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a flood of circleのロックは格好良い

Lucky Lucky Tourでフラッドを目撃した私はラッキーだ

2020年1月11日、梅田クラブクアトロ。a flood of circleのLucky Lucky Tour 2019-2020、大阪公演。思ったより前の方まで来れてしまったために、私はステージから3列目あたりにいた。開演直前、私は少しの緊張と、大きな期待とともにそこに立って、彼らの登場を待っていた。
 

私がa flood of circleのことを知ったのは1年くらい前のことだ。UNISON SQUARE GARDENというバンドが好きで情報を追いかけていたら、THE KEBABSという新バンドの存在に行き当たり、そこでフラッドの名前を目にしたのが最初だったかと思う。
THE KEBABSは佐々木亮介(Vo.&Gt./a flood of circle)、田淵智也(Ba./UNISON SQUARE GARDEN)らからなるバンドで、2018年11月に結成がアナウンスされたものだ。ただ、この時点では名前を認識した程度で、特に曲を聴くなどはしていなかった。
 

それから時が経ち、私が初めて佐々木亮介をライブで見たのは2018年8月28日、新木場STUDIO COASTにて、UNISON SQUARE GARDENのトリビュートアルバム記念ライブでのことだ。ゲスト出演していた佐々木を見て、衝撃を受けた。ハンドマイクを持ちながら客席に身を乗り出して、客に支えられながら歌っていたのだ。それまで私が見てきたバンドのライブにはそのような習慣はなかったから、とにかく驚いた。それと同時に、佐々木亮介という人間から溢れるロックさを感じた。
 

翌月、THE KEBABSのライブにも行った。そこでもやはりギターを弾きながら歌うというロックな佐々木亮介を見て、私は心を打たれた。飲みかけの缶ビールやたった今汗を拭いたばかりのタオルを、前方にいる観客に手渡す。そしてそのまま歌い始める。なんでもありなKEBABSだからだとは思うが、そんなことをやってのける佐々木に、どうしても注目せずにはいられなかった。ロックバンドのボーカリストとして、私がそれまでには見たことのないタイプだったが、この上なくロックで、格好良いと思った。
 
 

そして私はついに、佐々木亮介のメインバンドであるa flood of circleのワンマンライブのチケットを取った。THE KEBABSから約4ヶ月が経ってしまったが、その間に音源もサブスクやYouTubeでa flood of circleの曲を探して聴いた。
そして、ライブ当日。詳しくないバンドを見るときは少し後ろの方から見ることが多いのだが、フラッドは近くで体感したいと直感的に思い、前の方へ行くと下手側3列目あたりまで行けた。真ん中は佐々木を支えなきゃいけないかもしれないし、上手側はアオキテツ(Gt.)側だからなんか怖いかも、と勝手な推測から、下手HISAYO(Ba.)側を選択。のちにライブ中にダイバーが中央付近を転がっているのを目にして、この選択は間違っていなかったことが分かる。
 

いよいよ18:00、開演。定刻よりやや遅れたが、メンバー4人が順に登場。ツアーのセットリストは見ずに来たから、何の曲で始まるのかとドキドキしていた。
すると、佐々木はギターを持たず、マイクを握りしめて、「おはようございます。 a flood of circleです。」と挨拶したのち、歌い始めた。1曲目は、このツアーの前にリリースされたミニアルバム「HEART」より、『Stray Dogsのテーマ』。歌い出しのところから、佐々木の独特な声質の歌声が、こちらに思いきり降りかかってくる。HISAYOが華麗なステップを踏みながらベースを鳴らす。アオキテツが時折こちらを睨みながら、ギターをかき鳴らす。渡邊一丘(Dr.)が髪を振り乱してドラムを叩く。
ああ、私はこの歌声を、この演奏を、生で聴きたくてここに来たんだ。ハンドマイクで歌う佐々木を見ながら、私はそう感じた。
続いて2曲目は、『Dancing Zombiez』。フラッドでも恐らく有名な曲なのだろう。YouTubeにあった、ちょっと怖いMVも見た。サブスクで何度も聴いたが、ライブだと音源以上に荒々しさを感じた。周りの観客も盛り上がり、前方中央付近はほぼ全員が跳びながら腕を振っていた。
 

残念ながら、私はライブ途中の記憶が断片的なものしか残らない。そのときはとても楽しいのに、あとから何の曲のときに何が起こった、みたいなことはすっかり忘れてしまう。だから順序は違っているかもしれないが、私が心に残ったことをいくつか思い出して書き出してみる。
 

