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当たり前のことを当たり前にやる難しさ

近づくほどに遠ざかる細美武士の背中

2020年1月25日(土)、TOKYO NIGHT SHOW 8thに行ってきた。
このイベントは8回もやってるのに存じ上げておらず、今まで一度も来たことがなかった。
今回出演のバンドはThe BirthdayとMONOEYES。
チバユウスケと細美武士が対バンするイベントは、2007年エルレの時に一度だけ。
そんな貴重なイベントのチケットが幸運にも手に入ったので、新木場STUDIO COASTまで行ってきた。

MONOEYESのライブは11月のFar East Union vol.4以来のMONOEYESではあったが、この日は若干アウェーの雰囲気。
細美さんの人気からしたらそんなライブも珍しい。
とても貴重な一日となった。
いつもはモッシュピットに直行するのだが、この日は体調も考慮して一階の階段上で鑑賞。

1曲目、『Do I Have To Bleed Again』でスタート。
この曲始まりのライブはあまり記憶がなく、珍しいなあと思いながらも自然と音に合わせて体が動く。
ライブ後半で聴いてたことの多い曲だが、ウォーミングアップにこの曲って合うんですね。
結構ありだなと思って聴いておりました。

細美バンドのライブは俺の期待を毎回軽々と越えていくのだが、この日はまず2曲目の『Run  Run』 の最中にそれは起こった。
いつもよりセキュリティが少ない中でダイバーが多発し、一人のダイバーが落下したであろうタイミングで演奏をストップ。
そのダイバーを「起こしてあげて」と気遣い、「うちのバカ共がどうもすいません」と一言。
そして仕切り直してもう一度さらりと演奏し直す。
そんな一連の行動があまりにも自然で俺の涙腺は早くも緩んでしまいました。
ステージからよく見えてるなと思う反面、そのまま演奏して曲が終了後にそのダイバーに声をかけることもできたはず。
それにもかかわらず曲を止めてダイバーを気遣うという行動に、自分のバンドのファンが怪我をして進行に影響を与えてはいけない、そんな思いもあったのであろうか。
いや、きっとそうではない。
それもあったと思うがそれだけではない。
考える前に体が動く男だ、細美武士は。
2019年8月、たまたまライブで訪れた仙台市内で火事が発生した時、近くで打ち上げをしてた細美さんはその現場に急行。
怪我人がいないか、その場にいた人々に避難するように声掛けを行ったという。
昔から曲がったことが大嫌いで不器用で、当たり前のことを当たり前にする男だったなあ、細美さんは。
そんなことを思ってたら2回目の『Run Run』のサビで早くも泣けてきてしまった。

4曲目は『Free Throw』。
以前ラジオでこの曲は「組曲」だと評していたが、トディの重めのリフからからAメロ、そしてサビに向かって目まぐるしく展開していく楽曲が俺の心も解き放っていく。
そして「gun of Jenny!」を大声で叫んだ後の爆発力。
このフレーズを大声で叫べるだけでこの日のチケット代の元は取れる、そんな気すらするくらいこの曲を俺は気に入っている。

そして5曲目は『Interstate 46』。
『Free Throw』が暗闇からの朝焼けを連想させるとしたら、『Interstate 46』は夕焼けから太陽が海に沈んでいくような、そんなセンチメンタルな気分にさせる名曲。
このE.P.のリリースツアーに行けなかったのでわからないが、始めて客前で演奏したFar East Unionの時より曲は完成度を増したような気がした。
笑顔なのに涙がポロリと流れてくるような情感たっぷりのこの曲は、リリースされたのが11月だからか、沖縄でレコーディングされたからなのか、夏の思い出を名残惜むかのような胸がキュンとなる名曲である。
もちろん俺もうるっとなっていた。

ここで最初のブレイク。
自身ライブも観に行っていたという元ミッシェル・ガン・エレファントのチバユウスケとの初めての対バンを、発表から今日まで楽しみにしていたという細美さん。
昨年のワイルドバンチだったか、チバユウスケが『明日公園で』の歌詞を褒めてくれて嬉しかった、なんて話も聴いてたので、その喜びは細美さんの表情から手に取るように伝わってきた。
そして、アマチュア時代に古本屋でバイトしていた時に、素行が悪そうな連中が盗んできた(であろう)CDの数々を「知ったこっちゃねえ」と思って買い取ってた細美さんが、ミッシェルの『ロデオ・タンデム・ビート・スペクター』を持ち込んできた時だけはその輩を追い払ったというMCを聞いてまた涙。
「このエピソードだけでも今日は俺達のことを受け入れてくれませんか?」
この一言の後の会場全体から起こった大きな歓声と拍手を俺はきっと忘れないだろう。

