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BUMP OF CHICKENからの問いかけ

楽曲「銀河鉄道」の考察を通して

いつも弱者の味方であり、安易な歌詞で聴衆に訴えかけることをせず、マジョリティーに属さない。
これが、BUMP OF CHICKENというバンドの特徴である。
恐らく作詞作曲を担当する藤原は、慎重で思慮深い人間なのだと思う。

BUMP OF CHICKENの楽曲は哲学的な要素を含むため、解釈が非常に難しい。
しかし、ある日ふっと理解できる瞬間というのが必ずある。それは解ろうとして解ったのではなく、無意識に解らされたという感覚に近いと思う。

BUMP OF CHICKENの楽曲を何百回も聴き続けていたが、今になってようやく理解に至った曲がある。2008年リリースのアルバムpresent from you の収録曲「銀河鉄道」だ。

物語の主人公は電車に揺られ、遠くの街へ行く。
車窓から見える自転車を漕ぐ人、感謝を伝えない幼い子供、些細なことで舌打ちをする大人などが次々と主人公の前に現れる。

この曲の鍵となるのは電車に揺られる人と自転車を漕ぐ人の2人である。
座っていても時速200kmというスピードで進んでいる僕と、自ら自転車を動かしてゆっくりと進んでいる人。
言い換えれば、他動的に生きている僕と、自動的に生きている彼。
結果的には、動かされている僕の方が速く、自ら動く彼の方が遅いわけだが、主人公は自ら自身を動かす自転車の彼を羨ましく思うのである。

曲中の最後に藤原はこう綴っている。
「動いていないように思えていた 僕だって進んでいる」
他動的でも自動的でも、動いていること自体に変わりはないことを訴えかけている。

「人は年を取る度 終わりに近付いていく」
この列車は人生の始まりから終わりを意味しているのだろう。
過ぎ去った「生きた街」は自分の生きた過去、これからたどり着く「生きる街」は自分の生きる未来なのだ。
人はそれぞれのカバンに、生きた街(過去)の思い出を詰めて列車に乗ってくる。

現在しか生きられない私たち人間は、過去は思い出を通して見えるのに、未来は見えないというもどかしさの中で生きている。そうして過去を背負って生きている人間の姿が、カバンを持って乗車する人に例えられているのだろう。

十人十色の人生で、たったひとつだけ、死は人間に平等に与えられる。死を待つ間の時間、我々はどんな人生を歩むのだろう。動かされる自分を選ぶのか、はたまた自ら自分自身を動かすのか。決めるのは他でもない自分自身だ。

この曲はチープな人生応援ソングではない。
藤原の哲学的な問いかけなのだと思う。

「銀河鉄道」の考察は以上である。
私は、肝心な答えにまだたどり着いていない。
しかし、私はそれをあえて探さない。
これから進む生きる街で、偶然答えを見つけられる時がきっと来るからだ。

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