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傍にRADWIMPS

愛にできることはまだあるかい

私はRADWIMPSが大好きだ。言葉、音、声。全部が大好きだ。
 

私は大学4年間を部活動に捧げた。チームの強さといえば決してプロになると言ったレベルではないけれど、どの大学よりも厳しい練習をしていたと思っている。この言葉に嘘はない。その甲斐あって、自分たちの代のチームは理想形に限りなく近づいていて、何年も果たせなかった上位への昇格という目標の達成は目前だった。そして私も、3年間ベンチで悔しい思いをしてきたが、4年目はスタートで試合に出ていて、こんなに楽しいことは他になかった。

しかし、物事というのは簡単には進まない。神様って意地悪なんだなと心から思った。

私は夏の試合合宿の最終日、取り返しのつかない怪我をした。前十字靭帯の断裂。

9月から始まる最後の大会を目の前にして、コートに立つことが難しくなった。

そして、その大会の直前の8月28日に、RADWIMPS のANTI ANTI GENERATION TOUR 2019が迫っていた。横浜アリーナでの追加公演。怪我をする前の私は、この日をこれから始まる大会の前夜祭にしようと思っていた。大好きな彼らの音楽を身体中に染み込ませて、一つ強くなって臨もうと思っていた。

それなのに。
 

怪我をして、私は今までの人生の中で一番不安定になった。世の中にはもっと大きな悲しみを苦しみを抱えている人がいるだろう。こんなの小さい挫折なのだと思う。しかし、それでも、私にとっては受け入れ難い事実で、小さな世界は暗闇に飲み込まれた。

毎日気がついたら泣いていて、悪いイメージばかり浮かぶ。きつい練習を戦い続けてくれるチームメイトのために出来ることは声を出すことぐらいで、もう練習すら出来ない自分があらわになって、さらに泣きたくなる。でも戦っている人たちの前では、絶対に泣けない。泣いてはいけない。前を向かなくてはいけない。

私は苦しかった。こんなにも自分は弱かったのかと思った。
 

そんな時、チームメイトがひとり怪我をした。しかし動けないほどのものではなかったので、休むか否かは彼女自身に託された。

それ故に彼女は、心と体が色々なことに耐えられなくなったらしい。本当に突然、部活動をやめると言い放った。

私は困惑した。

え?あなたはまだプレーできるのに?あなたはチームの司令塔なのに?試合前のこの大切な時期に?

私は困惑したけれど、それでもまだ自分のことで精一杯で、少し経てば普通に戻ってくると思った。

しかし、数日が経って、彼女がやめるかもしれないということが現実味を帯びてきた。練習にこない。他のチームメイトの話を取り合わない。

困惑や心配より、私はこの子をわがままだと思った。

チームに必要とされる力を持っている、そして何よりまだコートに立って戦えるのに、ずっと目標にしてたものを自分の手で掴めるのに!
私はこんなにも試合に出たいのに。最後なのに。私は、この子のために、何もしたくない。できることはない。
 

私はもう閉じようと思った。沢山のどうしてを抱えきれなくなっていた。もう捨てよう。そうしよう。
 

その時、
 

「愛にできることはまだあるかい
  僕にできることはまだあるかい」

とどこかで聞こえた。
 

優しい声が暖かい音ともに。
 

「愛にできることはまだあるかい
  僕にできることはまだあるかい」
 
 

私は、この時やっと気がついた。
私が一番周りのことを考えられていなかったことに。チームを思いやれていなかったことに。そして、誰よりも自分自信を可哀想だと思い、諦めていたことに。

気がついた。
今動かなければ、怪我以上の後悔をする!!
 

その日
私は、コーチとキャプテンと共に、その子の家まで押しかけて会いにいった。時刻は16時過ぎから、終電間際まで。

当然、

RADWIMPS のライブには間に合わなかった。

私たちが動かなければいけなかった日は、8月28日で。本当なら彼らに会っている日で。

私は、その日私の愛にできることをした。
 
 
 

行きたかったな、と思う。楽しみにしていたから。でも、彼らに問うた時に、私の愛ができることをするべきだと言われた。彼らのくれた勇気を、彼らを信じる私のために使った。
 
 

彼女が戻ってきたこの後は、それでもやはり人員不足のチームは日々死闘で、勝ち続けることは難しく、目標には届かなかった。現実は甘くないね。しかし私もみんなも誰一人として、途中で投げ出さず戦い抜いた。
私は彼女達を誇りに思う。そして、ごめんねとありがとうを沢山思う。
 

私にとって
何事もなくただ楽しんでライブに行くことは、怪我をした私が追いかける普通で、現実から目を背けるためだった。必死だった。

そんな暗闇の中から、彼らの音楽は私を救ってくれた。

背中を押してくれてありがとう。
勇気をくれてありがとう。

私はRADWIMPSが大好きだ。言葉、音、声。全部が大好きだ。

愛のために動けたこの日を一生忘れない。

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