MCの中で、今日がフラッド新年一発目だから抱負を聞こう、という流れになって、佐々木がHISAYOに話を振ったとき。
「今年は私にとっては特別な年なので…」「フラッドに入って年末で10年になるので、年末まで生きようと思います」
そのHISAYOの言葉を受けて、佐々木が曲紹介をした。「10年も一緒にやってると、いい曲できるんですよ」、そう言って始まったのはHISAYO作曲、佐々木作詞の『Lemonade Talk』。
 

私はフラッドについていくつかのインタビューを読んだり、Wikipediaを見たりして情報を集めてからライブに臨んだ。それらを見ると、フラッドには様々な困難があり、それを乗り越えながら続いてきたという歴史があることを知った。メンバーチェンジも多い中、10年も続いた関係性の尊さのようなものを、佐々木のMCから私は感じ取った。バンドが続くのは簡単なことじゃない、ライブができるのも当たり前じゃない。そんなことを考えると、こちらも感動せずにはいられない。
 

あとは、とある曲を演奏していたときのこと。いくつかフラッドの音源を聴く中で、『花』という曲が私は特に好きだった。調べてみると、佐々木自身の思いが強く込められた曲であることを知った。

“明るい未来とか言うけどさ 実際全部闇の中さ”“全て失くしてもくたばってもまだ世界は素晴らしい”(『花』の歌詞より引用)

大学3回生で就活中の私は、大学の勉強もしながら就活もする、という日々を送っているが、常に未来が見えないという不安を抱えている。そんな気持ちを肯定しつつ、世界の素晴らしさを教えてくれる。フラッドの歌詞と演奏、そして佐々木の力強い、思いの込められた歌声に、背中を押された気がした。
 

本編最後の曲は、ツアータイトルにもなっている『Lucky Lucky』。

“Lucky Lucky 生きてるLucky” “雲を裂いて 花が咲くぜ 光が差し込んだ Lucky!”(『Lucky Lucky』の歌詞より引用)

明るい曲調に乗せて、生きてるだけでラッキーだと言い張るその自信に、こちらもそうだと思わされて、悩みなんて吹っ飛んでしまいそうだった。
 

1度去っていった彼らは、観客の大きな手拍子によって呼び戻され、4人は再びステージへ。アンコールでは事前に予告されていた通り、新曲のコーラスの録音が行われた。何度か練習して、何度か録音。どうやってコーラスが使われるのか全く見当もつかないが、自分の声も含まれているその曲がリリースされるのが今から楽しみだ。
 

そして、佐々木がギターを鳴らしながら語り、いよいよアンコールの最後。曲は『Center Of The Earth』だった。サンキューベイビーと何度も繰り返すこの曲は、彼らから観客への感謝を贈っているようで、ライブの最後にふさわしい曲だと感じた。

“忘れないで 世界の真ん中はいつも君だってこと” “サンキューベイビー バイバイは言わないぜ”(『Center Of The Earth』の歌詞より引用)

自分に悩んだときは自分で考えて答えを出すしかない、と突き放すような一方で、「バイバイは言わない」と言って見放さないような印象を受ける。ライブが終わってもちゃんと生きていくようにと、励まされているかのように感じられる歌詞だった。
 
 

楽しんでいたらあっという間に過ぎていった2時間弱。終演後、ドリンクを交換してアルコールを飲みながら、満たされた気持ちでいっぱいになった。初めて見たフラッドのライブは、やはりとても格好良かった。また見たいという気持ちと、終わってしまったという寂しさを感じて、更に酒に酔った頭では決断が早くなっていた。気付くと私は、ライブ音源が入ったミニアルバム『HEART』を購入していた。これで家でもフラッドのライブの音が聴ける、と思ったら買わずにはいられなかった。
 
 

ライブに行くと、どんな悩みを抱えていたとしてもそれを忘れて、ただただ音楽を楽しむことができる。私はそういうところが好きで、ライブに足を運ぶ。思い返せば、友人関係に悩んだとき、恋人と別れたとき、進路に迷ったとき、色々な悩みを持ちながら行ったライブでは、いつも心が救われて、帰る頃には晴れやかな気持ちになっていた。
この日もそうだった。もちろんライブという非日常を楽しんでいるのもあるが、何よりもフラッドの歌詞に救われたと、心から感じた。彼らはリリースの予定もないのに新曲がたくさんできている、と言っていた。きっと彼らのことだから、またツアーをやってくれるだろうし、関西にも来てくれるだろう。そのときを楽しみにして、彼らの歌詞に背中を押されながら、強く生きていこうと思う。

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