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正真正銘無敵のヒロイン

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO LiSAを観て

びっくりするほど空が広かった。

8月17日、北海道にて開催されたRISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZOは前日の台風がまるで噓かのように、皮肉なほど晴天に恵まれた。
不意に見上げた空が、東京の空の何倍も広くて呆気にとられてしまう。私は額の汗を拭いながら灼熱のSUN STAGEを見つめる。空気が美味しい。気分もいい。
 

耳をかすめていた風の音と打って変わって大きな歓声が上がった。
ステージに煌びやかに登場したのは我らが歌姫、LiSAである。夏祭りの金魚を彷彿とさせる衣装をまとった彼女は軽々しいステップで真っ赤な尾ひれを揺らしながらステージ中央に躍り出た。そうして始まったのは鋭いロックサウンドが真夏の空をつんざく「ROCK-mode’18」。彼女はまるで全身から音が出ているのかと疑うほどにダイナミックかつキレのあるダンスを織り交ぜながらチャーミングに歌詞を紡ぐ。観客の目を一瞬で釘付けにさせる彼女の魔法はやはり少し罪である。

間髪入れずにイントロが始まると観客が目に見えて沸き始めた。2曲目はLiSAとっておきのキラーチューン、「Catch the Moment」。大きな空にまっすぐ手を伸ばしながら熱唱する彼女の姿は勇敢なヒロインそのもので、私はつい見惚れてしまった。彼女の声はどこまでもまっすぐ伸びて、大空をつたって私たちのもとへ降りかかる。聴いていてとても気持ちがいい。そしてその勢いはそのままに、滑り込むように3曲目「だってアタシのヒーロー。」へと続く。時刻は18時少し前。澄みきった空気と歌声が驚くほどにマッチして開放感あるサウンドを作り出す。あたりを見回すと観客の笑顔が眩しい。

「ライジングのSUN STAGEってこーんなに凄いんだぁ!」

3曲目を歌い切り、白い歯をニッっと出していたずらっぽく笑った彼女は太陽がよく似合う。次の曲は「オレンジサイダー」だと紹介し、短いMCを終える。
 

「いつまでも残ったまんまの オレンジサイダーテイスト」

夕日に照らされてオレンジ色に染まった彼女の姿がステージ横のスクリーンに映し出される。観客である私たちまでもが同じオレンジ色に溶け込む。甘酸っぱい歌詞と甘酸っぱいオレンジサイダーの味。夏の夕暮れ時の儚さと相まって少しセンチメンタルな気分になり、艶やかな彼女の声がどこまでも夕日に吸い込まれていくのをゆっくり眺める。夏だなぁ。
 

「夏に咲く花、わかるよねっ?」
小悪魔のように観客をあおった彼女は5曲目、最新シングル「紅蓮華」へと突入する。この曲でも彼女はパワフルなダンスを披露し、視覚的にもまた楽しませてくれる。ソロアーティストでこれほどのエンターテインメントを追求している彼女のプロ根性に脱帽だし、もはや尊敬の念までも湧いてくる。「アニソン女王」の称号では収まりきらない彼女の魅力と可能性から目が離せない。彼女は今や貫禄、繊細さ、キュートさを兼ね備えた立派なロックシンガーだ。
 

そしてここから怒涛の勢いで6曲目「DOCTOR」、7曲目「ADAMAS」へと駆け抜ける。この2曲では特に、飴と鞭を使い分けることで助長される彼女の魅力がよく見えるのだ。力強い声、キュートな声、艶っぽい声、ダイナミックなダンス、小悪魔な仕草。これで虜にならないファンがいる訳がない。ズルい、実にズルい。私もすっかり虜になって、釘付けで彼女を見つめていたらあっという間に2曲が終わってしまった。
 

「握ったメッセージ that’s rising hope」
空高く拳を掲げた彼女が渾身のフレーズで始めたのは8曲目「Rising Hope」だ。この曲はAメロ、Bメロ、Cメロで曲調がコロコロ変化するのがとても魅力的である。曲調の変化に合わせて彼女自身が歌い方を変えているのもまた面白い。夕日は先ほどより遥かに西に傾いていた。このフェスで夜が明けて日が昇るとき、希望も一緒に昇ってくるのかな、なんてくだらないことを考えてみた。
 

ラストを飾るのは名曲「Mr.Launcher」。

「精一杯 目一杯 魂放て カミサマが呆れるまで 何回も何回も立ち上がれ まだ終われない」

真っ直ぐな目で、真っ直ぐな声で、全身全霊歌う彼女を見ていると、何故か励まされる。観客も夕焼け空に手を掲げて満面の笑みである。夕日はもうそろそろ沈んでしまい、甘酸っぱいオレンジ色が終わりを迎える。

歌い終えた彼女はすがすがしいとびっきりの笑顔で観客に大きく手を振る。儚い夏の夕暮れ、限られた時間を目一杯魅力が詰まったエンターテインメントショーにしてくれた彼女は、やはりSUN STAGEにふさわしい完璧なハッピーメーカーだ。

RISING SUNのSUN STAGE、夕日の下の彼女は正真正銘無敵だった。

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