2928 件掲載中 月間賞発表 毎月10日
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

温かいモノ

Mrs. GREEN APPLE と青色の恋

美しい太陽。“温かい”春の日差しだった。

高校に入学して数ヶ月、僕には好きな人が出来た。完全に一目惚れだった。僕は勇気を持って話しかけた。後に、この日が彼女にとっても記念日だったことを知る。

どうやら彼女は、Mrs. GREEN APPLEというなんとも不思議な名前のバンドが好きらしい。

報われないことなんて 死ぬほど沢山在るよ
それに挫けないで 優しさを分けれる人になってね
(日々と君/Mrs. GREEN APPLE)

この曲をおすすめされて、この一節を聴いた瞬間に、僕の中では色々革命が起きた。このバンドを好きになろうと思った。

君はこの僕の 気持ちには気づいてない
君のお気に入りの曲を 気に入ってみたりして
(Just a Friend/Mrs. GREEN APPLE)

次におすすめされたこの曲。
あれ。見透かされてる。
僕の気持ちはこのバンドにはバレバレで、少し焦りを覚えた。いったい何が言いたいんだろう、この人たちは。

気になった。

それから、体育祭とか、文化祭とか、たくさん行事を楽しむ中で、彼女と、彼女のお気に入りのバンドをもっともっと好きになっていった。僕にとっては、この日々は笑顔の絶えない、かけがえのない日々だった。あのことを知るまでは。

混沌とした世の中で生きて行くんだ
汚れた人間さ これ以上は御免だ
(WaLL FloWeR/Mrs. GREEN APPLE)

真実を知ってからおすすめされたこの1曲は、僕を深くえぐった。そういえばみんな汚れてる。みんな腐ってる。部活も最近うまくいってないし、勉強でも成績が伸びない。家庭の関係もなかなか辛いものもある。気づけば周りには、腐ってると思わなくては逃避できないような現実。

そう、それは彼女についてもである。

僕の好きだった彼女には、すでに愛し合う人がいたのだ。
そう、僕が話しかけたあの日、彼女は他の男にとられたのだった。

あれ。

心に穴が空いたようだった。

そこから僕はどんどんペシミズム(悲観主義)に陥った。どんな事象にも期待をしない、楽しみにしない、明るくしない。僕の心の灯火は消えていった。彼女も、僕が暗くなっていくのに気づいたのだろう、僕達は距離を取り始めた。終わった。“花が咲き崩れる”。

こんな世の中生きている意味なんて無いんじゃないか。そんな僕を救ったのが、やはりMrs. GREEN APPLEだった。

貴方はその傷を
癒してくれる人といつか出会って
貴方の優しさで
救われるような世界で在ってほしいな
(我逢人/Mrs. GREEN APPLE)

そうか。傷を癒す人といつか出会うんだ。その為に生きるのか。そう思えた。なんとなく、青色の風が背中を押したような気がした。

もう俺には失うものもない。

告白した。ずっと好きだったと。そしてもう迷惑をかけないように関わらないつもりだった。

しかし、彼女から返ってきた返事は

ありがとう。

そして彼女は僕と一緒に涙を流してくれた。僕のことをこんなに想っていてくれたなんて。こんなんじゃ離れられないじゃんか。

そこから僕は、彼女を愛し続けた。愛しすぎた。

そして、想いは、すれ違ってしまった。

ほぼ話さなくなって、連絡も取らなくなった。

毎日が重かった。

全部全部 私が悪いから
解ってるから。 気づいているから。
ごめんね 全部は背負いきれないや
(月とアネモネ/Mrs. GREEN APPLE)

やっぱ全部俺が悪いんだよな。でももう背負いきれない。

このまま死ぬのか?

そんなとき、あの歌の本当の意味を初めて知った。

素晴らしいと思える様に 醜いと思ってみよう
いつか来世に残る花が咲き 崩れぬ様に
(WaLL FloWeR/Mrs. GREEN APPLE)

素晴らしいと思える様に 醜さに気づいてみよう
悲しさとは笑顔が在るからだと
(WaLL FloWeR/Mrs. GREEN APPLE)

醜さに気づいて、悲しくて泣いて、壁を乗り越えて、素晴らしさに出逢って、笑う。それを伝えてくれた。
来世を信じてみよう。そう思えた。

─────来世。

でも独りでは悲しさを乗り越えられない。

どうか温かいモノを忘れないように生きて
(WaLL FloWeR/Mrs. GREEN APPLE)

“温かい”モノ。ここで私は、私として悟った。

家に帰れば、美味しいご飯を作って待っていて、今日1日の話を聞いてくれる、家族。辛い時、寂しい時、隣にいてくれる友達。先輩。先生。人。人。人。

──────そう、貴方も。

自分に余裕がなかったんだな。そう思って、全部を変えた。そうしてみると、徐々に仲も回復していった。

“温かさ”が生まれた。ここにも。
 

こんな恋愛をした高校生活で、私はMrs. GREEN APPLEによって支えられ、悟らされた。
 

現代社会は、人の醜さばかり目立つ。いじめ、暴力、詐欺。この世には良い人なんて誰一人いない。人だから、悪い部分を必ず持ち合わせている。

そんな暗い、雨の降った世。私たちは、出逢って、支えて、癒して、変えていかなければならない。様々な視点に立ち、視野を広く、経験を用いて、貫かなければならない。そんな壁の乗り越えもあるじゃないか。そう想ってみよう。
 
 
 
 
 

そんな私は、今日も、温かいモノを探している。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい