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だから私は、怖くないし、無敵なんだ。

一人と大勢ではない、歌と一人でもない、さユりと私の繋がり。

 人は変わった気がする

以前は前のめりで歌っていた彼女の姿勢は、真っすぐ背筋が通っていた。

光を求めている、足りない何かを探している。

足りていない、欠けている、満ちていない、それは不完全で、完全になるために私たちは生きているのだと思っていた。

今はそうではない。

足りているわけではないし、求めているし、進んでいる、選択していて、やはり完全ではない。

しかし、不完全なままでも成り立っている。

不完全でも、起きて、食べて、眠って、生きて、光を求めて、前に進んでいる。

そんな今の私を認めることはできないのだろうか。

それは難しいことだった。

不完全を受け入れる怖さと、自分の中で譲れないことがあったから。

不完全であると認めたとして、その先に何があるのだろうか。

誰かが救ってくれるわけではないし、強くなるわけでも、革命が起きるわけでもない。

でもそれが、(不完全を認めることが)できるようになった気がする。
 
 

 私も、暗闇の中を歩いていた。(きっと、みんなそうだよね。)

ある時、小さな光が見えてきた。

彼女が照らしている光だった。

月が夜道を照らすように、道を示してくれた。

その微かな光は、小さな三日月のようだった。

その、希望の光に向かって一歩ずつ歩いていこうと思った。

その満ちた光に照らされた時、周りの世界を見渡して、何が見えるのか。

ある時、彼女の新しい歌を聴いた。

今まで、一歩ずつ歩いてきた道を振り返ってみた。

これからは、船に乗って、もっと遠くへ行ってみようと思った。

今は、もう少し、彼女が照らしてくれている微かな光を頼りに、私も私なりに手探りで、大海原へ漕ぎ出そうと思った。
 
 

 新年、真夜中に彼女のライブを観た。

声をあまり発しないサウンドチェックは、本番にかける想いを感じた。

入場時の顔つき、30分のステージの始まり、これから大勢の人間と生のやりとりをすることへの、緊張感が伝わってきた。

一曲目、深く大きく息を吸い込む、強くて綺麗な声、一瞬で空気が、世界が変わった。

これから30分、彼女の音楽と、自分の想いを重ねて作る、絶世の空間に身を委ねる。

加えて、そこに集まった大勢が自分の感情とか、信念を持ちこむので、さらに美しい空間となる。

ギターの音色に重ねる彼女の歌声は、とても綺麗に響いた。

MCでの言葉の使い方、メンバーと息を合わせるための視線、

目をぎゅっと閉じて叫ぶ姿、イントロに入る前の一呼吸、

全て目に焼き付けて、心に刻むために、まばたきすらしたくなかった。

冷たい激情は、熱く燃えていた。

CDJでのライブの空間から刺激を受けてできた「十億年」。

フェスという空間を、ただのお祭り騒ぎで終わらせる気なんて、毛ほどもないことは明白だった。

「彼女と大勢の観客」ではなく、「ワタシとあなた」が溶け込んでいたと思う。

とても暖かかった。
 
 

 私はいつも、ライブが始まる前、何を持って帰ることができるかということを考える。

彼女のライブでは、特に深くそれを考える。

私は、岐路に立つ自分の選択に、進む勇気が欲しかった。

しかし、彼女が発した一発目の声を聴いて、自分の中に引っかかっていたものが、すぐにわからなくなった。

見失ったのかもしれないし、消えたのかもしれない。

一瞬で自分が変わったというわけではなく、ただ、目の前の彼女の膨大な熱量を受け止めるのに必死で、そんな自分のちっぽけな悩みなど考えている余裕がなかったのだ。

彼女の繰り出す一音一音、一挙手一投足を取りこぼしたくなかった。

全て受け止めて、感じたかった。

(そこまで思えるアーティスト、滅多にいなくないですか・・・?)

ライブが終わると、何かが変わる、変わらずとも強く繋げることができる、私にとっての彼女のステージは、そういう空間なのだ。

今がずっと続けばいいのになって、彼女がそう呟いてくれれば、本当にそうなってしまうのではないかとさえ思う。

ステージ上の彼女は、強くて不思議な力をもっていて、魔法も使えるのではないだろうか。
 
 

 彼女はとても美しいが、ただ単に綺麗というわけではない。

これだけ美しい泥臭さを持っている人間は、彼女しかいないと思った。

毎日色んな人間を見る。

会社の偉い人、仕事のできる先輩、ステージで歌っている人、街中の酔っ払い、コンビニの店員、街頭演説で夢のような理想を語る人、誰もが叫んでいるし、必死に生きている。

真っ暗闇の道の中、先も見えず、手探りで、泥まみれになりながら、時には傷だらけになりながら、一歩ずつ進んでいる。

全ての人間が、そう生きていることを知って、彼女は自分の生き様を歌っていると感じた。

彼女は、何を考えているのだろう。

とても深い所にいるのに、今は浅瀬で遊ぶこともできている気がする。

同じような深さまで、行ってみたいと思った。
 
 

 「航海の唄」をリリースした彼女は、岐路に立っていたのだと思った。

必死に、強く生きている彼女に、自分を重ねて、勇気をもらった。

足りてないままでもいい、満ちていないことこそ強さだと思わせてくれた。

彼女が強く生きているから、自分も頑張ろうと思える。

私にとってのさユりは、そういう存在です。

そういう存在がいる私は、とても幸せなのだと思った。

これからも、さユりの音楽と、叫びながら必死に生きていく姿を見続けたい。
 
 
 

私は、本当は満月の形を知らないのかもしれないし、

もしかしたら、月は欠けていなかったのかもしれない。

今日もまた、光を頼りに進んで行く。

欠けている何かを満たすためではない。

私は、あなたのことを見ています。

たった一つの光を守るために。
 
 

さユりの音楽がある私は、無敵だよね。

次に、進むね。
 
 
 
 

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