この流れの後演奏された6曲目『Get Up』もまた素晴らしかった。
MC前の『Interstate 46』での伏線を回収するかのようなこの曲は、奇しくも同じ沖縄で制作された楽曲。
MVを初めて観た時は細美さんの楽曲らしくないパリピがたくさんいるなあなんて思ってたが、この日聴くこの曲では俺も含めてみんな同じようなパリピになってるという皮肉(笑)。
あまり使いたくないが、そのフロア全体は「エモい」という言葉がぴったりだった。

そして「スコットが決めるぜ!」の言葉の後放たれた7曲目『Roxette』。
「外人担当」スコットの真骨頂、抜けるようなきれいな高音のボーカルで会場はまた盛り上がった。

8曲目『Somewhere On Fullerton』は元々はスコットのバンド・ALLiSTERの楽曲。
MONOEYESのライブで必ずといっていいほどやってくれるこの曲は、メンバーからスコットへのリスペクトがすごく伝わってくる。
スコットがボーカルの時の細美さんはいつもむちゃくちゃ楽しそうで、コーラスの時はもちろんバッキングしてる時の表情もすごく嬉しそうで、俺はここでもまた涙。

2回目のブレイクでは、この対バンをきっかけにこの関係が一度で終わるんじゃなくて続いてほしいという願望を口にする細美さん。
ミッシェル・ガン・エレファントを追いかけてたあの頃。
そしてミッシェル解散の喪失感を埋めてくれたELLEGARDEN。
チバユウスケと細美武士が交わる時が来るなんて俺は全く想像だにしていなかった。
AIR JAM 2018に出演したThe Birthday然り、こんな日が来るなんてあの日の俺に言っても信じられないだろうなあ。

そして12曲目、チバが「歌詞が好きだ」と言ってた『明日公園で』。
細美さんの日本語詞の楽曲は個人的には最強だと思ってて。
14曲目でやった『グラニート』もそうだし、the HIATUSでの『紺碧の夜に』や『西門の昧爽』もそう、ELLEGARDENの『風の日』や『ジターバグ』もそう。
曲はそんなに多くはないが流暢な英語で歌う数多くの楽曲よりも希少で、でもものすごく貴重で大切な楽曲ばかり。
勝手にチバが出てくるんじゃないかとそわそわしたりしてました。(もちろん出てくるわけはない)

13曲目は『My Instant Song』。
この曲からMONOEYESは始まった。
とても、とても大事な曲だ。
「即興の歌」
直訳するとそうなるが、MONOEYESとファンとの関係は「即興」ではきっと作り上げられない濃密な関係性だ。
The Birthdayのファンにもそれはきっと伝わったはずだ。

そして最後の曲は『グラニート』。
「そういう世界があるなら 行ってみたいと思った」
この歌詞、何度聴いても最高ですよね。
細美さんは自分のことを恐ろしいほどに過小評価してるが、エルレのZOZOマリンでの復活公演を機に己の役割を受け入れ始めてるような、そんな気がしている。
まさに、そんな美しい世界があることを信じ続け、時には裏切られ絶望し、今ではその場所があることを認識し、でもそこに安住するのではなくまた新たな挑戦をする。
だからこそ、今年制作予定のMONOEYESのニューアルバムが楽しみなのだ。

どの曲の時だったかわからないが、自然とマイクスタンドから離れ、落ちそうなダイバーに手を差し伸べていた瞬間があった。
当たり前のことを当たり前にやってのける。
そんなこと誰にでもできないのはわかってる。
だからこそ細美さんのライブではいつも涙してしまう。
どうやったらあの背中に近づけられるのか。
次にライブで会える時までにその距離は縮まっているのか。
そう思って日々生活をしていても、いざライブになるとその距離はまた離れているのを実感する。
これはきっと俺の人生をかけて挑むチャレンジなんだろうな。
そう思いながらこの日のライブもたくさん涙してしまった。

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