した時間があるから、未だに”恋” という感情を持てないことに気づけた。歌詞の一部も、思いを昇華するようにあの人の言葉に替えて歌った。

きっと、当分の間私はこの歌を何度も聴くだろう。
今はあの人に届かなくてもいいから、感想として愛した時間をこうして書き留めておきたくてしかたがない。
こんな私的な感想を、このような形にまとめるのはどうなのかと思ったけど、どうしても残しておきたくてこの場をお借りすることにした。
 

「絶対などこの世界にはないから」
そんな格好付けた話は、これからも誰にもしないでいてね。

いつか、また誰かを愛せる日まで、私はあの時間を愛しています。

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